食材に含まれる飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違い。EPA・DHA中鎖脂肪酸とは?

食用オイル 食べ物雑学

食材について調べていると「これは不飽和脂肪酸のn-3系脂肪酸で」とか「一価不飽和脂肪酸のオレイン酸」とか出てくるのですが、あんまり理解出来ていないまま記事を書いてるなあ、いうことに気がつきました。そこに「中鎖脂肪酸」などが出てくると、もう頭の中がこんがらがってしまったので、まず脂肪酸とは何か、種類についても整理してみました。

脂肪酸は、食用油の主成分である脂質を構成する重要な成分

あぶらには、常温で液体のあぶら(油)と固体のあぶら(脂)があります。これをまとめて、油脂と呼んでいます。この油脂は、脂肪酸グリセリンという分子からできています。脂肪酸、グリセリン、コレステロールなどをあわせて脂質と呼んでいます。
(農林水産省ホームページより)

要するに脂肪酸は脂質を構成する成分で、食品中の脂肪の約9割が脂肪酸で出来ています。脂肪酸は炭素、水素、酸素が鎖状につながった物質で、体の中で消化されながら徐々に短くなり、その過程で熱を発生しエネルギーになるのだそうです。
その鎖状につながる長さの違いで、短鎖・中鎖・長鎖脂肪酸に分けられます。さらに結合方法の違いで飽和脂肪酸不飽和脂肪酸に分けられます。

短鎖脂肪酸

短鎖脂肪酸とは、酪酸・プロピオン酸・酢酸などの有機酸のこと。
食材ではバターや酢に含まれていますが少ないです。
短鎖脂肪酸の多くは、オリゴ糖や食物繊維を腸内細菌(ビフィズス菌など)が分解することにより産生されます。

大腸の粘膜細胞のエネルギー源となり、腸内を適度な酸性に保ち善玉菌を増やし悪玉菌をやっつけて腸を元気にしてくれる働きがあります。
元気になった腸粘膜はウィルスや病原菌から体を守る機能がアップするそうです。

中鎖脂肪酸

食材としては、ココナッツオイル・牛乳などに多く含まれています。

中鎖脂肪酸は、長さが長鎖脂肪酸の約半分で、水になじみやすく摂取してから肝臓に運ばれるのが長鎖脂肪酸と比べ4〜5倍も早く、短時間で分解されエネルギーに変換されます。なので体脂肪として蓄積されにくいという特徴があります。

もう一つの特徴が、ブドウ糖の代わりにエネルギーとして使われるケトン体に体内で変換されやすいことです。ケトン体は脳のエネルギー源になり、認知症予防にも効果があるのではないかと、研究が進んでいるそうです。

長鎖脂肪酸

短鎖・中鎖脂肪酸を除く、一般的に食べる油脂の多くが長鎖脂肪酸です。
摂取してからリンパ管・静脈を通り、脂肪組織・筋肉・肝臓に運ばれ、分解されたり貯蔵されたりします。


分子構造の結合の仕方で、いろいろな種類がありますが、大きく飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸に分けられます。

脂肪酸-図

飽和脂肪酸とは

分子構造的に二重結合がない脂肪酸を飽和脂肪酸と呼びます。
動物性(魚を除く)脂肪・乳製品などに多く含まれています。簡単に言うと、常温で固体のものが多い。
重要なエネルギー源であり体にとって欠かせない栄養素ですが、過剰摂取すると余った分が体脂肪として蓄積され、肥満や悪玉コレステロールの増加など、生活習慣病を引き起こすと言われています。

不飽和脂肪酸とは

不飽和脂肪酸は主に植物や魚の脂に含まれています。常温では液体のものが多い。
分子構造的に二重結合を1つだけ持つものを一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸)、2つ以上持つものを多価不飽和脂肪酸と呼んでいます。さらに多価不飽和脂肪酸は二重結合の位置の違いにより、オメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸に分けられます。

一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸)

一価不飽和脂肪酸に含まれるオレイン酸は、オリーブオイル・アボカドオイル・米油・アルガンオイル・椿油などに多い。
善玉コレステロールの数値を変えることなく、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を下げる働きがあると言われています。
また、腸の働きを活性化して便秘予防にも効果が期待できます。
酸化しにくく加熱料理に向いていますが、体内でも合成出来るため過剰摂取はしないように。

