ニンニクの芽の栄養と効能/アリシンの量は減りますが緑黄色野菜に!

ニンニクの芽-肉炒め 野菜

ニンニクの芽というと、中華料理の炒め物などによく使われていて、シャキシャキとした食感で美味しいですよね。

ところでニンニクの芽とはどういう食材なのでしょう?
形状はアスパラガスに似ているところもありますが、ほんのりニンニクの香りもする…。
やはりニンニクの仲間なのでしょうか?名前のとおり「ニンニクの芽」なのでしょうか?
というわけで、今回はニンニクの芽として売られている野菜とはどういうもので、どういう栄養素が含まれているのかを調べました。

ニンニクの芽とは

ニンニクの芽-花蕾付き

ニンニクの芽とは、ニンニクが発芽した芽のことではなく、それから伸びた花茎部分を指すのだそうです。

まずニンニクの鱗茎(1片ずつ)部分を土に植えつけます。それから発芽し花を咲かせるために茎を伸ばします。
土の中のニンニクの鱗茎は、花を咲かせるためには大きなエネルギーが必要なので、栄養をどんどん溜め込み大きくなります。ですので、花が咲いてしまうとその溜め込んだ栄養は使われてしまいます。
ニンニクの栽培農家としては、栄養を溜め込んだ鱗茎部分が欲しいわけなので、花が咲く前に花茎の部分は摘み取ってしまいます。
それがニンニクの芽として売られている部分。正確にいうと「芽」ではなく「花茎」で、「茎ニンニク」という名で売られていることもあります。

日本で栽培されているニンニクのほとんどが、この花茎部分が短いのと、売り物にするには1本ずつ手作業で摘み取らなくてはいけなくて手間がかかることもあり、あまり市場に出回ることはありません。
5月下旬〜6月初旬頃、たまに道の駅や通販などでニンニクの芽(花蕾が付いたものもある)が売られていることがありますが、これは国産。新鮮で柔らかく貴重なものなので、見つけたら購入してみましょう。
一般的に1年を通して青果店やスーパーなどで売られているニンニクの芽は、中国でこの花茎部分も食材にしようと品種改良されたものを栽培したもので、ほとんどが中国から輸入されたものになります。

緑色をしているとおり、ニンニクの芽は緑黄色野菜に分類されています。
緑黄色野菜になりますから、ニンニクとは含まれる栄養素にも少し違いがあります。

ニンニクの芽に含まれる栄養素

ニンニクの芽-エビ炒め

ニンニクの芽可食部(生)100gあたりのカロリーは44kcal。
含まれる主な栄養素は、タンパク質・脂質・炭水化物(糖質+食物繊維)、ビタミンB群(B1・B2・ナイアシン・B6・葉酸・パントテン酸・ビオチン)、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン、ミネラル類のナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・鉄・亜鉛・銅・マンガン・セレン・モリブデン、香り成分のアリイン(アリシン)。
出典:カロリーSlism 茎ニンニク

このように、ニンニクには含まれていなかったビタミンC・ビタミンE、ビタミンB群などが増えているのは嬉しいですね。

ニンニクよりも一度にたくさん食べられる

ニンニクの記事でも紹介したように、ニンニクを食べると疲労回復や滋養強壮になるのはアリシン(アリイン)の働きが大きいわけですが、刺激が強すぎるために、あまり一度にたくさんは食べられません。
ニンニクの芽は、そのニンニクから発芽して伸びた花茎部分ですので、アリシン(アリイン)も含まれていてニオイもありますが、ニンニクより生成量が少ないので、もっと多くの量が食べられます。
よって、ニンニクと同じように含まれるタンパク質・脂質・炭水化物も、少ないですがエネルギー源になります。

含まれる主な栄養素の効能を見てみましょう。

体内でビタミンAに変換されるβ-カロテン

β-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換されるため、プロビタミンAと呼ばれる栄養素です。

ビタミンAの主要成分のレチノールには、皮膚や目の粘膜を健康な状態に保ったり、成長の促進、免疫力を保ったりというような様々な働きがあります。
さらにレチノールは、視細胞での光刺激反応に関与するロドプシンという物資の合成に必要な成分であるので、暗い場所での視力を保つ作用もあります。

β-カロテンは緑黄色野菜に多い栄養成分です。

エネルギー代謝を助ける補酵素・ビタミンB群

ビタミンB群は、タンパク質・脂質・炭水化物のエネルギー代謝を助ける補酵素として主に働きます。
糖のエネルギー代謝を助け、アリシンと結びつき疲労回復に働くビタミンB1や脂質のエネルギー代謝を助けるビタミンB2だけでなく、ニンニクの芽にはビタミンB6や葉酸・パントテン酸がニンニクより増えています。

細胞やDNA・赤血球を作る助けをする葉酸

葉酸は、ビタミンB12とともに赤血球の生産を助けるビタミンです。
代謝に関与しており細胞の生産や再生を助けることから、体の発育に重要で、特に胎児にとっては重要な栄養成分であることから、妊婦さんがよく勧められるビタミンです。
また、細胞内でホモシステインがメチオニンに変換される反応を助ける働きもしています。 メチオニンはタンパク質の合成や細胞増殖に必要ですので、妊娠していなくても日々生活するうえで重要な栄養素の一つです。

