夏の果物といえば、真っ先に思い浮かべるのではないでしょうか?
南アフリカ原産のスイカは、古代エジプトでも食べられていたそうです。その頃のスイカはたいして甘くもなく美味しいものではなかったようで、主に種を食べていたようですが、水分補給にも重宝していたようです。
日本に渡来したのは室町時代あたり。江戸時代後期には日本各地で栽培されるようになり、シャリシャリとして食べやすく、水分補給にもってこい!の果物として、夏を彩る風物詩となりました。
漢字で「西瓜」と書くように瓜科植物なので、生態からいうと野菜なのですが、食べ方は果物ですね。
園芸分野では野菜として扱われていますが、果実的野菜として市場や文部科学省の「日本食品標準成分表」でも、果実類に分類されています。
イチゴやメロンもそうですね。
スイカにも色々な種類があり、一般的によく見かける緑の果皮に黒のしま模様がある大玉スイカや小玉スイカの他にも、黒に近い濃緑の「でんすけすいか」や薄い緑色の物、黄色い「太陽」というような種類もあります。
果肉の色も赤い果肉の他に黄色やオレンジの物、形も丸いのや楕円形をした物など様々です。
ここでは、出荷の多い小玉スイカと大玉スイカを中心に栄養やその効能などを調べてみました。
スイカのカロリーや主な栄養と効能
小玉スイカは1.5~3kgまでの小さなスイカで、旬は5~6月。
大玉スイカは約3~8kgほどの大きさで、旬は7~8月。
ただし最近はハウス栽培も盛んなので、春から秋にも見かけます。
スイカ(可食部)100g当たり約40kcal。
約90%が水分で、β-カロテンやビタミンB群・ビタミンC、カリウムなどのミネラル類を豊富に含みます。
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
赤い果肉にβ-カロテンとリコピンがたっぷり
β-カロテンは抗酸化や免疫増強作用の他に、体内で必要に応じてビタミンAに変換され、髪の毛や目の視力、粘膜・皮膚の健康維持にも働くと言われています。
トマトで有名になったリコピンもスイカの赤い果肉に含まれています。それも含有量はトマトの1.5倍ほどあるそうです。
リコピンはカロテノイドという天然色素の一種です。強い抗酸化力を持ち、細胞の老化を防いでくれて、血流の改善やアンチエイジング、呼吸器系の免疫調整機能を高めてくれる効果に期待ができます。
利尿作用と疲労回復
カリウムは、摂りすぎた塩分や水分を排泄し、血圧を調整したりむくみ解消に働きます。
また、夏バテで食欲が無い時もシャリシャリと食べやすいので朝食やおやつとして食べることができ、適度に糖質を摂取することができます。
糖質はエネルギーに変換されるので、疲労回復につながります。
血流を改善するシトルリン
シトルリンは瓜科の植物に多く含まれるアミノ酸の一種です。
血管を強くしなやかにすることで血流を改善し、動脈硬化予防や筋肉増強に効果があるとされています。
皮に近い白い部分に多く含まれているそうです。
黄色い果肉の色素は、キサントフィル
赤い果肉のスイカほど出荷されていませんが、黄色い果肉のスイカもありますね。
黄色い果肉スイカにはリコピンは含まれていませんが、黄色の色素はキサントフィルです。
キサントフィルにも効能があります。
抗酸化作用、とくに目の酸化を防ぎ、老眼予防や白内障などの眼病予防に効果があるとされています。
脂肪燃焼効果や抗肥満作用も認められていて、ダイエットにも期待が持てます。
瓜科の植物であるスイカは、元々果肉の色が白や黄色だと言われています。
それが糖度を高めようと改良を重ねているうちに徐々に赤さが増し、赤い果肉のスイカが誕生したようです。
以前は赤果肉スイカと比べると、黄果肉スイカは甘さが足りないと言われていましたが、最近は品種改良によって、赤果肉スイカと同じぐらいの糖度に上がってきていますね。
美味しいスイカの選び方
昔から美味しいスイカは叩いた時の音で分かる、と言われてきました。
完熟したスイカは手のひらで叩くとボンボンと澄んだ音がして、未熟だとポンポンと高い音がするそうです。
にこぴんも何回かトライしたことがあるのですが、いつもよく分かりません。慣れないと聞き分けられないそうです。
ですので、表面での見分け方を教わりました。
スイカは収穫されたあとは追熟しないので、購入する時の状態が最も良いものを選ぶ必要があるそうです。
カットされず丸いままのスイカの場合
熟すとツルの付け根部分が少しくぼみ、その周りが盛り上がったような形になるそうです。
そして、表面のしま模様がはっきりしていて凹凸があるもの、へその部分が大きいもの。ただ、5円玉より大きい場合は熟し過ぎの可能性があるそうです。
ツルが付いているものは枯れていると鮮度が落ちていますので、緑色をしているものを選びましょう。
カットされて売られているスイカの場合
果皮に近い白い部分と赤い部分の境界線がはっきりしているもの。
種の色が黒々としているもの。
前もって糖度を計って表示している店もありますので、その表示も見ましょう。
12度以上なら、間違いなく甘いスイカだそうです。
保存の仕方
スイカは冷やしすぎると、甘味がどんどん弱まっていきます。
丸いままの場合は冷蔵庫に入れず、比較的涼しくて風通しのよい所に置いておくか、桶やバケツに入れ、水道水をチョロチョロ流しながら冷やすといいようです。
昔は井戸に吊り下げたり、キャンプなどに行くと冷たい水の川に入れていたりしますが、あれが一番美味しい冷やし方になるらしいです。
カットされたものは冷蔵庫で保存ですが、10℃ほどの野菜室で。
傷みやすいので、購入したら早めに食べるようにしましょう。
ジュースやシャーベットで食べるのであれば、シャリシャリ感は無くなってもいいので冷凍保存もできます。
その場合は皮を切り落とし果肉だけの状態にし、それを潰して種を取り除き、フリーザーパックに入れ平たく伸ばした状態で冷凍しておくと、冷凍庫から出してすぐ使えるので便利です。
スイカは中心部分が最も甘い
スイカは中心部分が最も甘く、皮に向かって糖度が下がっていきます。
沢山の人と切り分けて食べたりする場合などは、放射状にカットすると、みんなが甘い部分を食べられますね。
全部食べられますが食べ過ぎ注意
スイカは瓜なので、通常捨ててしまう皮や白い部分も漬物や炒めたり煮物にして食べられます。
祖母は外側の皮部分は除いていましたが、白い部分を漬物にしてましたねぇ。捨てるのがもったいなかったのでしょうね。
種も古代エジプトで食べられていたように栄養豊富で、オレイン酸やビタミン、ミネラルの宝庫です。
フライパンで炒って塩をまぶすと、ナッツのように食べられます。よかったらビールのおつまみなどにどうでしょう。
水分補給にもなり、食欲の無い夏バテ気味の人の味方のようなスイカですが、食べ過ぎると身体を冷やし、必要以上に水分が排出され、下痢や脱水症状になったりするので要注意です。
100g当たり約40kcalと低カロリーなのですが、沢山食べても太らないわけではありません。
だいたいMサイズの8分の1ほどで150kcalぐらいになります。果物の中では比較的カロリーが低いスイカですが、あまり多く食べると糖質摂り過ぎにもなりかねません。
他に食べるもののカロリーも考えて適量を食べ、熱中症予防や夏バテを解消しながら、暑い夏を乗り切りましょう。
出典・参照させていただいたサイト:
旬の食材百科 スイカ
全国栄養士養成施設協会 コラム スイカ
マイナビ農業 赤いスイカと黄色いスイカの不思議