ゴーヤの栄養価と効能。ビタミンCと苦み成分モモルデシンで疲労回復

ゴーヤ-チャンプルー-鰹節 野菜

夏の定番野菜として、よく見かけるゴーヤ。
お惣菜屋さんなどでも、ゴーヤチャンプルなどが普通に並んでいて食欲をそそりますね。
実際に食欲を増進させる効果があり、ほてった体を冷やし夏バテ予防にもなる、ゴーヤの栄養やその保存方法・調理方法などを紹介いたします。

ゴーヤとは

ゴーヤはウリ科ツルレイシ属の野菜で、正式名称をツルレイシと言います。
原産は東南アジアとされ、江戸時代に日本に伝来し沖縄や南九州で多く栽培されてきました。
今も一番生産量が多いのは沖縄県。それに鹿児島県・宮崎県・熊本県・長崎県が続きます。

同じツルレイシでも育つ環境で品種が違ってくるようで、九州で栽培されてきたのは「長レイシ」という種類。苦瓜(ニガウリ・ニガゴイ)と呼ばれています。キュウリのように細長く、少し薄い緑色で果肉が固く歯ごたえがあり、苦味が強いのが特徴です。
沖縄地方でよく栽培されてきた「あばしゴーヤー」は、長さが九州のより短く、真ん中あたりが太くずんぐりとした体型。緑色が濃く肉厚で苦味が少ないのが特徴です。

全国に向けて出荷体制が整いつつあった頃、NHKの沖縄を舞台にしたドラマ「ちゅらさん」に出てくるキャラクター・ゴーヤーマンが活躍したり、沖縄料理がブームになったこともあり、ツルレイシという野菜が沖縄名である「ゴーヤー」で、一躍全国的に知れ渡ることになりました。
九州の栽培農家さん達も「売れてナンボ」ですから、ゴーヤーという名で売れるならそれで統一してもいいか、という事になってきているようです。

全国に出荷される野菜になると、ゴーヤーは短くゴーヤと呼ばれるのが一般的になり、「このイボイボした緑色の野菜、見るからに栄養がありそうだから食べたいのだけど、この苦味が苦手!」という声が多く聞かれるようになります。
それを受け、苦くない方向で品種改良がされ、現在全国的に売られているのは、九州の「長レイシ」と沖縄の「あばしゴーヤー」の折衷案のような品種が増えてきていますね。

ハウスで冬でも栽培できる品種も開発され、一年中見かけるようになってきていますが、旬は夏。
どの食材でも言えることですが、旬に採れたものがやっぱり栄養価が高いです。

ゴーヤに含まれる栄養素

ゴーヤ-カット

表面のイボイボの中に水分を溜め込んでいて、干ばつの日が続いても真夏の日光をいっぱい浴びても、スクスクと育つように防備しているそうです。
それで90%以上が水分というゴーヤは、1本(約250g)あたり約43kcalで、かなり低カロリー。
緑色が濃くβ-カロテンも含んでいますが、淡色野菜に分類されています。

豊富に含まれる栄養成分はビタミンC食物繊維カリウム
他にも、葉酸ビタミンKナトリウムカルシウム鉄分リンマグネシウムタンパク質と、健康や美容に役立つさまざまな成分が含まれていて、バランスのよい野菜といわれています。

ビタミンC

ビタミンCは、鉄分の吸収をサポートし血管などを正常に保つ働きがあります。また、コラーゲンの合成や維持にも不可欠な栄養素です。
体内の活性酸素の働きを抑える抗酸化作用もあるので、皮膚のメラニン色素の生成を抑え日焼け対策などの美容効果、免疫力を上げストレス軽減や風邪予防、アンチエイジング、疲労回復にも効果が期待できます。

ビタミンCは本来加熱に弱いのですが、ゴーヤに含まれるビタミンCは、油で炒めたり加熱しても、ほとんど失われないという嬉しい特徴があります。

食物繊維

主にゴーヤに含まれる不溶性食物繊維には、水分を吸収して便の量を増やし、排便を促してくれる働きがあります。腸内の善玉菌のエサとなり増やしてくれるため、腸内環境の改善にも役立ちます。

カリウム

ゴーヤにはカリウムも豊富に含まれています。
ナトリウム(塩分)を摂りすぎるとむくみや高血圧の原因のひとつになりますが、カリウムには細胞内液の浸透圧を維持・調整する役割があるため、摂りすぎたナトリウムの排出を促し、血圧を下げるよう働いてくれます。

