「キャベツの味が苦手で、どうしても食べられない」と言う人に、今まで会ったことがありませんねぇ(笑)。
煮ても焼いても蒸しても、もちろん生でも食べられるキャベツは、一年中青果店やスーパーで手軽に購入できる、使い勝手の良い野菜ですね。
いろいろな料理に登場するので身近にあり過ぎるため、栄養やその効能について考えたことが無い人も多いのではないでしょうか。
ブロッコリーやケールと同じアブラナ科に属するキャベツには、古来より認められた健康やアンチエイジングに役立つ栄養素が、たっぷり含まれているようです。
キャベツの歴史と種類
キャベツは古代ギリシャ・古代ローマ時代から、胃腸の調子を整える健康食として食べられてきたらしく、初期の栽培品種には茎があったそうです。
ローマ時代の改良で茎らしい部分が無くなり、現在流通している結球のものは、12~13世紀にイタリアで品種改良されたものらしいです。
日本には幕末に伝わったようですがあまり普及せず、太平洋戦争後の食の洋風化に相まって、生産量が急激に増加したのだそうです。
キャベツには大きく3種類があり、流通の6割を占める寒玉(冬)キャベツ、それを改良した夏・秋に出回る高原キャベツ、そして春キャベツがあります。この3つを上手くリレーで繋ぎ、一年中流通できるようになっているようです。
他にも、グリーンボール、葉が赤紫色の紫(レッド)キャベツ、サボイ(ちりめん)キャベツ、芽キャベツ、ジャンボキャベツなどがあります。
見た目や成分に少し違いはありますが、基本的な含まれる栄養素はあまり変わらないので、今回は一般的なキャベツの栄養素と効能について紹介いたします。
キャベツの栄養素とその効能
キャベツ100gのカロリーは約23kcal。
アブラナ科のキャベツには、ビタミンC・K、葉酸(ビタミン9)、β-カロテン、ルテイン、キャベジン(ビタミンU)、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなどが豊富に含まれています。
ビタミンC
水溶性ビタミンの一種。体の細胞を結ぶコラーゲンというたんぱく質の生成に不可欠な栄養素で、皮膚や粘膜の健康維持に働き、シミ・ソバカスを防ぐ美肌効果や風邪予防、疲労回復に役立ちます。
高い抗酸化作用もあるので、アンチエイジングにも期待ができます。
ビタミンK
脂溶性ビタミンの一種で、出血した時に血液を凝固させ止血する働きや組織の石灰化に関わっています。
また骨にあるたんぱく質を活性化させ骨の形成を促す作用もあるので、骨粗しょう症や動脈硬化の予防などにも役立ちます。
β-カロテン・ルテイン
β-カロテンは、キャベツの外側の緑が濃い部分に多く含まれています。
体内で必要に応じてビタミンAに変わり、皮膚や粘膜の健康を維持したり、目の神経伝達物質となり視力低下を予防したり眼精疲労緩和に効果があるとされています。
紫外線やブルーライトなどの光を吸収する性質のあるルテインも多く含まれているので、眼病予防にも。
また抗酸化作用もあるので、アンチエイジングにも期待がもてます。
葉酸(ビタミンB9)
ビタミンB12とともに赤血球の生産を助ける増血のビタミンと呼ばれている水溶性のビタミン。
DNAやRNAなどの核酸やたんぱく質の生合成を促進し、細胞の生産や再生を助ける働きもあります。
とくに細胞分裂が活発な胎児の正常な発育に大事な働きをするため、妊婦さんには普段の2倍ほどの摂取が望まれています。
ちなみにビタミンB12は、魚介類・レバー・海苔に多く含まれているそうです。
カリウム
カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保つ働きがあります。
どちらも大切な栄養素ですが、現代の食生活は気をつけないと、すぐナトリウム(塩分)の摂り過ぎになって、血圧が上がったりむくみが生じたりします。
カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制し尿として排泄を促進するため、血圧を下げ高血圧予防につながります。
カルシウム
骨や歯を作る栄養素です。他にも筋肉の収縮や精神安定にも大切な役割があります。
キャベツにはビタミンCやビタミンKも含まれているので、骨を丈夫にする相乗効果が見込まれます。
マグネシウム
カルシウムやリンとともに骨を構成する重要な成分。また、糖や脂質などのエネルギー代謝をスムーズにするのを助けたり、血管内に血栓を出来にくくするという大事な役割があります。
ジアスターゼ
大根の成分で有名なジアスターゼも含まれています。ジアスターゼはでんぷんやグリコーゲンの分解を促進し糖にする消化酵素で、消化不良や胃もたれ・胸やけを防止する働きがあります。
キャベツから発見されたキャベジン(ビタミンU)の働き
キャベジンはキャベツの絞り汁から発見された成分で、ビタミンに似た働きをすることからビタミンUとも呼ばれています。
胃腸薬の名前の由来にもなっているように、胃や腸を丈夫にし胃粘膜を保護する働きがあるので、胃炎や胃潰瘍の予防に効果があるとされています。
