ビーツの栄養価と効能。「食べる輸血」と言われるほど栄養価の高いビーツは、ほうれん草の仲間⁈

ビーツ-拡大 野菜

赤い色のごった煮スープで有名なものに、ミネストローネとボルシチがありますね。
どちらも肉やジャガイモ・玉ねぎなどが入っているし、違いがイマイチ分からないので調べてみたら、赤い色素の元が違うんですね。
ミネストローネの赤はトマトから、ボルシチの赤はビーツという根菜野菜の色。
ですので、野菜は他に何が入っていてもいいのですが、ビーツが入っていないとボルシチとは言わないようです。

ビーツ-ボルシチ-赤

ウクライナを発祥とする北欧料理のボルシチなどに入っているビーツは、その赤ワインのような赤色が特徴で、見た目が赤蕪と似ていますが、アブラナ科の蕪や大根ではなく、ほうれん草と同じヒユ科、砂糖の原料になるテンサイ(砂糖大根)の仲間なのだそうです。
これを知った時には私もびっくりしたのですが、そういえばほうれん草の根元も赤いですよね。

ちなみにテンサイ(砂糖大根)も名前に大根が付いていますが、大根の仲間ではありません。

日本ではまだ栽培量が多くはありませんが、ヨーロッパなどでは古くから発熱や便秘の治療のためにも食べられてきた野菜で、主に赤い根の部分を食べるようになったのは、16世紀頃からだそうです。

アメリカではテーブルビート・ビート、イギリスではビートルート、フランスではベトラーブ・ベートラブと呼ばれているそうです。和名は燃えるような赤色から火焔菜(カエンサイ)。日本へは江戸時代初期頃に持ち込まれたそうですが、あまり普及しなかったようです。

真っ赤な色をしたものが多いですが、鮮やかな黄色をした「ゴールデンビーツ」、赤と白の縞になった「サラダビーツ」などの種類もあります。

ビーツ-カラフル

添えるだけでサラダや料理が鮮やかになるだけではなく、「奇跡の野菜」「食べる輸血」といわれるほど栄養価も高い、美容やアンチエイジングのために日本でも食べる人が増えてきているビーツについて紹介します。

ビーツに含まれる栄養素

ビーツには、カリウムナトリウムカルシウムマンガンリン亜鉛などのミネラルビタミンB群ビタミンC食物繊維糖類が豊富に含まれています。

ミネラルは、骨や歯を作ったり細胞の働きをスムーズにするなど、私たちの身体の臓器や組織を円滑に働かせるために必要な栄養素です。
カリウムはむくみ解消や高血圧予防でおなじみですね。マンガンはほうれん草の根の部分にも含まれています。

ビタミンB群は、炭水化物や脂肪などを効率よくエネルギーに代謝するために必要な栄養素で、疲労回復に役立ちます。
その中でも葉酸は、赤血球の生産を助け造血のビタミンと言われていて、体の発育にも重要な働きをするため、特に妊婦に十分に摂って欲しいビタミンです。

ビーツには食物繊維のほか、消化されずに大腸まで届く難消化生オリゴ糖ラフィノースが含まれています。
これはビフィズス菌などの善玉腸内細菌の餌になるため、善玉菌を増やし悪玉菌の増殖を抑え、腸内環境を整えてくれる働きが期待できます。

特に注目したい成分

ビーツの色素は抗酸化作用のあるベタレイン

ビーツの赤紫色のポリフェノールは、ブルーベリーや茄子・赤ワインなどのアントシアニンではなく、「ベタレイン」という色素なのだそうです。

ベタレインには赤紫の色素ベタシアニンと、黄色の色素ベタキサンチンの2種類があり、赤いビーツにはおもにベタシアニンが豊富に含まれています。この色素の割合で黄色やサラダビーツなどの品種もあるようです。

このベタレイン色素は腸管からの吸収性が高く、強い抗酸化作用を持っているそうです。(日本食品科学工学会誌   64(2)51-58(2017)
体の中の活性酸素を取り除いて、がんや動脈硬化の予防、アンチエイジングに期待ができます。

ビーツ-切る

ビーツは注目の成分「NO(エヌオー)」の産生に役立つ

血管内で発生するNO(エヌオー:一酸化窒素)という物質には、血管を柔らかくし拡張させる働きがあり、この働きの発見によって、1998年に3人の科学者がノーベル生理学・医学賞を受賞したそうです。

血管が拡張し広がると血流量が増え、体内に酸素が効率よく運ばれるようになるので、血栓を予防したり、筋肉増強・持久力アップ、疲労回復にも効果が期待できるようになります。基礎代謝がアップすると、ダイエットにも効果が期待できます。

NOは下半身のスクワットやウォーキングなどの運動をし筋肉を刺激することで増やすことができますが、赤ビーツを摂取すると、含まれる硝酸塩(NO3)が体内で、このNOの発生を促進してくれるのだそうです。