苦味成分のモモルデシン・チャランチン

ゴーヤの苦みの元はモモルデシン・チャランチンという成分。

モモルデシンはゴーヤから発見された成分で、胃粘膜を保護したり胃液の分泌を促す、肝機能を高める、血糖値や血中コレステロールを下げる、といった作用があります。
胃の働きが活発になるので食欲増進が期待でき、夏バテ防止になり疲労回復に役立ちます。

チャランチンは、植物性インスリンとも呼ばれており血糖値を下げる効果があるといわれています。

ただしゴーヤを食べ過ぎると胃液が過剰に分泌されることになり、かえって負担がかかり過ぎて胃痛を引き起こすことにもなるそうなので、一度にたくさん食べるのはやめておいた方がよいようです。

新鮮なゴーヤの選び方

ふっくらとして、あまり大きくなり過ぎていないものの、手で持った時に見た目よりずっしりと重みを感じるもの。
緑色が鮮やかに濃く、表面にツヤがあり、イボイボが多くしっかりついているものが若くて新鮮です。

ただ、食材として選ぶ新鮮なゴーヤというのは、成長途中の若い実のことで、それから黄色に熟すにしたがって苦味は減っていきます。
若い実は栄養価は高いですがその分苦味も強いので、苦味が苦手な方はそれを考慮して選んだらよいでしょう。

ゴーヤの保存方法

水分の多いゴーヤにとって、乾燥させるのが一番よくありません。

気温が28℃以下であれば常温でも2日ぐらいは保ちますが、熟成が進んでいくので、緑の皮はシワシワになり黄色くなっていきます。

ゴーヤ-わた取り

冷蔵庫での保存

ゴーヤは中の種やワタ部分から傷み始めますので、縦半分に切りスプーンなどで種やワタをくり抜きます。それを空気に触れないようにラップでしっかりと包んで、冷蔵庫の野菜室で保存すると1週間ぐらいは保ちます。

ワタをくり抜く時間が無い時は、とりあえず丸ごと1本新聞紙かキッチンペーパーで包み、ポリ袋などに入れ軽く口を締め、冷蔵庫の野菜室にお尻の方を下にして、立てて保存すると3~4日は保てるでしょう。

冷凍保存

沢山あって使い切れない時や1週間以上保存させたい場合は、冷凍庫での保存もできます。

ゴーヤは下処理をせずそのまま冷凍すると、解凍した時に柔らかくなり苦味も出てしまいます。
下処理はまず、縦半分に切りスプーンなどで種やワタをくり抜きます。2~3mmほどの幅でカットし、少し塩でもんで10分ほど置きます。出てきた水分を捨てキッチンペーパーなどでしっかりと水気を拭き取り、ジップロックなど冷凍用保存袋になるべく平らになるように入れ、しっかり空気を抜いてから冷凍庫で保存します。1ヶ月ほどは保存できるでしょう。

乾燥保存

乾燥させておけば、栄養も凝縮され、もっと長く保存できます。

時間がある時に、中の種やワタを取り出しカットして少し塩でもむ下処理を行った後、ザルや網に出来るだけ重ならないように並べ、2~3日天日干しします。
それを密封できるポリ袋などに入れ、冷蔵庫か冷凍庫で保存します。冷蔵庫で約2ヶ月、冷凍庫で約6ヶ月保存できるそうです。

ゴーヤの苦味を取る調理方法

ゴーヤ-苦瓜

ゴーヤは苦味が特徴の野菜なので、苦味の少ないゴーヤってどうなの・・とは思いますが、苦すぎて食べられなかったり、小さいお子様がいらっしゃるご家庭もあるでしょうから、苦味を取るいろいろな方法があるので紹介します。

塩と砂糖を加え、下処理する

上記の保存方法で下処理にあるように、塩で揉むのは苦味を和らげるためです。
苦味成分であるモモルデシンは水溶性なので、塩で揉むと水分と共に抜け出すからです。

管理人は長年塩で揉む方法でしたが、塩だけではなく砂糖も一緒に加えると、よりしっかり苦味を取り除くことができるそうです。
その際はあまり沢山入れると逆に苦味が増すそうなので、カットしボールに入れたゴーヤ1本に対し、塩小さじ1/2と砂糖小さじ2ぐらいの量を加え、箸で全体を混ぜ5〜10分ほどそのままで置いておきます。
出てきた水分を捨て、そのまま水で洗わず調理します。
砂糖のみだと、もっと苦味が強くなるそうなので塩と併用しましょう。

