キュウリの栄養と効能。栄養がないという噂はウソ! 栄養はちゃんとあります

キュウリ-塩昆布 野菜

キュウリはウリ科キュウリ属のつる性一年草。
旬は夏ですが、秋や冬でもハウス栽培されているので、一年中出回っていて、サラダや漬物などで食べることも多い野菜ですね。
野菜と言いましたが、アメリカなど海外では果実に分類されているそうです。
日本でも平安時代には栽培がされていたようですが、江戸時代までは黄色く完熟してから食べられており、完熟すると苦味が強くなるので、あまり人気はなかったようです。
「こんなに苦いのは果物じゃなくて野菜だ」ということで、完熟する前の緑色の状態の時に収穫するようになり、本格的に栽培が盛んになったのは大正時代からだそうです。
キュウリは漢字で「黄瓜」とも書きますが、このあたりに名残りがありますねぇ。

「キュウリは世界で最も栄養がない野菜」という噂を聞いたことがあると思いますが、これは情報がいつの間にか間違って伝えられたことによる誤解です。

キュウリにも立派な栄養素が含まれていることや、保存の仕方、下ごしらえの方法などをまとめてみましたので、ご参考になれば嬉しいです。

キュウリに含まれる栄養

キュウリ-花

キュウリにも色々な種類がありますが、今回は日本で90%ほど流通している一般的な「白イボキュウリ系」を例に紹介します。

キュウリ可食部100gあたりのカロリーは13kcalと、とても低カロリー。
約95%を水分が占めていますが、主な栄養素として、タンパク質:1.0g・炭水化物:3.0g(食物繊維総量: 1.1g)・β-カロテン:330μg・ビタミンK:34μg・ビタミンC:14mg・葉酸:25μg・カリウム:200mg・モリブデン:4µgなどがあります。
参考:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

「キュウリに栄養がない」という噂がたった理由

理由は「ギネスブックが『世界で最も栄養がない野菜』と認定しているから」なのですが、そもそもこれが勘違いの元です。
ギネスブックは「Lowest calorie fruit(最もカロリーが低い果実)」と認定しているわけで、栄養ではなくカロリーのことをいっているのです。それがいつの間にか、カロリーではなく栄養と間違えた情報が拡散されてしまったようです。

たしかに水分95%でカロリーは低いですが、食べて分かるように味があります。味があるということは、何らかの栄養素が含まれているということですね。

キュウリ-冷やし中華

主な栄養素を紹介してみましょう。

β-カロテン

β-カロテンには抗酸化作用があり、体内で必要量に応じてビタミンAに変換されます。ビタミンAは視力の維持や粘膜や皮膚の保護、肺などの呼吸器系統などの働きを助ける栄養素です。

キュウリに含まれるβ-カロテン量は野菜としては高めで、キャベツの約6倍になります。

葉酸

葉酸は水溶性ビタミンB群に属していて、ビタミンB12とともに造血に関与し、赤血球の生成やDNAを正常に作る材料になります。
体内では、細胞の生産や再生・分裂にも大きな役割を果たします。特に赤ちゃんの成長に必要な栄養素なので、妊婦さんは積極的に摂る必要があるといわれています。

また近年、動脈硬化のリスク因子である「血清ホモシステイン」という物質が血液中に増えるのを抑える働きもあることが判明しているので、性別や年齢に関係なく不足しないように摂取したいビタミンです。

ビタミンC

活性酸素を除去する抗酸化作用があります。体内で合成できず、食事から摂取する必要のあるビタミン。
コラーゲンの合成に関わり、メラニン色素の生成を抑え、皮膚のシミ・シワを防ぐ美容効果や関節などの健康を保つ効果が期待でき、アンチエイジングに役立ちます。ストレスへの抵抗を高め、免疫力アップや鉄の吸収を促進させることにも働きます。