肝機能を高めるベタイン

ビーツの甘味や旨味成分であるベタインには、肝機能を高め、肝臓に脂肪がつくことを防ぐ働きがあるので、脂肪肝の抑制と肝硬変の予防に期待が持てます。

日本のビーツの旬と産地

日本でもビーツは栽培されていて、旬は6~7月・11~12月と年に2回あります。
主要産地は、北海道・茨城県・埼玉県・長野県・熊本県など。

まだ栽培量が多くないので簡単にはあまり見かけないかもしれませんが、旬の時期には産地の直売所や大手食材店、通販などで購入できます。
栄養価も高いうえに色も鮮やかで食卓が華やぐ食材なので、見かけたら買ってみると面白いと思います。

水煮の缶詰などは、輸入食品を扱う店などに一年中置いてありますね。
缶詰はすでに煮てありますので、そのまま出してサラダなどでも食べられます。

ビーツの選び方と保存方法

葉付きビーツ

ビーツは葉が付いているものと根の部分のみで販売されているものがあります。
葉付きの場合は、葉がみずみずしくピンとしているものを選びましょう。
ビーツは軽く手のひらにのるぐらいの大きさで、しっかりと重みと硬さのあるもの。

冷蔵庫で保存

葉のついているものは付け根から切り離し(葉が付いたままだと、根の栄養が葉に取られてしまうため)、葉部分と根を分けてポリ袋などに入れて、葉部分は立てて、野菜室で保存。根部分は一週間ほど保ちますが、葉部分は2日以内に調理しましょう。

冷凍保存

下処理(下記)して冷ました後、使いやすい大きさにカットしてからラップで包み冷凍保存しましょう。

ビーツの基本的な下処理(加熱)方法

ビーツは生のままだと、少し土臭くて硬くエグミ(シュウ酸)を含んでいるので、基本的に下処理(火を通す)をしてから調理した方がいいでしょう。加熱すると、土臭さも和らぎますし、甘みも引き出され食感も柔らかくなります。

皮付きのまま茹でる

水洗いし、皮を剥いてしまうと茹でている間に色素が流れ出てしまうので、剥かずにそのまま鍋へ。水をかぶるくらい入れ、少量の酢(レモン汁)を加えて、だいたい30分を目安に弱火で茹でます。
酢を加えると、赤色が鮮やかになります。
仕上げに塩を少々加え、取り出して弱い流水を当て、手で皮が簡単に剥がれたら火が通っています。

オーブンで焼く

水洗いして皮付きのままアルミホイルで包みます。それを180℃のオーブンで40分ほど焼きます。

料理の使い方

ビーツ-サラダ

下処理をしたビーツは色々な料理の食材として使えます。
そのままカットしてサラダに添えたりピクルスにしたり、ボルシチなどスープに入れたり、ミキサーで攪拌しスムージーやポタージュ・ペーストなどにも使えます。
色が鮮やかなので、いつもの料理でも赤やピンク色に染まり、違った彩りを楽しめます。

ただし、この赤い色素は調理中に手やまな板・洋服に付くとなかなか取れないので注意しましょう。まな板に付いた色素はレモン汁を使うと取れやすくなります。
※この赤い色素を体が分解できず、おしっこ(尿)が赤くなることがあるそうで、血尿と勘違いしてびっくりするかもしれませんが、健康には影響ないそうなので安心してください。

葉部分にも栄養がいっぱい

葉部分は硬くてえぐみも多いので、カットされて販売されることが多いようですが、ほうれん草の仲間なので、ほうれん草と同じような栄養素がたっぷり含まれています。
捨てるなんてもったいないですよね。
葉付きのビーツを購入する機会があったら、捨てずに調理しましょう。
調理方法や食べ方はほうれん草と同じですが、たぶんほうれん草より硬いので、茹でる時間は長めにしましょう。

ベビーリーフの中にもビーツの幼葉が!

ベビーリーフ-ビーツ

「ビーツって、日本ではまだ栽培量も少なくて手に入れるのが難しい野菜だな」と思っていたのですが、なんと!とても身近にあることを発見しました。

今ではどこのスーパーでも売っているベビーリーフミックスの袋の中にレッドビートあるいはデトロイトという名で幼葉が入っています。赤い茎の葉がそれです。
これは幼葉なので、エグミもほとんど無く食感も柔らかいので生でサラダなどで食べられます。

おまけ

ビーツ・ほうれん草・テンサイ糖、そしてベビーリーフ。スーパーなどに買い物に行っても全然別の食材だと思っていたものが、調べてみると実は繋がっているんですね。
今回それが一番の驚きだったというか、面白い発見でした。

ほうれん草の栄養と効能。ポパイもびっくり!ほうれん草には美容や健康に有効な栄養素がたっぷり
緑黄色野菜であるほうれん草には、貧血予防に有効な鉄分、ビタミン類、β-カロテン、ミネラル、食物繊維、葉酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ナイアシン、パントテン酸、マンガンなど、たくさんの栄養素を含まれています。

出典・参照させていただいたサイト
Wikipedia-ビート
macaroni
暮らしニスタ

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