バナナの栄養と効能。コスパもよく日本で一番食べられている果物!?

バナナ-テーブル 果物 ナッツ

1963年のバナナ輸入自由化の頃は、高級な果物であったバナナですが、現在では「物価の優等生」と呼ばれ、日本で1.2位を争うほど食べられている果物なのだそうです。
一年中売られていてコスパもよく、手軽に皮を手で剥くだけで食べられるのが、人気の理由なのでしょうね。

今回は、誰もが知っているそのバナナの栄養や効能、また、いつどのように食べたら効果的なのかなどを調べてみました。

バナナが食卓に届くまで

青いバナナ

バナナにもいろいろ種類がありますが、日本のスーパーなどで一般に売られているのはキャベンディッシュ。85%~90%と、ほとんどがフィリピンから輸入されています。

バナナは植え付けてから9ヶ月ぐらいで実をつけますが、まだ青くて硬いうちに収穫されます。
「実が黄色くなるのを待ってから収穫した方が、もっと甘くて美味しいバナナに育つのでは?」と思うのは、管理人のような素人考えのようで、実が黄色くなり始めると、チチュウカイミバエなどの害虫が発生するため、日本では植物防疫法の定めにより、熟した状態では輸入できないようになっているのだそうです。

収穫された青いバナナは、その後水洗い→選別→計量→箱詰→病害虫の検査を経て、13~14℃に保たれた保冷船に積み込まれ、日本にやって来ます。

日本に到着すると、港に隣接した保税倉庫に搬入され、病害虫の検査の検査や残留農薬検査などが行われ合格すると、温度・湿度が管理された室(ムロ)と呼ばれる倉庫の中で、少量のエチレンを与えられ黄色になるまで追熟され、店頭に並びます。

バナナの栄養

バナナ-シュガースポット

バナナにも大きさに違いがありますが、中くらいの大きさのバナナ1本の可食部(皮をむいた状態)100gでカロリーは93kcal、糖質は21.4gとなります。

バナナに含まれる栄養成分は、炭水化物(糖質+食物繊維)が約9割を占めます。
しかし、他にもタンパク質・ビタミンA(β-カロテン当量)・ビタミンE(α-トコフェロール)・ビタミンCビタミンB群(B1・B2・ナイアシン・B6・葉酸)、ミネラルのカリウムマグネシウムカルシウム・鉄なども含まれ、栄養価の高い果物です。
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

果物として普段よく食べる苺やミカン・キウイフルーツ・リンゴなどと比べると、水分量が少ないこともあり、糖質・カロリーは高いですが、ご飯やパンと比べると低カロリーになります。

糖質

糖質はエネルギーとなる栄養素。
バナナには、消化吸収されやすいブドウ糖をはじめ、果糖・ショ糖・オリゴ糖・デンプンなどを含み、種類によって体内でエネルギーになる速さが違うので、すぐエネルギーになる即効性のあるものや持続性のあるものを併せ持つ優れたエネルギー供給源だといわれています。

含まれる食物繊維にも糖質の消化速度を穏やかにする作用があるので、腹持ちよく、血糖値を急激に上昇させないというメリットがあります。

食物繊維

食物繊維には水溶性と不溶性があり、バナナにはどちらも含まれていますが、ほとんどが不溶性です。
水溶性食物繊維は、胃腸内をゆっくり移動して、小腸でコレステロールや胆汁酸を吸収して、スムーズに体外に排泄できるよう働きます。糖質の吸収をおだやかにして食後血糖値の急な上昇もおさえます。
不溶性食物繊維は、便のカサを増やして腸の働きを刺激することで排便を促し、便秘解消に役立ちます。
さらに、乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌のエサとなり、菌を増やしておなかの調子を整えるのに役立ちます。

ビタミンB群

ビタミンB群は、タンパク質・糖質・脂質のエネルギー代謝をサポートする補酵素です。また脂質のサビ(酸)化から守ってくれるという働きも報告されています。

ビタミンC

抗酸化作用があり、皮膚や粘膜の健康維持を助けたり、免疫力を高めて風邪をひきにくくする効果、ストレスに対する抵抗力を高める効果など、様々な働きがあります。

ビタミンB群もビタミンCも水溶性のビタミンで、水に流れ出したり加熱に弱い性質がありますが、バナナの場合、ほとんど生で食べるので、栄養をそのまま摂取できるというのがメリットです。