ビタミンC:14mgはトマトが15mgなので、大体同じ量が含まれています。

ビタミンK

ビタミンKは脂溶性ビタミンで、体内で血液を凝固させ出血を止める働きや、骨を丈夫にする働きなどがあります。

ビタミンKは通常摂りすぎても問題ないですが、血栓症などで抗血液凝固剤を服用している場合は、摂りすぎに注意しましょう。

カリウム

カリウムはナトリウムと共に体内の細胞を正常に保ったり血圧の調整などに働くミネラルの栄養素です。摂りすぎたナトリウム(塩分)の排出を促し、血圧上昇を抑えます。そのため高血圧予防やむくみ解消に働きます。
また体液のphバランスを保つ役割もあるので、正常な筋肉の収縮や神経刺激の伝達にも関与しています。

食物繊維

キュウリには不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両方が含まれています。
どちらかというと100g当たり0.9gと多く含まれる不溶性食物繊維は、大腸の水分を吸収して便を増やす、ぜんどう運動を促進させ便の排出を促すなどの効果があります。
100g当たり0.2g含まれてる水溶性食物繊維は、便を軟らかくする、便の滑りをよくするなどの効果があります。

食物繊維は善玉菌のエサとなり、善玉菌の増殖を促進させるため、腸内環境の改善も期待できます。

モリブデン

モリブデンは、糖質や脂質のエネルギー代謝をサポートしたり、肝臓・腎臓で有害物質の分解するのを助け、尿として排泄させる働きがあります。
体内に溜まった亜硫酸毒素を分解するため、虫歯予防、また二日酔い予防にも役立つとされています。

ピラジン

キュウリ独自の青臭さは、ピラジンという成分が含まれているからです。
これには血液をサラサラにして血栓ができるのを防ぐ働きがあります。
血流がよくなると、基礎代謝が上がりダイエットにもつながるかもしれません。

アミノ酸シトルリン

シトルリンは、ウリ科の植物に多く含まれるアミノ酸です。スイカに多いですがキュウリにも含まれています。

一酸化窒素を生み出す役割があり、一酸化窒素には血管を拡張し血流を促進する働きがあります。そのため、動脈硬化の予防や免疫力のアップを助けます。
アンモニアを取り除き乳酸の消費を促進するので、運動時などのパフォーマンスアップや疲労回復などに効果が期待されています。

キュウリ-イカ-炒める

キュウリでダイエットできるのか?

世の中には色々なダイエット法が紹介されていますが、その中に「キュウリダイエット」というものもあります。
やり方は、食事の最初にキュウリを1本ほど食べると、低カロリーなのに空腹がそこそこ落ち着くので、後の食事量を減らしても満腹感が得られるという…。続けられたら、ダイエットになるかもしれませんね。

それにもうひとつ、キュウリは「ホスホリパーゼ」という脂肪の分解を助ける働きがある酵素を含んでいるのだそうです。
ただしこれは細胞膜が破壊されると活性化するという酵素なので、効率良く摂取するためにはすりおろして食べるのがおすすめですが、キュウリを擦りおろすレシピってあんまりありませんよね。ドレッシングとかスムージーに加えるとよいかもです。
ホスホリパーゼは熱に弱いため、生のまま、できるだけ時間を置かずに食べることがポイント。よく噛んで細胞を壊して食べると効果があるかもしれません。

キュウリの選び方

キュウリ-ブルーム

果皮の色が濃い緑色でハリのあるもの、イボがピンと尖っていて、触るとチクチクするものが新鮮です。
太さが均一なものが良質とされていますが、多少曲がっていても味も栄養価も変わりません。

表面に白い粉が付いているキュウリも見かけることがあると思いますが、これはキュウリ自体が水分蒸発を防ぐために付けているブルームです。
これを農薬と間違える消費者が多かったらしく、品種改良が行われ、最近はブルームが付いていないキュウリが主流になっていますが、皮がブルームの代わりに水分蒸発を防ぐために厚く硬くなり、中の果肉は柔らかくなってしまったようです。
時々ブルームがついたキュウリも見かけますが、このブルームこそ新鮮な証拠になり、本来の歯応えの美味しいキュウリだと好む人達もいます。