タンパク質の分解を助けるビタミンB6

ビタミンB6は主にタンパク質の分解を助けるビタミンで、皮膚の抵抗力増進や免疫機能の正常維持、赤血球のヘモグロビンの合成に欠かせない栄養素です。
そして、アミノ酸の代謝に関わっているので神経伝達物質の合成を促進する作用があり、精神の安定にも働きます。

脂質や糖質の代謝に関与するパントテン酸

パントテン酸は、主に脂質や糖質のエネルギー代謝を助けるビタミンです。
心身の免疫抗体の合成や薬物の解毒作用、脂質の代謝を促す善玉コレステロールを増加させるなどの働きがあります。
コレステロールからつくられる抗ストレス作用をもつ副腎皮質ホルモンの合成にも関与しています。

骨密度アップにビタミンK

ビタミンKは血液を凝固させる働きを持つ脂溶性のビタミン。
骨に存在するカルシウム結合タンパク質を活性化し、カルシウムの骨への沈着を促して流出を防ぐ働きがあります。
また、コラーゲン生成を促進し骨質を改善するので、骨粗しょう症予防も期待できます。

抗酸化作用のあるビタミンC

ビタミンCは、皮膚や細胞のコラーゲンの合成に不可欠で、シミ・シワ対策などの美肌効果のイメージが強いですが、肌だけでなく骨や血管などといった体のありとあらゆる場所で細胞と細胞をつなげる役割があります。
また、免疫力の強化や鉄の吸収促進、酵素の働きを助ける、抗酸化作用による老化や生活習慣病予防が期待できるなど、さまざまな働きで健康維持に役立ちます。

ビタミンCが増えることで、抗酸作用の強いビタミンエース(A・C・E)が揃うことになり、老化やサビの原因になる活性酸素からカラダを守る力が強くなりますね。

腸内環境を整える食物繊維

ニンニクの芽に含まれる食物繊維は不溶性食物繊維が多いです。
不溶性食物繊維は、水を溜め込む性質を持っているため、腸内で膨らみ、便のかさを増すことによって大腸の壁を刺激し、大腸の動きを活発にする働きがあり、便通の活性化が期待できます。

バランスよく含まれるミネラル類

ミネラルには細胞や体液・筋肉・神経などといった体の機能を調節する役割があります。
ニンニクの芽には、カリウムをはじめ他のミネラルも比較的バランスよく含まれています。

新鮮なニンニクの芽の選び方

ニンニクの芽-一般

全体的にみずみずしく鮮やかな緑色で、あまり固くなく弾力を感じるものが新鮮です。切り口が茶色くなっているのは傷み始めています。
太くて真っ直ぐ伸びているものには栄養成分が多いので、出来るだけそういうものを選びましょう。

保存方法

冷蔵保存

購入して2~3日で食べる場合は、乾燥しないようにキッチンペーパーに包んでチャック付きのポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。

冷凍保存

3日より長く保存したい場合は、冷凍保存も可能です。
まず、熱湯で1分ほど茹でて冷水で冷やします。ザルにあげてしっかりキッチンペーパーなどで水気を拭き取り、ラップに包み、チャック付きのフリーザーパックに入れて冷凍庫へ。
保存の目安は1ヶ月程度です。

下茹でしてあるので、調理するときはそのままでも大丈夫ですが、炒めたりするとフライパンの温度を急激に下げてしまい水っぽくなったりするので、少し常温で解凍してからの方が良いそうです。

下ごしらえ

ニンニクの芽-ラーメン

炒め物の場合

ニンニクの芽は炒め料理に使うことが多いですね。
炒め物に使う場合は下処理した方が美味しくできます。
まず根元の硬い部分を2cmほど切り捨てます。
真っ直ぐ切ることが多いですが、筋っぽく感じることがありますね。斜めに短めに切ると、歯触りが柔らかくなり食べやすくなるそうでオススメです。

和え物の場合

和え物にする場合は下茹でしてから調理すると、雑味が取れて甘みを引き出すことができるそうです。
適量の塩を入れた熱湯に、ニンニクの芽を切らずにそのまま入れて2~3分茹でます。
冷水にさらしザルにあげ、水気をしっかりとってから好みの大きさに切り調理します。

やはり食べ過ぎは注意

料理でニンニクの芽だけを大量に食べる、というのは考えづらいですが、やはり食べ過ぎには注意です。
ニンニクより栄養成分が増えるというのは嬉しいですが、不足している栄養成分もあります。
またニンニクほど強くはありませんが、香り成分のアリシンを含んでいるため、食べすぎると口臭の原因やお腹の不調につながってしまいます。

牛肉や豚肉、イカやエビなどの魚介類など、他のいろいろな食材と一緒に調理された料理が多いニンニクの芽。とくにビタミンB1を豊富に含む豚肉と炒めるのはスタミナ料理になり人気ですね。
中華料理にひんぱんに出てくるニンニクの芽。これからも美味しく食べていきましょう。

ニンニクの芽-定食

出典・参照させていただいたサイト:
にんにく大辞典 That’s にんにくの芽
キナリノ 栄養満点!炒めて完成【にんにくの芽】活用レシピ
シンクヘルスブログ ニンニクの芽の栄養成分と効果
ヤマサ 6月の旬の食材 にんにくの芽
日本edduce食育総合研究所 にんにくの芽

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