水に浸ける・茹でる

塩と砂糖を水に溶かし、そこにゴーヤを浸けたり茹でるという方法もありますが、あまりオススメしません。

水に浸けたり茹でたりすると、苦味成分であるモモルデシンは流れ出ますが、他の栄養成分であるビタミンCやカリウムなども水溶性なので、一緒に流れ出てしまうからです。

栄養価が高いというから苦いのを我慢して(?)食べているのに、モモルデシンもビタミンCもカリウムも葉酸も減ってしまうのでは、もったいない話になってしまいます。
茹でる時はサッと。電子レンジで1分弱温めるという方法もあります。

薄くスライスする

ゴーヤを出来るだけ薄くスライスすると、塩もみなどの下処理をする時に苦味成分が抜けやすくなるので、苦味を抑えることができます。

油で炒める・揚げる

ゴーヤは油と一緒に調理すると、苦味成分が油に溶け出しコーティングされ、苦味を感じにくくなります。

ゴーヤチャンプルなどの炒め物や油で揚げると、ゴーヤも柔らかくなり食感も良くなりますね。
サラダにする時も、ごま油やマヨネーズなどとあえると苦味が和らぎます。

タンパク質と組み合わせた料理にする

苦味はタンパク質と組み合わせると和らぐそうです。
ゴーヤチャンプルには豚肉や卵などがよく入っていますが、理にかなった組み合わせだったんですね。
ツナとかもよいそうです。油も付いてますし。

うま味成分と組み合わせる

管理人の父は家庭菜園をやっていた時期があり、ゴーヤも栽培していました。
それで夏になると毎日のように食卓に出てくるゴーヤは、薄切りにして塩揉みしたものに、おかか(鰹節)をまぶし醤油をかけただけの料理とも言えない簡単なものでした。

鰹節は出汁も取れるほどイノシン酸といううま味成分を含んでおり、ゴーヤの苦味を和らげ、コクと風味も足してくれます。
先人達はそれを長い間の経験で知っていたのでしょうね。

ゴーヤ-鰹節

塩麹やお酢を料理に使う

塩の代わりに塩麹を使うと、塩麹に含まれる酵素の働きで、塩よりも早く苦味を和らげてくれるそうです。

酢にも苦味を和らげる力があるので、酢の物などさっぱりとした料理などに調味料として使うのもよいでしょう。

ワタや種には、緑の皮部分よりビタミンCが多く含まれている

傷みが早いので、保存する時は取り除いた方がいいワタや種の部分ですが、じつは緑の皮部分より栄養価が高く、皮部分の約3倍のビタミンCが含まれているそうです。

種には共役リノレン酸が多く含まれています。共役リノレン酸は体内で共役リノール酸(CLA)という脂肪酸に変化するそうです。体脂肪の燃焼を促進する効果があると認められています。
苦味があるのは皮部分で、ワタや種にはほとんどありません。新鮮なゴーヤで食感が嫌でなければ捨てずに調理した方がオトクな気がします。
種はそのままでは硬いので、煎るか炒めるとよいかもしれません。

黄色くなったゴーヤの種も食べられる

ゴーヤ-赤い種子

最近では真夏の日よけとして、ゴーヤを栽培されているご家庭も多いですね。

ゴーヤは真夏の日光を受けスクスクと育ち「とてもじゃないけど食べきれない!」というほど多くの実をつける時があります。
収穫が1日でも遅れると、大きく成りすぎたり黄色く変色してきたりしますね。

黄色くなるのは腐っているわけではなく、熟成が進んでいるからです。
そういう時はそのまま収穫せず、成熟するのを待つのも一つの手です。ただしあまりに多くの実を完熟するまで放置すると、株自体が弱ってきますので注意してください。

黄色・オレンジ色(品種によって緑色のものもある)に成熟した実の中の種は、真っ赤になっています。
少しヌルヌルとしているので腐っていると勘違いされるかもしれませんが、この真っ赤な種は完熟した証拠です。
外の皮部分はシワシワになり栄養もなくなっているので食べられませんが、真っ赤な種は生でも食べられます。
種を口に入れて、種の周りのゼリー状の部分だけを食べるのですが、ほのかに甘くて美味しいです♪。

収穫できなかったゴーヤがあれば試してみてくださいね〜。

出典・参照させていただいたサイト:
macaroni ゴーヤ 栄養
バローナビ ゴーヤ 栽培
トクバイニュース ゴーヤに含まれる栄養素や効果とは?
Kurashiru ゴーヤの選び方と栄養素

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