キュウリの保存方法

夏が旬のキュウリは、乾燥に弱く、冷やしすぎると傷みやすくなります。10℃~13℃が保存に最適な温度です。
4~5日で使い切る場合は、冷気や乾燥から守るために1本ずつキッチンペーパーか新聞紙で包み、ポリ袋に入れ軽く口を閉め、冷蔵庫の野菜室に。育った環境と同じように立てて保存すると保ちが長くなります。
冬の気温の低い時期は常温保存も可能です。こちらもキッチンペーパーか新聞紙で包み、冷暗所で立てて保存しましょう。

冷凍保存もできますが、生のパリッとした食感は失われてしまいます。しかし味しみは良くなりますし、3週間ほど保存できます。

美味しく食べるために、調理する下ごしらえでやった方がいいこと

キュウリ-アク抜き

アク抜き

調理する時、軽く洗った後に、キュウリの先端から1.5cmぐらいのヘタ部分を切り、そのへた部分と実の切り口を大体20回くらいクルクルとこすり合わせると、アク抜きができます。
キュウリの皮のすぐ下部分に維管束(水や養分が流れる管)があり、その液の中に苦味や渋みの元になる蟻酸(ぎさん)という物質が含まれています。ヘタ部分をこすり合わせていると、白い泡のような液体が出てきます。これが蟻酸(アク)。
出てきた白い液体は水で洗い流してください。そうすると、キュウリのアクが抜け、調味料も染み込みやすくなるのだそうです。

祖母や母も普通にやっていたので、管理人も子供の頃から、何のためにやるのか分からないままずっと続けてきたのですが、最近になってやっとSNSで「アク抜きのため」ということを教わりました。何十年も「美味しくな~れ!」のおまじないなのかな?と思っていました(恥)。

板ずり

キュウリの下ごしらえではこちらの方が一般的ですね。
適量の塩を振り、まな板の上でコロコロ転がして塩でもみます。そうすると維管束が壊れ、液が外に流れ出しアクを減らすことができます。
これをやることによりキュウリの水分が抜けるので、日持ちもよくなり、色の変色を防ぎ鮮やかな緑色を保てるようになります。調味料も染み込みやすくなり、しっかりとした味付けになります。

キュウリがビタミンCを壊すという噂もウソ

以前「キュウリはビタミンCを壊す」という噂がありましたが、これも誤解であったことが判明しています。
キュウリには「アスコルビン酸酸化酵素」が含まれていて、これは還元型ビタミンCを酸化型に変えてビタミンCを壊すといわれていたからです。しかし変化してもまた元に戻るため、ビタミンCは壊れないのだそうです。
キュウリにもビタミンCが含まれていますし、ビタミンCを含む他のものと一緒に食べると逆に摂取量が増えることになるので、安心して食べてください。

キュウリの栄養をできるだけ逃さない食べ方は?

キュウリ-ぬか漬け

キュウリに含まれるビタミンCやホスホリパーゼという酵素は熱に弱いので、摂取するなら生で食べるのがオススメです。
ビタミンCや葉酸・カリウムなどは水に流れ出やすいので、水洗いはサッとする程度にしましょう。
β-カロテンは脂溶性なので、油と合わせると吸収されやすくなります。ドレッシングなど調味料にオリーブオイルなどの油ものを加えたり、油でサッと炒める料理もよいでしょう。
昔からよく作られているぬか漬けも、ぬかに含まれるビタミンB1の働きで栄養価が高まるそうです。ぬか床には乳酸菌もありますし、お通じが良くなるという効果も期待できます。

しかし、なんといってもキュウリの良さは、シャキッとした食感と水分量が多いということですね。
あまり手間をかけずに1本丸かじりすることもできます。少し塩を付けて食べると、真夏などは水分補給とともに熱中症予防にもなりますね。

ただし、旬が夏のキュウリには「体を冷やす」という作用もあるので、一度に食べ過ぎるとお腹を壊すなど不調を引き起こすこともあるので、注意しましょう。

出典・参照させていただいたサイト:
AllAbout 健康・医療 きゅうりの栄養素・効能とメリット
KAGOME VEGEDAY きゅうりの栄養
Kurashriru きゅうりの保存方法
マイナビニュース 「きゅうりには栄養がないじゃ本当?」

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