レンコンの栄養と効能。生でも食べられ、収穫時期により食感や味わいが少し違う

レンコン-きんぴら 野菜

今では一年中スーパーなどの店で見かけるレンコン。
クセのない味や色味で、煮ても焼いても揚げても、そして生でも食べられる、料理のレパートリーが多い嬉しい食材ですね。
今回は、そのレンコンに含まれる栄養素とその効能、また、収穫時期により食感や味わいの違いについて調べてみましたので紹介します。

レンコンとは

レンコン-ハスの花

レンコンは漢字で「蓮根」。沼地などで夏に綺麗な花が咲くハスの地下茎部分です。「根」と書きますが、根部分でなく地下茎部分
輪切りにすると複数の穴が空いているのが特徴ですが、この穴は空気の少ない泥中のレンコン自身の呼吸を助けるためにあるそうです。この断面の穴を日本では「先を見通すに通じ縁起が良い」ということで、おせちや節句の料理にもよく使われていますね。

日本でも弥生時代には、すでに存在していたと推測されていますが、その頃のものは地下茎が細く、もっぱら花を愛でる観賞用でした。
食用のものは、仏教伝来とともに鎌倉時代から江戸時代に、中国から僧が持ち帰ったのが在来種になったと考えられますが、現在流通しているレンコンは、明治時代以降に中国から入ってきたものを品種改良したものなのだそうです。
ですので、観賞用のハスと食用とするレンコンは、品種が違うのだそうです。

レンコンが持つ栄養素の特徴

レンコン-筑前煮

レンコン生の可食部100gあたりのカロリーは66kcal。
主に炭水化物(糖質+食物繊維)ビタミンCパントテン酸カリウムカルシウムマグネシウムリンや、粘り成分のムチレージタンニンなどが含まれています。
参考:日本食品標準成分表 2020年版(八訂)

レンコンのビタミンCは壊れにくい

ビタミンCは体の細胞を結ぶコラーゲンの合成に不可欠で、皮膚や粘膜の健康維持になくてはならないビタミン。
老化や生活習慣病の原因のひとつと考えられる活性酸素を活性酸素が増え過ぎないよう抑制してくれる抗酸化作用もあり、メラニン色素の生成を抑えシミ・シワを防ぐ美容効果、動脈硬化などの生活習慣病予防に効果が期待できます。
また、ストレスへの抵抗力を高め疲労回復や、カルシウム・鉄の吸収を良くする働きもあります。

ビタミンCは熱に弱いのですが、レンコンのビタミンCはデンプン質に守られているので、加熱しても壊れにくいという嬉しい特徴があります。

整腸作用のある食物繊維

食物繊維には水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維がありますが、レンコンにはどちらも含まれています。

水溶性食物繊維は、糖質やコレステロールなどの栄養素の吸収速度をゆっくりにし、食後の血糖値の上昇を抑える働きがあります。また、体外に排出する作用もあるため、高血圧、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病予防に効果があります。
不溶性食物繊維は、胃や腸で水分を吸収して大きく膨らむことで、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、スムーズな排便を促します。

どちらも腸内の善玉菌のエサとなるため、腸内環境を整えてくれます。

高血圧予防にカリウム

カリウムはナトリウムと共に体内の細胞を正常に保ったり血圧の調整などに働くミネラルです。
近年の食生活はナトリウム(塩分)摂り過ぎ傾向にあり、増えてしまったナトリウムの排出を促し、血圧上昇を抑えます。
そのため高血圧予防やむくみ解消に働き、また体液のphバランスを保つ役割もあるので、正常な筋肉の収縮や神経刺激の伝達にも役立っています。

抗酸化作用のあるタンニン

ポリフェノールの一種であるタンニンには、抗酸化作用や、消炎、収れん作用があるといわれます。
消炎や収れん作用は、胃腸の粘膜を保護し炎症をおさえてくれる作用で、胃潰瘍や十二指腸潰瘍に効果があるとされています。
レンコンは皮をむくと、酸化してたちまち変色していくのは、このタンニンが含まれているためです。

いろいろ体に良い効果があるタンニンですが、鉄分吸収の阻害の一因ともなるので、鉄分が不足しやすい方は摂りすぎないよう注意した方がいいそうです。

丈夫な骨を形成するのに必要なリン

丈夫な骨や歯を形成し維持するのに必要なミネラルに、カルシウム・マグネシウム・リンがあります。
レンコンにとくに多いのがリンで、骨や歯の形成に関わる他に、細胞膜や核酸の成分になったり、pHの調整や浸透圧の維持にも働きます。

新レンコンと晩秋レンコンの違い

レンコン-餅

新レンコン

6~9月頃に収穫されるレンコンを「新レンコン」と呼びます。
白っぽい色で、みずみずしくあっさりとした味わいです。
シャキシャキとした食感を楽しむことができるので、輪切りにしてサラダに入れたり、和え物やサクサクとした揚げ物に向いています。

