唐辛子(鷹の爪)の栄養素と効能。辛味成分のカプサイシンのメリットとデメリット

鷹の爪-ニンニク-トマト 野菜

唐辛子と一言でいってもいろいろな種類がありますが、皆さんは何を思い浮かべるでしょう。
生の野菜としての唐辛子を買ったことがないという人でも、辛い調味料として一味唐辛子や七味唐辛子などを常備していて、うどんやそばにかけたり、あるいは鷹の爪をぬか漬けやペペロンチーノパスタを作るときに使うなど、日本でもなくてはならない調味料となっていますね。

唐辛子の辛味成分であるカプサイシンの健康効果について、いろいろいわれていますが、デメリットもあります。
今回はそのことを中心にまとめてみました。

唐辛子とは

鷹の爪-パスタ

唐辛子はナス科トウガラシ属の多年草、あるいは一年草の野菜で、世界中でいろいろな種類があります。
日本でよく使われる鷹の爪の他にも、ハラペーニョ、ハバネロ、ブート・ジョロキア、プリッキーヌ、韓国唐辛子などが有名ですね。

原産地は中南米で、メキシコなどでは紀元前6500年頃には食用になっていたといわれています。
日本に入ってきたのは戦国時代から安土桃山時代とされています。「唐辛子」という名前から中国(唐)から伝わったのでは?と思われがちですが、そうではなく他の国から入ってきたらしいのですが、そのへんの経緯については諸説あり、はっきりとはわかっていないそうです。
当初は観賞用の植物で、足袋のつま先に入れて霜焼け防止などに使われていました。
江戸時代になり、やっと薬や野菜として人気が出てきて、一味や七味唐辛子などが生産されるようになったそうです。

日本の食卓に出てくる唐辛子は、大きく辛味種と甘味種の2種類に分けられます。
辛味種は名前のとおり少し口に入れただけでも辛い、鷹の爪やハラペーニョ、ハバネロなどで、甘味種はピーマンや万願寺唐辛子、ししとうなどをさします。
※ししとうには辛いものもあります。
唐辛子の辛味はカプサイシンという成分で、ピーマンにはほとんど無いのですが、万願寺唐辛子やししとうにはあります。万願寺唐辛子は辛くならないように品種改良されていますが、ししとうには生成できる能力が少しあるので、ストレスが多い環境だと生成してしまうそうです。時々、食べている時に辛いものに当たることがあり、びっくりしますね。どうせ当たるのだったら、宝くじに当たりたいですよね~。

唐辛子の収穫期は、青唐辛子が花が咲いてから約20~30日後で7~8月。赤唐辛子は花が咲いてから約50~60日後なので8~10月頃になるそうです。
青(緑?)だから辛くない、赤いから辛いというわけではなく、そういうわけで唐辛子の種類によります。ただし、辛味種は赤くなるにつれ辛さが強くなるようです。

唐辛子というと、このように種類がありすぎるので、ここでは日本でポピュラーな鷹の爪を中心に紹介させていただきます。

唐辛子(鷹の爪)の栄養と効能

鷹の爪-実のる

カロリーは100gあたり345kcal(10本で17kcal)ほどですが、辛いので一度に100gも食することはないと思います、というか一度に100gも食すると体を壊す危険性があるので、カロリーは気にすることはないですね。
栄養素もいろいろ含んでいますが、あえて多いものを記すと、β-カロテンビタミンEビタミンB6ビタミンC食物繊維などです。
ビタミンCは生の鷹の爪には含まれていますが、乾燥させるとほとんどなくなります。
参考:カロリーSlism 唐辛子

ビタミンA・C・Eでビタミンエース 

緑黄色野菜に多いβ-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAになります。ビタミンA・C・Eを3つ合わせて「ビタミンACE(エース)」と呼び、抗酸化作用を持つ栄養成分です。
ビタミンAとビタミンEは細胞膜に、ビタミンCは体液中に存在して、それぞれの場所で活性酸素から体が錆びるのを防いでくれます。
ビタミンAとビタミンEは脂溶性なので、油との相性がよいです。

辛さ成分・カプサイシンの効能

唐辛子の健康効果を語るときに必ず出てくるのが、辛さ成分であるカプサイシンですね。これにはどのような効果が期待できるのでしょうか。

冷え性対策

江戸時代の人も足袋の中に入れていたように、体を温めてくれる効果があります。
唐辛子を食べると、カプサイシンが血行を促進し血流を改善する作用で体が芯から温まり、一時的に体温を上げるだけでなく、慢性的な冷え性改善にもつながります。
また、血行を促進し血流が良くなると、血行不良も原因の一つであるむくみの改善にも期待できます。

食べるだけではなく、入浴する時に刻んだ唐辛子をティーパックに入れ、それを入浴剤としてお風呂に入れるという方法もあります。冷え性の方は試してみてはいかがでしょう。

食欲増進

カプサイシンのような辛味は、人の舌や胃を刺激します。そうすると唾液や胃液の分泌が増えるので、食欲増進効果があるといわれています。疲れた時や夏バテなどで食欲のないときに辛い料理を食べると、結構食べられるのはこれが理由ですね。

塩分の摂取量を少なくできる

唐辛子などの辛いスパイスを加えることで、味や香りで料理の塩分の量を減らせます。

実際、辛味が好きな人は食塩に対する反応が強くて、濃いと感じる食塩の濃度が低いのだそうです。そのため「辛味を好むほど食塩の摂取量が少なくなるので、血圧は低い人が多い」ということが、研究でも判明しているそうです。

