ブドウの栄養と効能。ワインの原料でもあり世界で一番栽培されている果物

ブドウ-3種 果物 ナッツ

新石器時代にはすでに醸造が始まっていたとされる、長い歴史を持つワインの原料であるブドウは、今では世界の広い地域で栽培され、種類も豊富で10,000種ほどあるそうです。
世界の生産量の約80%がワインの原料となっていますが、それだけではなく生で食べるのはもちろん、ジュースやジャム・乾燥させてレーズン・缶詰と、加工され食べられています。

日本で栽培されているブドウは「甲州」や「マスカットベーリーA」などワインの原料になる種もありますが、ほとんど(約90%)が生食用です。
ブドウは種類により収穫時期が違いますが、だいたい旬と言われている8月から11月頃まで、店頭に並んでいます。
皮の色の違いだけでも黒や赤、緑系といろいろあるので、どれを選ぼうか悩んでしまいますよね。

その色による違いやブドウに含まれる栄養価についてまとめてみました。

ブドウは皮の色の違いにより大きく3種類

ブドウ-緑-赤-黒

ブドウの実の皮は未熟なうちは全部緑色をしていますが、遺伝子の違いにより成長の過程で赤や黒色の色素が作られ、色が変化していく種もあります。緑・赤・黒系に分けられます。

緑系ブドウ

爽やかな香りと甘味があり、渋みが少ないのが特徴です。白ワインの原料にもなります。
シャシンマスカット・翠峰(すいほう)・バラディー・ジャスミン・アレキサンドリアなど

赤系ブドウ

ほどよい酸味と甘味があり、渋みも感じます。赤というより赤紫色をしているものが多いです。
デラウエア・甲州・甲斐路・赤嶺(せきれい)・紅三尺など

黒系ブドウ

甘味と酸味のバランスがよく、渋みのもととなるタンニンも豊富です。深い紫色や黒など皮の色が濃く赤ワインの原料にもなります。
巨峰・ピオーネ・ナガノパープル・藤稔(ふじみのり)・スチューベンなど

ブドウの栄養素と効能

ブドウ-パンケーキ

ブドウのカロリーは100あたり59kcal。水分が83.5g、炭水化物15.7g(食物繊維:0.5g、糖質:15.2g)。
全食品の中ではカロリーは低い方ですが、果物の中では割と高めです。
ブドウにもいろいろ種類がありますが、カロリーや糖質量はあまり変わらないようです。

他にも、β-カロテン(体内でビタミンAに変わる)ビタミンB群(B1・B2・B6・ナイアシン・パントテン酸・葉酸)ビタミンCビタミンEなどビタミン類、カリウムナトリウムカルシウムマグネシウムリンなどミネラル類も含んでいます。

ブドウに多いブドウ糖は、すばやくエネルギーになる

「ブドウ糖」はブドウから発見されたので、そう呼ばれるようになったと言われているように、ブドウにはブドウ糖が多く含まれています。

ブドウ糖はグルコースとも呼ばれ、すでに単糖類なので体内での代謝を経ず、すぐに体のエネルギー源となり、疲労回復に働いてくれる成分です。
また、脳のエネルギー源となるのはブドウ糖だけなので、摂取すると脳の働きが活発になり、集中力や思考能力を高めてくれます。
ただし、ブドウ糖はすぐエネルギーになり血糖値も上がりやすいので、一度に大量に食べるのは控えた方がよいようです。

強い抗酸化作用のあるポリフェノールを含んでいる

皮や種の部分にたくさん含まれているポリフェノールには、強い抗酸化作用があることが認められています。

色素成分であるアントシアニンは、眼精疲労の予防やメタボリックシンドローム予防につながる成分とされています。ブドウの果皮の色が濃いほど多く含まれています。

ブドウを皮ごと食べた時に渋みを感じることがあるかもしれませんが、この渋み成分はタンニンというポリフェノールの一種。
これにも老化の原因となる過酸化脂質の生成を抑える抗酸化作用があり、お肌を引き締める美容効果、脂肪を燃焼させる働きもあるので、メタボリックシンドロームの予防に期待がもてます。

赤い皮のブドウにはレスベラトロールというポリフェノールが含まれているそうです。
これも活性酸素を除去する働きがあり、体内にある長寿遺伝子を刺激して、老化しにくい体へと導いてくれると注目されています。

さらにブドウには、強い抗酸化作用のあるビタミンCビタミンEも含まれているので、相乗効果でアンチエイジングや美肌効果、動脈硬化などの生活習慣病予防に効果が期待できるのです。

腸内環境の改善

有機酸であるリンゴ酸・酒石酸も含まれています。
リンゴ酸には新陳代謝を活発にする働きがあるので、お疲れ気味のお肌や体を元気にしてくれます。
ワインを作る時に樽に沈殿していたことから名前が付けられたと言われている酒石酸には、お肌や筋肉を引き締める効果があるとされています。

そしてこの2つの有機酸には、腸内で悪玉菌が増えるのを抑え善玉菌を増やす働きもあるので、腸内環境を整えてくれるそうです。
加えて食物繊維にも善玉菌を増やす働きがあり、下痢や便秘解消に期待がもてます。

美味しいブドウの見分け方

巨峰-ブドウ

ブドウは追熟しない果物なので、その日に食べるのに一番よい状態のものを選びましょう。

軸が太く青みがあるもの。
皮にハリとツヤがあり、実がびっしり盛り上がるようについているもの。
粒の表面に白い粉のようなプルームが多くついているもの。

プルームを農薬と勘違いし心配している方もおられるみたいですが、これは果実自体が水分の蒸発を防ぐために付けている天然のものです。プルームが沢山付いているものほど新鮮な果実となります。
柿やキュウリなどにもプルームがあるのですが、農薬と勘違いされては困るので店頭に並ぶ前に拭いてしまっているものが多いですね。ブドウの場合は皮が拭くには軟らかすぎるためか、付いたまま店頭に並んでいることが多いです。