多価不飽和脂肪酸(オメガ6系脂肪酸)

体内で合成することが出来ないため、食事から摂取することが必要な必須脂肪酸。
リノール酸は主に大豆・ひまわり・紅花・ごま油(サラダ油はオメガ6系の植物油を精製したもの)、アラキドン酸は卵、鶏・豚・牛肉、魚類に含まれています。
オメガ6系脂肪酸の約9割がリノール酸と言われており、悪玉コレステロールや中性脂肪を低下させる働きがありますが、摂りすぎると花粉症などアレルギーや動脈硬化・心臓の病気を誘発する可能性もあるので摂りすぎに注意。

多価不飽和脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)

こちらも体内で合成することが出来ないため、食事から摂取することが必要な必須脂肪酸。
血流を良くし動脈硬化や脳梗塞・高血圧などの生活習慣病を予防したり、中性脂肪値を下げる、アレルギー症状を改善する、脳を活性化するなどの効果が期待されています。

青魚(さば・いわし・サンマなど)にEPA・DHAが豊富で、植物由来の亜麻仁油・エゴマ油、くるみにα-リノレン酸が含まれます。
α-リノレン酸は体内でEPA・DHAに変換されるそうです。ただ、熱に弱く酸化しやすいので、加熱料理には使わず、サラダなどにかけて食べるといいそうです。

脂肪は全体的に摂り過ぎに注意しバランスよく摂りましょう!

摂取する脂肪酸バランスは、飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸3:4:3が理想的と言われていますが、欧米化した今の日本の食生活では、飽和脂肪酸とリノール酸が摂取過多になっており、オメガ3系脂肪酸が少ない状態になっています。
オメガ3:オメガ6の比も、1:4ぐらいが理想的に対し、今は1:10以上になっていると言われています。
全体的に脂肪酸を摂り過ぎになっているので、飽和脂肪酸とリノール酸の量を減らし、オメガ3系脂肪酸を増やすことが大事だそうです。

飽和脂肪酸とリノール酸の摂取量が多い食生活の場合、そこにEPA・DHAなどのサプリをプラスするのでは、摂取するカロリーがもっと増えてしまい意味がありません。
例えば料理をする際、炒める油をサラダ油からオリーブ油に替えるとか、昼食でトンカツを食べたのなら、夕食は唐揚げではなく刺身にするとか、そんな感じで置き換えてバランスをとりましょう、ということでしょうか。

トランス脂肪酸

にこぴんが子供の頃は「動物性のバターより植物油で出来たマーガリンの方が低カロリーで体に良い」とか言われていましたが、摂取を控えた方がいいトランス脂肪酸を含んでいることが分かってきました。

トランス脂肪酸は摂り過ぎると、悪玉コレステロールを増加させ、肥満や動脈硬化、アレルギーを引き起こすと言われています。

トランス脂肪酸は天然でも、反芻する牛や羊などの胃の働きにより作られるものがあるようですが、油脂を加工・精製する工程で出来るものもあります。
本来液体の魚油や植物油が原料ですが、それを固形にする加工工程、あるいは臭いを取り除くため高温で処理する時、トランス脂肪酸が出来てしまうそうです。
マーガリンやショートニング、サラダ油にも含まれているものがあります。
パンや菓子、乳製品をよく食べるところでは、トランス脂肪酸の利用を原則禁止している国もあるようですが、日本はまだ推定摂取が基準を下回っているため、表示の義務や量の規定はありません。
ですが、人により食べる量には個人差があります。多いなあと感じる人は注意した方がよいでしょう。

日本も食生活の欧米化が進み、健康ブームが高まっている中、食品事業者も新しい技術を開発し、好ましい品質を維持しながら、トランス脂肪酸を出来るだけ減らす努力をしている真最中だそうです。

出典・参照させていただいたサイト:
厚生労働省 e-ヘルスネット
農林水産省 すぐにわかるトランス脂肪酸
日本脂質栄養学会
公益財団法人 日本食肉消費総合センター

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