ジャガイモを知らない人は、まずいないでしょう。
スーパーなどに行くと「カレーセット」としてジャガイモ・人参・タマネギが1つの袋に入れられて売られたりしています。
当日はそれでポトフを作り翌日はそれをカレーに変身させたり、他にもいろいろな料理に使えますし保存もきくので、常備しているご家庭も多いことでしょう。
今回は嫌いな人がほぼいないと思われるジャガイモの、効能や保存する時に注意した方がいいことなどを中心にまとめてみました。
ジャガイモはインカ帝国時代には食べられていた
ジャガイモはナス科の多年草で、南アメリカのアンデス地方が原産。トウモロコシと共にインカ文明を支えてきた、歴史の長い食材です。
大航海時代にヨーロッパに伝わり、世界各地で栽培されるようになりました。
ジャガイモは炭水化物(デンプン質)を多く含んでおり、主食として食べられている地域も多いので「穀物に準ずる主食となる農産物」→「いも及び粉類」ということになるそうです。
サツマイモと同じで食材になっている芋部分は養分を貯蔵している場所で、デンプンが多いんですね(ただ同じ芋といっても、サツマイモは根の部分に貯蔵し、ジャガイモはナス科ということもあり茎の部分に貯蔵し太くなるという違いがあるそうです)。
穀物もデンプンが多いですが定義が「種子」なので、植物の中で茎部分のジャガイモは、やはり「野菜」に分類されるようです。
カテゴリー分けって、複雑でちょっとややこしいですね~。
ジャガイモの種類
日本でもジャガイモは各地で栽培されていて、長期保存も可能なので、一年中手に入る食材です。
生産量が多いのはなんといっても北海道。全体の8割ほどになるのだそうです。
ジャガイモは大きく粉質のものと粘質のものがあり、男爵薯とメークインが全体の半分以上を占めるそうですが、他にもキタアカリやインカのめざめなどいろいろな品種が開発されていて、皮の色が紫や赤色をしたものもあります。
男爵薯
早生種で環境への適応力や収穫したあとの貯蔵性も高いので、生産量が多いようです。
形はゴツゴツとした球形に近く、芽の部分のくぼみが深く皮が剥きにくいですが、果肉は粉質でホクホクとした食感が楽しめます。
長時間煮ると煮くずれしやすいので、じゃがバターやフライドポテト、茹でて潰して作るポテトサラダやコロッケなどに適しています。
メークイン
下が膨れている楕円形の形をしており、表皮がスベスベでくぼみも浅いので、皮が剥きやすいです。
果肉は粘質で、男爵薯よりほんのり甘味があります。
煮くずれしにくいので、カレーやシチュー、肉じゃがなど煮込み料理に適しています。
キタアカリ
男爵薯にツニカという品種を交配して作られた品種で、粉質のホクホクした食感のジャガイモです。
見た目は男爵薯と似ていますが、芽の部分が男爵薯よりほんのりと赤いので、そこで見分けがつきます。
果肉は男爵薯より黄色く甘味が強くなっていて、別名「クリジャガイモ」とも呼ばれています。
インカのめざめ
卵のような形をしており、やや小ぶりなジャガイモ。
果肉はきれいな黄色をしており、やや粘質できめが細かいため舌触りがよいです。
煮込み料理に適していて、加熱しても果肉の黄色が残り料理の見た目も綺麗です。
果肉の黄色は抗酸化作用の強いカロテノイド系色素によるもので、キタアカリにも含まれていますが、キタアカリより約7倍多いそうです。
ただ小ぶりなジャガイモで大型機械での収穫が難しく、長期間の保存に向いていないため、生産量が少なく希少品種になるようです。
新ジャガ
日本の西南地方で栽培されているジャガイモ(主に「ニシユタカ」という品種)は、長期貯蔵が難しいこともあり、収穫されるとすぐ出荷されることが多く、冬から初夏にかけて「新ジャガ」として店頭に並びます。
また、北海道などでも7月末あたりから収穫が始まりますが、「新ジャガ」として貯蔵せずすぐに出荷されるものもあります。
皮が薄く水分量が多いので長期保存には向いていませんが、みずみずしいのが特徴です。
皮の色が紫や赤い色のジャガイモ
皮の色が黒っぽく果肉が紫色のシャドークイーンや、皮色が赤っぽいグラウンドペチカやノーザンルビーなどの品種もあります。
この紫や赤色は、眼精疲労改善効果などが期待できるポリフェノールの一種であるアントシアニンの色です。
ジャガイモのカロリーは意外と低い
ジャガイモ(生)は100gあたり76kcal。
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)
芋類で主食になるほど炭水化物が多いので、食べると太るイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、同じ芋類であるサツマイモが134kcal、一般的な白米が168kcalとされているので、意外に低いことがわかります。
栄養素としては、炭水化物、ビタミンC、カリウムが多いのが特徴ですが、植物性タンパク質、ビタミンB群、ミネラルもカリウム以外にマグネシウム・リン・鉄・銅・亜鉛などが含まれています。
主な栄養素の効能
エネルギー源である糖質
炭水化物は体内に入ると糖質と食物繊維に分けられます。
糖質は、タンパク質・脂質と並ぶ「三大栄養素」で、生命を維持し活動するために必要不可欠なエネルギー源です。
糖質を効率よくエネルギー代謝させ、中性脂肪として体内に蓄積させないようにするには、補酵素として働くビタミンB群も必要ですが、ジャガイモにはそのビタミンB群(特にビタミンB1)も含まれています。
腸内環境を整えてくれる食物繊維