赤や黒系のブドウは色の濃いもの、緑系は色の薄いものを選ぶと美味しいそうです。

ブドウはつるに近い肩の部分の方が甘味が強いので、みんなでシェアして食べる時など、それを考えて分けるといいでしょう。

保存の仕方

ブドウはひんやりした食感が美味しい果物ですが、あまり冷やしすぎると甘さを感じにくくなってしまいますので、食べる2~3時間前に冷蔵庫の野菜室で冷やすようにしましょう。
前述したブドウの表面についているプルームには、ブドウの鮮度を守ってくれる働きがありますので、購入してすぐは洗わず、食べる直前に優しく軽く洗うように。

冷蔵する場合

購入した日に食べないのであれば、洗わずに(プルームを落とさないように)冷蔵しましょう。

デラウェアなど小さい粒のブドウは房ごとキッチンペーパーで包み、衝撃を与えないように保存容器に入れ蓋を閉め冷蔵庫へ。

巨峰など大きい粒のブドウは、ちょっと面倒くさいですが、一粒づつキッチンバサミで枝を切りバラします。手でちぎると皮が裂け傷みやすくなるからです。
それを、キッチンペーパーを敷いた保存容器に1粒ずつ隙間なく並べて入れていきます。隙間ができたらブドウが転がらないように、キッチンペーパーを詰めます。上にキッチンペーパーをかぶせて蓋を閉め冷蔵庫へ。

1週間ほどは保存可能です。

冷凍する場合

小さい粒のブドウを冷凍する時は、軸に流水を当て、実には水が直接当たらないように、全体を濡らすような感じで洗います。
キッチンペーパーで優しく水分を拭き取り、一房づつラップで包みフリーザーパックに入れ冷凍します。

大きい粒のブドウは、キッチンバサミで枝を切りバラした一粒づつを水でサッと洗い、キッチンペーパーで水分を拭き取ります。
フリーザーパックにブドウが重ならないよう入れ、冷凍庫へ。

一ヶ月ほどは保存可能です。

マスカット系は冷凍しない方がよい

マスカット系は大粒ぶどうと同じように1粒ずつ冷蔵庫で保存しましょう。冷凍保存すると、マスカット特有のハリや香りが失われてしまうため、おすすめできないそうです。

シャインマスカット

皮や種に栄養がいっぱい

「ブドウ美味しいけど、皮はともかくとして、この種がウザいのよね~」という声にお答えして、一生懸命品種改良がされ、種無しの品種が開発されていますね。種無しブドウは栽培も手間ひまがかかって大変らしいのですが、売れるブドウを作るために日々努力が重ねられています。

しかし、じつは前述した通りポリフェノールなどの栄養成分は、可食部より皮や種の方に多いそうです。

皮が厚いものや渋みの強いものは、皮を剥いてから食べるのではなく、皮ごとポンと口に入れ、口のなかで皮から実をしごき出すよう食べる方が栄養を摂りやすいそうです。ブドウの旨味は皮と果肉の間に多いので、この食べ方の方が美味しさも増すようです。
皮も軟らかくそのまま食べられる品種もあるので、それはそのまま食べられますね。

冷凍したブドウは、生で食べるより皮が気にならなくなるようです。

種にはポリフェノールの一種・OPC(オリゴメリックプロアントシアニン)が多く含まれており、コラーゲンの合成を促したり、血管の健康をサポートし、若々しさを保ち生活習慣病予防にも効果が期待できるそうです。
これを捨てるのはもったいない気がしますが、種は確かに食べづらいですね。

にこぴんも子どもの頃「盲腸になる」と言われた思い出があり、つい吐き出してしまいますが、実際は食べてもそんなに問題はないのだそうです。
ヨーロッパの人々などは皮も種もそのまま食べるのが普通らしいので、慣れると平気になるのでしょうか?

ブドウは食前か空腹時に食べるのがオススメ

ブドウの糖質にはブドウ糖の他に果糖も含まれています。
食べ過ぎると果糖も多く摂取することになり、体内の糖分バランスが崩れ、それを調整しようと腸内に水分がたまり腹痛や下痢の原因になります。
また渋み成分であるタンニンも含まれているため、他の食べ物と一緒に食べると、その食べ物のタンパク質や消化酵素と結合し、消化吸収の邪魔をしてしまい、嘔吐や腹痛が起きることもあります。

食前か空腹時におやつとして食べるようにすると、ブドウ糖がすぐエネルギーに代わるので疲労回復に役立ち、内臓にも負担をかけないようです。

レーズンはブドウを凝縮したもの

レーズン-干しぶどう

レーズン(干しぶどう)は単純に言えば、生のブドウから水分83.5%を抜いたものです。

皮や種まで乾燥させたものが多いので、ポリフェノールやビタミン・ミネラル類・糖質など、ブドウの栄養分がギュッと凝縮されています。
栄養分が凝縮されるのは良いのですが、その分カロリーも高くなっています。

甘くて食べやすいので、ついポンポンと口に入れてしまいそうですが、食べ過ぎは生のブドウ以上に注意が必要です。

出典・参照させていただいたサイト:
ちそう ぶどうの栄養素
NOMINA ぶどうの栄養
ニチレイ ほほえみごはん
旬の果物百科 葡萄

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