トンカツやカキフライなどの揚げ物には、必ずと言っていいほど生キャベツの千切りがついてきますが、とても理にかなった組み合わせだったのですね。
揚げ物は油が多く胃に負担がかかりやすいのですが、生キャベツを一緒に食べることで、胃粘膜を保護し消化を助け、胸やけを防いでくれるようです。
また飲食で疲れた胃腸を修復する働きで、二日酔いを軽減したり、動脈硬化や血栓予防にも効果が期待できます。
キャベツの芯には葉以上の栄養が
堅くて食べにくいので捨ててしまっている人も多いのではないでしょうか。
その芯にはじつは、葉以上の栄養がたっぷり含まれているのだそうです。葉部分よりカリウム・カルシウム・マグネシウム・リンが約2倍多く含まれているそうです。
そう聞くと、捨てるのがもったいなくなりますね。
「そぎ切り」すると火の通りがよくなり味もしみ込みやすく、生でも食べやすくなります。
芯は煮込み過ぎると臭みがでてしまいますが、短い加熱時間でも軟らかく甘くなるので、少し面倒ですがそぎ切りして芯の栄養も残さずいただきましょう。
キャベツには水溶性の栄養素が多い
キャベツには上記で紹介したようにいろいろな栄養素が含まれていますが、ビタミンC・キャベジン・カリウム・葉酸などは水溶性の栄養素なので、水に流れ出てしまうデメリットがあります。
洗う時はサッと手早く、水に浸け過ぎないように気をつけましょう。
栄養を無駄無く摂取するには生で食べるのが一番ですが、キャベツには体を冷やす性質があるので、一度に沢山は食べないようにしましょう。
でも、加熱するとキャベツの甘みが増して美味しいんですよね~。
加熱する場合は、蒸したり炒めたりする時間を出来るだけ短くしましょう。その時芯をそぎ切りしておくと短くてすみます。
スープにする場合は、汁に栄養が溶け出しているので汁ごと飲むようにしましょう。
キャベツの保存方法
キャベツは涼しい気温を好む野菜なので、寒い冬場以外は冷蔵庫で保存しましょう。
野菜室は5〜7℃ほどの設定でキャベツにとっては温かすぎなので、冷蔵室(3〜5℃)で。チルド室(0〜2℃)がある場合は、そちらの方がもっと適しているそうです。
一個丸ごとの場合は、底の芯部分をくり抜き、そこに水を湿らせたキッチンペーパーを詰め(水分補給させ、みずみずしさを保たせるため)、少し湿らせた新聞紙やビニール袋に入れ(この時口はあまり堅く締めない)芯を下に向け冷蔵庫へ。
2~3日ごとにキッチンペーパーを取り替えると1~2週間保存できます。
底の芯をくり抜く理由は、キッチンペーパーを詰めるためだけではなく、そこが付いたままだとキャベツが成長を続けてしまい、葉の栄養を奪うからです。また、外から葉をはがして使うようにすると長持ちします。
ピタッとラップに包まれたカットキャベツを購入した場合は、そのままでは呼吸が出来ず早く傷んでしまうので、帰宅したらすぐそのラップは外します。
それから湿らせた新聞紙かキッチンペーパーで包み、ビニール袋に入れ軽く口を締め冷蔵庫で保存しましょう。カットされたキャベツは丸ごとより保存期間が短くなります。
3~5日を目安に食べきるようにしましょう。
千切りキャベツの保存方法
知り合いに、なんかムシャクシャすることが起きると、キャベツを切りまくり千切りキャベツを大量に作る人がいます。
一心不乱にキャベツを切っていると、少し気持ちがおさまるのだそうです。
その山盛りの千切りキャベツが、ドンッ!と食卓に出てきた日は、他の家族は「今日はなんかしらんけど、機嫌が悪いらしい」と察知し、地雷を踏まないように無言でその山盛りの千切りキャベツを黙々と食べるのだとか・・・。
でも食べきれずに残ってしまう時もあるそうです。
千切りキャベツも保存できますが、断面が多くなり空気に触れる分、傷みも早くなってしまいます。そういう時は、酢やレモンを少し混ぜたり少し水を入れ、保存容器で冷蔵すると2日ほどは保ちます。
ザワークラフトにするのもいいかもしれません。
あるいはサッと水にさらしてパリッとさせ、水気をしっかり切りフリーザーバッグに入れ、出来るだけ空気を抜いて冷凍保存するといいそうです。冷凍で2週間~1ヶ月は保つそうです。
冷凍すると冷凍前のシャキシャキ感は失われてしまいますが、スープなど加熱料理に使うと美味しく食べられます。
それにしても、知り合いのように調理することでストレス解消にも役立つなんて、本当に使い勝手のよい野菜ですね~。
にこぴんは無性に千切りキャベツを作りたい!と思う時はありません(根が面倒くさがり?)が、無性にキャベツを食べたい!と思う時はあります。
たぶん、胃の調子がよくない時なのかもしれません。
おまけ
前出で「流通しているキャベツは茎部分が無くなり葉が結球したもの」と書きましたが、収穫せずそのままにしておくと、葉の間から茎がグッと伸びて黄色い花を咲かせます。
菜の花に似ていて、やっぱりアブラナ科の植物なんだなあ、と花を見ると思います。
出典・参照させていただいたサイト:
野菜ソムリエ“なかさん”の野菜town
macaroni
KAGOME VEGEDAY