食物繊維は、体内で吸収されず大腸まで届きビフィズス菌などのエサになり善玉菌を増やし腸内環境の改善をサポートし、便秘解消に役立ちます。
余分なコレステロールやナトリウムの体外への排出を促したりするので、高血圧の予防にも。また、小腸での栄養の吸収をゆるやかにするため、食後の血糖値の上昇を抑える効果にも期待ができます。
加熱しても壊れにくいビタミンC
ジャガイモ100gには35mgものビタミンCが含まれており、これはビタミンCが多いイメージのミカンと同等量だそうです。
ビタミンCは、シミやくすみの原因になるメラニンの生成を抑え、美肌作りに役立つ栄養として有名ですよね。
他にもコラーゲンの生成を促したり、鉄やカルシウムの吸収を高め、骨や血管を丈夫にしたり、免疫力を高める働きがあります。
一般的にビタミンCは熱に弱いのですが、ジャガイモに含まれるビタミンCはデンプンに守られているので、加熱しても比較的失われにくいという嬉しい特徴があります。
血圧上昇やむくみ予防にカリウム
ジャガイモにはカリウムが100gに410mgと豊富に含まれています。
腎臓でのナトリウム(塩分)の再吸収を抑制する働きがあり、余分なナトリウムを尿として排出するので、血圧上昇や塩分摂り過ぎで起こるむくみ防止に役立つと言われています。
ジャガイモの選び方や保存する際の注意ポイント
選び方
ジャガイモを購入する際は、まずどういう料理に使うかを考えて選ぶのが1つのポイントです。
前述したようにジャガイモには粉質と粘質のものがあり、ポテトサラダやコロッケにするか、カレーやシチューにするかで選ぶ品種が変わってきます。
どちらにしても、表面がなめらかでシワがなく、全体的にふっくらとして、しっかりとした重さのあるものを選びましょう。
芽が出始めているものは栄養が取られていて味が落ちているので避けるようにしましょう。
ただ、芽が出る直前のものはデンプンの糖化が進んでいて、甘さが増しているそうです。
新ジャガは、皮が指ではがれそうな程薄いものがみずみずしく、皮ごと食べられ、新ジャガの良さを味わえます。
保存する際の注意点
ジャガイモの保存は常温が基本。冷蔵庫に入れず、湿気を嫌うため風通しのよい冷暗所で保存しましょう(ただし夏場など気温が20℃以上になる頃は、芽が出やすくなるので、キッチンペーパーなどで包みビニール袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存)。
ジャガイモは日に当てると表面の皮部分が緑色になっていきます。蛍光灯でも緑化が進むそうなので、新聞紙などで包むか、日が当たらないように被せましょう。
緑化した皮や発芽した芽には、ソラニンやチャコニンという天然毒素が生成されています。これを食べると吐き気や下痢、腹痛・頭痛などの症状が出る場合がありますので、保存する際は発芽させない、緑化させないことがとても大事です。農林水産省
ジャガイモを保存する時は、一緒にリンゴも入れておくと、リンゴが放出するエチレンガスがジャガイモの成長を抑制するように働くので、発芽しにくい状態を作ってくれます。
冷凍で保存する場合は
まずジャガイモをきれいに洗って水気をよく拭き取ります。芽の部分を包丁の刃元でえぐり取り、一個ずつラップでピッタリと包みます。それをフリーザーパックに入れ口をしっかり閉じて冷凍庫へ。
茹でたり蒸したりしたものは、そのまま潰してマッシュポテトにし、完全に冷ましてから、フリーザーパックに入れて平にならし、空気を抜いて口をしっかり閉めで冷凍保存。コロッケにする場合は他の具材も混ぜ合わせて俵型に小分けして冷凍しておくと、自然解凍でそのまま衣をつけて揚げることができます。
ジャガイモの皮が緑っぽいのは、深く剥いて!
調理する時に、芽が出ていたら根元を含め完全に取り除き、緑色の皮は深く剥いて緑色の部分を全て取り除きましょう。
ソラニンやチャコニンは、茹でても分解されないので量が減らないそうです。
植物だけではなく動物も魚介類もですが、皮の部分には外敵から身を守る為に、抗酸化作用の強い色素成分や栄養をたくさん持っていることが多いですね。しかしジャガイモのように、人間にも毒になる成分を含んでいる時もあります。
そりゃそうですよね。生物は人間に食べられるために生まれてきているわけではないので、人間も外敵の1つなわけです。
一般的に植物は皮部分の栄養価が高く、ジャガイモもそうなのですが・・・。
皮が緑化してたり芽が出ているジャガイモ、とくに家庭菜園などで育てている方などは気をつけましょう。
フライドポテト、美味しいんだけど・・・
前述したとおり、ジャガイモは炭水化物が多い割に、低カロリーな食材です。
茹でたり蒸したりする料理では、そんなにカロリーも増えないのですが、フライドポテトなどのように油で揚げると、一気に237kcalほどまでカロリーが上がってしまいます。
フライドポテト、美味しいんですよね~。一度食べ出すと止まらなくなるのは管理人だけでしょうか。
ポテトコロッケも美味しいですよね~。なんだか困ったものです。
糖質以外にもビタミンCや食物繊維・カリウムと、生活習慣病予防やアンチエイジングに役立つ栄養がいっぱいのジャガイモ。
一年中手に入りやすい食材ですし、日々の食生活に取り入れて、適量を美味しく食べていきましょう。
出典・参照させていただいたサイト:
kurashiru じゃがいも
お役立ち!季節の耳より情報 じゃがいも
ニチレイ ほほえみごはん
Wikipedia ジャガイモ
旬の食材百科 ジャガイモ種類