カルシウム・マグネシウム

カルシウム・マグネシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素。
多くの体内酵素の正常な働きとエネルギー産生をサポートしたり、血液循環を正常に保つのに必要な栄養素です。
高血圧や心疾患・糖尿病などの生活習慣病予防に役立ちます。

カリウム

体内の余分なナトリウム(塩分)を排泄し、体内の水分調整を行うミネラル。血圧上昇の抑制やむくみ緩和にも働きます。

バナナの皮をむく時に紐のような白い筋がありますが、あれは栄養を運ぶ管で、抗酸化成分やカリウムが多く含まれているそうなので、気にせず一緒に食べましょう。

ポリフェノール

バナナには強い抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富に含まれています。
熟すほど含有量が増えるので、甘くなり柔らかくなるシュガースポットの出てきたバナナが、とくにオススメです。

アミノ酸(トリプトファン)

脳内の神経伝達物質のひとつで、ドパミン・ノルアドレナリンを制御し精神を安定させる働きをするセロトニンは、トリプトファンから合成されて体内で作られる物質。

果物のなかで含んでいるものはほとんどないのですが、バナナにはそのトリプトファンが多く含まれています。「精神を落ち着かせる」「睡眠の質を良くする」などの働きがあります。
トリプトファンの合成にはビタミンB6も必要ですが、バナナにはビタミンB6も含まれています。

バナナの栄養を効率的に摂るには

バナナ-ジュース

バナナはいつ食べても問題のない果物ですが、以前「朝バナナダイエット」なるものがブームになったように、効率的に栄養が摂れる時間帯や食べ方はあるそうです。

朝食に食べる

起きて食べることで、体温が上昇し、脳や身体も元気に動けるようになります。
朝食は1日の元気の源だから、食べないといけないことは分かっていても、1分でも長く寝ていたいと思うこともありますよね。「でも時間がない」ということで朝食抜きになってしまう人もけっこうおられると思います。
そういう時に、手で皮がむけてすぐに食べられるバナナは役に立ちます。
家で食べる時間がなくても、カバンに入れて仕事場や学校などでも食べられますし。
バナナにはすぐにエネルギーに変換するブドウ糖のほか、消化に時間のかかるデンプンも含んでいるので、エネルギーが持続しやすいです。

ただし、バナナのほとんどは炭水化物で他の栄養が少ないので、余裕があれば、バナナだけでは摂れない栄養のある、牛乳やヨーグルト、目玉焼きなどの卵料理を組み合わせると、タンパク質やカルシウムなど、サラダなどもあればビタミンも補えます。

精神を安定させる働きをするセロトニンを合成するトリプトファンも含まれていますが、セロトニンの分泌には14~16時間ほどかかるそうなので、午前中にバナナを食べると効果的なのだそうです。

運動する時に食べる

運動するときは普段以上にエネルギーが必要です。
空腹のまま運動をすると、体内のタンパク質(とくに筋肉)がエネルギー源として使われてしまいます。ですので、運動前にバナナのような消化が早い糖分を含んでいるものを食べているといいのだそうです。
運動後も疲労回復のために、吸収の早い糖質を摂ると良いといわれていますので、バナナも効果的です。

ただ、運動するとかなり汗をかき、水分とともにミネラル類も体外に出ていきます。
カリウムもですがナトリウム(塩分)も出ていき、脱水症状を引き起こす可能性があります。カリウムにはナトリウムを排出する働きがあり、バナナは多くのカリウムを含んでいますので、運動中にバナナを食べる時はナトリウムも一緒に摂るようにした方がよいそうです。

バナナの保存は基本的には常温で、冷蔵庫には入れない

バナナスタンド

バナナは熱帯で育つ果物なので、13℃以下の場所では追熟が止まってしまいます。
冷蔵庫で保存すると低温障害を起こして皮が真っ黒になってしまうので、基本的には禁止です。

ただし夏場など気温が高い時期は、お好みの熟度になったバナナはそれ以上ほとんど追熟しないので、野菜室での保存も可能だそうです。
その場合は、1本ずつに切り離し、新聞紙に包んで湿度を保ちながらポリ袋やラップをバナナに巻きつけ、できるだけ冷気の当たらない野菜室の場所で保存しましょう。

