甘い果汁がみずみずしく、シャリシャリとした食感の梨は、バラ科ナシ属の木に実る、弥生時代にはすでに食べられていたという歴史の長い果物です。
梨は大きく分けると3種類で、和梨・洋梨・中国梨ですが、日本では中国梨はあまり普及せず、市場に出回るほど生産されていません。
今回はその中でもよく見かける和梨を中心に話を進めたいと思います。
和梨は大きく分けて青梨と赤梨
にこぴんは子供の頃「長十郎」「二十世紀」という品種をよく食べました。それからいろいろ改良され品種が増えてきていますが、和梨は皮の色で大きく青梨と赤梨に分けられます。
青梨
皮の部分が緑色をしており、表面がどっちかというとツルンとしています。
軟らかい果肉に上品な甘さと少し酸味があるさっぱりとした味が特徴。
代表的な品種:二十世紀・サンセーキ・香梨・秋麗・秀玉・夏しずく・なつひめ・菊水など
赤梨
皮が茶色というか赤みがかっており、皮がザラザラしています。
果肉は比較的軟らかで、甘味が強く酸味が少ないのが特徴。
代表的な品種:幸水・豊水・新高・秋月・南水・愛甘水・新興・にっこりなど。
ただし、改良のかけあわせで青梨種の中にも糖度の高い品種が生まれているようです。
梨の栄養とその効能
梨100gあたりのカロリーは43kcalで、果物に中では比較的低カロリーです。
普通サイズの梨1個の可食部はだいたい295gとなり、カロリーは約127kcalになるそうです(生活知恵袋)。
成分の88%ほどが水分で、ビタミン類はビタミンE・ビタミンB群・ビタミンC、ミネラル分もマグネシウム・カルシウム・リンなどを含みますが、特筆するほどは多くありません。
それで「梨には栄養無し」とダジャレのように言われることもあるようですが、そんなことはありません。
漢方でも薬効のある果物として「有りの実」とも呼ばれ、昔から大事にされてきました。
ミネラルではカリウム量が多いなど、厳しい夏の暑さで疲れたお肌や体をいたわってくれる栄養素がいろいろ含まれているそうです。
むくみ解消や高血圧予防に
梨100gあたり140mgほど含まれているカリウムは、ナトリウムとバランスをとりながら体液の浸透圧を一定に保つ働きがありますが、ナトリウム(塩分)を摂りすぎるとむくみや高血圧の原因になります。
カリウムには余分なナトリウムを体外に排出する働きがあるため、血圧上昇を抑制する効能が期待できます。
体内でナトリウム濃度が高くなると、体はその濃度を薄めようと水分を吸収しようとします。それがむくみの原因なので、利尿効果のあるカリウムを摂取すると改善に働きます。
むくみに悩んでいる時は、朝食に梨を食べるとスッキリするかもしれません。
疲労回復に役立つ
和梨の場合ほとんど生で食べることが多く、含まれる88%ほどの水分が水分補給となります。
また含まれるアミノ酸の一種であるアスパラギン酸も、一緒に含まれるカリウムやマグネシウムを細胞内に運び、クエン酸回路をうまく回し、疲労物質である乳酸をエネルギーに変えるのを助ける働きがあるので、疲労回復に役立ちます。
アスパラギン酸は熱に弱いのですが、生で食べる梨はその栄養素が丸ごと摂れますね。
紫外線ダメージから回復し、美肌づくり
アスパラギン酸には肌の新陳代謝を促し、角質の水分を保持し肌の潤いを保つ働きもあります。
梨にはもう一つ、アルブチンという成分も含まれていて、これはシミの原因とされるメラニン色素の生産を抑制する働きがあるため、美白効果が期待されます。
美肌を作るには「保湿」と「美白」がとても大事な要素なので、梨を食べるとどちらもカバーできるという嬉しい効果も期待できます。
便秘予防や改善に
和梨特有のシャリシャリとした食感は、「石細胞」と呼ばれる難消化性食物繊維のリグニンやペントザンによるものですが、消化されにくいため、腸の蠕動運動を刺激します。
それに加え、梨のようなバラ科の果物に多く含まれる、甘く冷涼感のある糖アルコールのソルビトールにも腸内環境を整える働きがあるので、便秘予防や改善に役立ちます。
ソルビトールは、咳止めや解熱効果もあるといわれています。
胃もたれ防止
タンパク質分解酵素のプロテアーゼも含まれており、料理の肉や魚を軟らかくし消化しやすくしてくれます。
食後にデザートとして梨を食べたりすると、胃もたれ防止にも一役買ってくれそうです。
美味しい梨の選び方
梨はお尻の方が甘味が強くなっているので、やや扁平気味でお尻がどっしりと見えるもの。
梨に軸が残っていて、手で持った時に重さを感じ、ハリがあり固く締まったものが良品です。
青梨は緑色がはっきりしているものがみずみずしく、黄色を帯びるにしたがい甘味が強くなっていくそうです。
赤梨は薄い茶色より赤みがかった濃い茶色になってきた頃が食べ頃です。
和梨は追熟しないので「その日に食べるのに良い状態のもの」を頭に入れて選びましょう。
保存方法
和梨はシャリシャリとした食感と果汁たっぷり!が美味しい果物です。
すぐに食べないのであれば、常温に置かず、すぐに冷蔵しましょう。
乾燥しないように、1個ずつペーパータオルで包み、さらにラップで全体を包みポリ袋に入れ口を閉じます。
ヘタを下にして梨の呼吸を抑え、冷蔵庫の野菜室へ。
2、3日に一度中を確認し、ペーパータオルが湿っているようであれば新しいものに取り替えます。
これで2週間ほどは保存可能だそうですが、できるだけ早めに食べるようにしましょう。
冷凍保存はシャリシャリ感がなくなってしまいますが、皮を剥きレモン汁を少し加えてミキサーにかけ、ピューレ状にして冷凍しておけば、煮込み料理に入れたりスムージーに使えます。
肉を柔らかくするのにも使える
和梨はみずみずしいうちに生で食べるのが一番だと思いますが、前述した通りタンパク質分解酵素のプロテアーゼが含まれているので、すりおろして肉を数時間漬け込んでおくと肉を軟らかくすることができます。
梨が熟れすぎた時などにやってみたらどうでしょうか。
またピューレにして煮込み料理などに甘味料として加える使い方もあります。韓国のキムチに一緒に漬け込んであったりしますね。
体を冷やす性質のため、一度にたくさん食べるのはやめておいた方がよいそうです。
洋梨の特徴
ヨーロッパや北アメリカなどで栽培されている梨は洋梨と呼ばれ、日本に入ってきたのは明治時代だそうです。
和梨のシャリシャリとは違い、まろやかな食感でまったりとした甘さです。
生でも食べられていますが、コンポートにしたり焼き菓子にしたり、加工されることが多いですね。
収穫直後は硬くて甘くありませんが、一定期間追熟させると芳香を発するようになり、果肉も軟らかくなり美味しく食べられるようになります。
含まれる栄養素としては和梨とほとんど変わりませんが、カロリーも糖質も和梨より少し高めになるようです。
お菓子などに加工されて食べられることが多いため、こちらも食べ過ぎには注意が必要なようです。
出典・参照させていただいたサイト:
旬の食材百科 ナシ
iSDG 梨
macaroni 梨