アンチエイジングと美肌効果

上記したように、唐辛子には抗酸化作用のあるビタミンエースが含まれており、それにより生活習慣病予防や皮膚の老化を抑える効果が期待できます。

それに加え、カプサイシンには発汗作用がありますね。汗をかくと水分だけでなく油分や老廃物も排出され、皮脂の分泌が調整され、肌の調子を整えてくれます。

脂肪燃焼効果でダイエットに役立つ

カプサイシンを摂取するとアドレナリンが分泌されます。そうすると新陳代謝がアップし脂肪燃焼を早める効果が期待できるそうです。
ダイエットをしているときに、有酸素運動などをしながら、積極的に唐辛子を摂取するように心がけるとよいそうです。

カプサイシンのデメリット

鷹の爪-七味唐辛子

カプサイシンのデメリットを一言で言えば「食べ過ぎ」です。

つい、激辛料理を食べ過ぎて、体の調子が悪くなったという経験をされた方もおられると思います。「健康によいから」と食べすぎると、逆に体を壊してしまう危険性があります。
食べすぎると、刺激の強い食べ物ですので、口の中から胃・腸に至るまで粘膜を痛めてしまうことになります。舌どころか口の中全体や胃が痛くなったり、下痢を起こしてしまったりします。
気管支も収縮させて咳が止まらなくなったり、息切れを起こすこともあります。

また、味覚障害になってしまうこともあります。味覚とは、甘み・苦味・酸味・塩味・うま味のことをいい、辛味は「痛覚」なのだそうです。
辛いのは舌が痛いと感じているからで、辛いものを食べると、脳が痛みを感じその痛みを抑えようとリラックスさせる成分「エンドルフィン」と「興奮作用のドーパミン」を放出します。
これらは脳内麻薬として知られていて多幸感や高揚感をもたらしますが、多幸感は辛いものを食べ続けていると通常の量では感じにくくなります。その結果、どんどん辛い物の量が増え、味覚が麻痺してしまう可能性があるそうです。

やはり、適量を考えて食べるようにしましょう。

生の鷹の爪を食べる場合

青唐辛子-醤油漬け

ご自分で鷹の爪を育てている方も多いですし、旬の時期には、野菜として生の鷹の爪が売られていることもありますね。

生は乾燥物より香り高く風味があり、乾燥物にはないビタミンCも含まれています。

乾燥させた鷹の爪と同じように、また唐辛子の仲間であるピーマンやししとうと同じような調理法で幅広く活用できますが、辛さがあるので、それは念頭に置いて料理を作ったらいいですね。
赤唐辛子は加熱すると辛さが増しますが、青唐辛子は加熱すると辛さがやわらぐので天ぷらなどでも食べられます。
ちなみに、生唐辛子の辛さ成分は種の周り(ピーマンでいうところの種の周りの白いワタのような部分)にしかないのだそうです。これを乾燥させると種にも皮にも辛さがまわり、全体が辛くなるのだとか。ですので、あまり辛くしたくないときには、この部分を取り除いて調理すると辛さがやわらぐそうです。

ピクルスにしたり、オリーブオイルで唐辛子オイル、青唐辛子を醤油に漬けて青唐辛子醤油を作ったりしておくと、長期保存もでき、料理に大活躍しますね。

新鮮な生唐辛子の見分け方

実の表面にハリと艶があり、色が鮮やかなものが新鮮です。ヘタの切り口が茶色く変色しているものは、収穫してから時間が経っていることになるので避けましょう。

保存方法

生の唐辛子は長持ちしそうですが、意外と傷みやすくあまり日持ちがしません。
赤唐辛子は干して乾燥させるのが一般的ですが、青唐辛子は乾燥すると色が変色してしまうので向かないそうです。

冷蔵や冷凍保存も可能なので、紹介します。
冷蔵の場合は、乾燥しないように、水分がついている時はしっかり拭き取り、密閉できる保存袋に入れるかラップして、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。一週間ほどは保つようですが、食べる前に傷んでいないかよく確認してください。
冷凍する場合は、1本ずつラップに包んでから冷凍庫に。手間がかかりますが、しっかり密閉することで冷凍焼けや変色を防ぎ、風味や辛味がなくなってしまうのを阻止し長持ちします。
目安としては約1年といわれていますが、風味はやはりどんどん落ちていくので、できるだけ早めに使うようにしましょう。

食べる以外の鷹の爪の活用方法

食べる以外の鷹の爪の活用方法として、お風呂に入浴剤として入れることは上記で紹介しましたが、米の防虫剤という使い方もあります。
米に寄ってくる虫は、唐辛子に含まれるテルペノイド系化合物という柑橘系の香り成分を嫌うらしく、唐辛子を入れていると虫除けに効果を発揮します。しかし生の唐辛子は水分を含んでいてカビの原因になってしまうので、必ず乾燥した唐辛子を使用するようにしてください。

タケノコのアクトリにも活躍しますね。アクトリするときに鷹の爪を加えると、タケノコのエグミが取れるだけでなく、身が引き締まり防腐効果もあるのだそうです。

鷹の爪-米

出典・参照させていただいたサイト:
Woman.excite. E・レシピ
まごころケア食 唐辛子の栄養と効果
唐辛子専門店 ハクタカ
NANIWA SPLI MEDIA とうがらしの栄養と効果効能・調理法・保存法
農林水産省 カプサイシンに関する情報

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