基本は14~20℃ほどの風通しの良い場所で常温保存。袋に入ったままだと傷みやすいので、袋から出しておきます。
バナナスタンドにぶら下げての保存が理想ですが、無い場合は、そのままテーブルなどに置いておくと自重で下の部分が痛み始めるので、山形に伏せて置いておくと少し長持ちするそうです。

冷凍保存もあり

完熟したバナナは冷凍保存もできます。その場合は皮をむき、1本ずつラップに包んで冷凍庫で凍らせましょう。
アイスバナナとして食べたり、ミキサーにかけスムージーにしても美味しく食べられます。ただし、完全に解凍するとやわらかくなり過ぎてしまうので注意です。

バナナは1日1本が目安

栄養豊富なバナナですが、果物としてはカロリーが高い方です。それに栄養豊富といっても、それで1日に必要な栄養素が全部摂れるわけでもありません。他にもいろいろ食べ、栄養摂取でするので、すぐカロリーオーバーになってしまいます。

もっと重要なことは、バナナにはシュウ酸が含まれていることです。
尿中の成分が結晶化した結石が腎臓から尿管に移動し引っかかってしまうと、激しい痛みをともなう「尿管結石症」を発症することがあります。この結石が作られやすくなる原因のひとつが、食事からのシュウ酸摂取量が多くなることです。
シュウ酸は茹でることで減少するのですが、バナナはほとんど生で食べるので、そのまま摂取することになります。
ただ、1日1本くらいの量なら全然心配しなくてもよいそうです。気になるようであれば、牛乳やヨーグルトなどのカルシウムを含むものと一緒に食べるようにすると、カルシウムはシュウ酸を身体の外へ排泄するのを手伝ってくれるので、結石の予防に役立つようです。

バナナ-ヨーグルト

購入するときは、PLUコードを確認しよう

バナナベルト地帯と呼ばれる熱帯地域の農場で育てられるバナナは、病気になりやすくカビ・害虫に弱く、おまけに背が高いため、空中散布で農薬が撒かれることが多いのだそうです。
そうすると、農場で働く人や周辺地域に住む人々もこれを浴びることになり、健康を害したり、川や海を汚染させています。それに加え、低コストは嬉しいのですが、それはそういう過酷な農場で、しかも低賃金で働く労働者の犠牲で成り立っていることも、大きな問題になっているそうです。

できれば、きちんとした環境で育てられたバナナを食べたいですよね。

バナナだけでなくキウイやオレンジ、アボカドなどにもですが、「PLUコード」というシールが貼られています。これを見ると、どういう環境で育てられたかが分かるようになっています。
・4桁の最初の数字「3」もしくは「4」から始まる番号…化学肥料・農薬使用
・5桁の最初の数字「9」から始まる番号…有機栽培

ですので、これをチェックして購入することをオススメします。

ただ、日本の青果売り場では「PLUコード」シールが貼られていない商品も多いです。その場合は「有機栽培」「オーガニック」という言葉があるものや「JASマーク」のあるものを選んでください。分からない時は店の人に質問してもいいです。

日本の病害虫検査や残留農薬検査は厳しいので、それを信じたいですが。
どうしても有機栽培かどうか分からなくて心配でしたら、とりあえずバナナの先端は食べない方がよいそうです。農薬はバナナの軸に近い果肉の部分に染み込みやすいからです。
もったいないですが、軸から1cmほどは切り落として食べた方が安心です。

有機栽培ものは少し値段は上がってしまいますが、安心して食べられるものを購入することは、自分自身のためであり、ひいては、過酷なバナナ農園で働く人々を救うことの手助けにもつながるのだそうです。

また、日本国内で安心・安全に無農薬で生産されているバナナも徐々に増えてきました。
まだまだ数は少ないですが、見つけたら食べてみるのもいいかもしれません。

バナナ-農場

出典・参照させていただいたサイト:
バナナ大学 輸入過程全体
スミフル バナナの栄養・栄養素
トクバイニュース バナナを食べすぎると身体に悪い?!
ハルメク 栄養価が高くてコスパもいいバナナ!
Dole バナナの保存方法
Forbes バナナで病気に? 知られざる3つの闇

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