晩秋レンコン

レンコンの需要が多くなる11~2月頃に出回るレンコンです。
レンコンを田んぼの中で寝かせているので、冬に近づくにつれデンプンが糖に変化します。そのため、風味が濃厚になり、粘りと甘みが強くなっています
加熱して煮物や天ぷらにするとホクホクした食感を、擦りおろしてレンコン餅などにすると、また違った食感を愉しめます。

レンコンは露地栽培だけでなく、ビニールハウス栽培やトンネル栽培も行われているので、一年中出回ってはいます。

新鮮なレンコンの選び方

レンコン

ふっくらと太く、ずっしりと重みを感じるもの。
レンコンの途中にあるくびれた節が両端に残っている方が鮮度が保たれやすいので、そういう状態のもの。
また、レンコンは空気に触れると酸化して変色したり乾燥したりするので、日持ちを良くするために、あえて泥付きの状態で売られているものがあります。泥付きのものが売られていたらそちらを。
洗ってあるレンコンの場合は、変色しているような傷やシミのないものを選びましょう。
途中でカットされたレンコンの場合は、切り口がパサついて、穴の中が黒ずんでいるものは鮮度が落ちていますので、選ばないようにしましょう。ちなみに穴の大きさが均等で小さめのものが良品とされているようです。

レンコンの下処理

レンコンはカットして断面が空気に触れると、上記したように、タンニンのアクが強いため、黒く変色してしまう性質があります。
味や栄養に変化はないのですが、料理の見た目が悪くなってしまうため下処理をするのが通常ですが、水と酢水では食感に違いが出ます。
水に浸けるとヌメリ成分が出て、ホクホクとした食感になります。
酢水だとデンプン質の働きが抑えられるため、ヌメリが出にくくなり、シャキッとした食感になります。
どちらも、レンコンにはビタミンCやカリウムなど、水に流れ出る性質の栄養素が多いので、長く浸けず5分ほどにしましょう。

レンコンの保存方法

乾燥させない

保存をするときのポイントは、乾燥させないようにすることです。

泥が付いたままのレンコンは、泥を落とさないようにして新聞紙で包みます。
洗ってあるレンコンは乾燥しやすいので、新聞紙やキッチンペーパーを水で軽く湿らせて包みます。
カットされているレンコンは、空気に触れないようにピッチリとラップで包み、冷蔵庫の野菜室で保存をします。

14℃以下の気温の時期は常温で保存

カットされていないレンコンは、14℃以下の涼しい季節や冬場は、常温で保存できます。
新聞紙などで包み乾燥対策をして、湿気のこもらない風通しのよい直射日光の当たらない冷暗所で保存します。

冷蔵保存は野菜室で 

野菜室での保存であっても、新聞紙やラップに包んで乾燥を防ぐようにします。2~3週間は日持ちします。
カットされているレンコンは傷みやすいので、2、3日中には使い切るようにしましょう。

冷凍保存も可能

レンコンは冷凍保存できます。使いやすい大きさにカットし、酢水にさらしてアク抜きをします。
キッチンペーパーなどでよく水気を拭き取り、フリーザーパックに入れて冷凍します。1ヶ月ほど保存可能です。

煮物や汁物に使うときは凍ったまま調理します。冷凍することで組織が破壊されるので味が染みこみやすくなります。

レンコンは生でも、皮付きも食べられる

レンコン-サラダ

煮物や炒め物、揚げ物などでよく食べられるレンコンですが、新鮮なものであれば、生でも、皮が付いたままでも食べられます。
レンコンには、ビタミンCなど水に流れ出す性質の栄養素が多いので、栄養をより多く摂ろうとしたら、生食の方がよいくらいです。
成熟したものも生で食べられますが、どんどん繊維質やデンプン質が増えるので、硬くなっていきます。
生で食べるなら、晩秋レンコンより新レンコン、芽から2節目までの若い先端部(丸くて小さい部分)が柔らかくて、自然の甘みも感じるので向いています。
生で食べる時は、とくに皮や穴の部分に泥などが付いていたら、よく洗って落としましょう。

アクが嫌であれば、水や酢水に浸ける下処理をした方がいいですが、レンコンのアク自体は体に悪いものではないそうなので、気にならなければそのままカットしてサラダなどに入れてもいいでしょう。
薄くカットすると、硬さも気にならなくなります。
ただし、あまり量を食べすぎると、繊維質とデンプン質を消化するために胃腸に負担がかかり、下痢しやすくなるので、食べ過ぎには注意です。

皮も食べて問題ありません。むしろ摂取できる栄養素が増えます。
ただ、皮を剥いた方が、煮物などにする場合には調味料などの染み込みはよくなります。

味噌汁など汁物に入っているときは、汁ごと飲むようにすると、流れ出た栄養も残さず摂れますね。

レンコン-汁物

出典・参照させていただいたサイト:
DELISH KITCHEN れんこん
E・レシピ レンコンの栄養
Macaroni レンコンの栄養と効能
Wikipedia レンコン
和食の旨み れんこんを生で食べる際の注意点と「あく」を抜く必要がない理由

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