マグロの栄養と効能。トロや赤身など部位によって味が違うように栄養価も違う

マグロ-刺身 魚介類

マグロはスズキ目サバ科マグロ属の回遊魚。
日本近海でもクロマグロ(本マグロ)などが多く漁獲され、日本人にとって馴染み深い非常に人気のある魚ですね。
大きな魚なので、部位により異なる味わいがあり「やっぱり、マグロは大トロだな」とか「いや、赤身の方があっさりしていて、私は好き」「カマ部分をほじくりながら食べるのが好き byにこぴん」など、一匹の魚でも食べる部位によっていろいろ楽しめます。

部位によって味わいが違うということは、含まれる栄養価も違うということになりますね。
それは後記するとして、マグロの種類で特徴に違いがありますので、まずはその話から。

マグロの種類と特徴

マグロ-種類

クロマグロ(本マグロ)

全長3m・重量500kg以上の個体もいる「マグロの王様」とも称される、大型の最高級マグロです。
旬は12~1月頃。トロの部分も多く赤身も美味しいとされています。
日本近海を回遊しているのは「太平洋クロマグロ」、ヨーロッパ辺りを回遊しているのは「大西洋クロマグロ」と呼ばれています。

ミナミマグロ(インドマグロ)

クロマグロと似ていますが、体長約2m・重量約200kgとやや小さめの高級マグロです。
インド洋などの南半球を回遊していて、旬は4~6月。
身が鮮やかな赤色をしていて、甘みがあり、寿司ネタとして人気があります。

メバチマグロ

体長約2m・重量約150kg、目が大きく丸っこい体型をした中型種。
旬は10~12月。温帯・熱帯地域に幅広く生息しており、マグロの漁獲量の30%ほどを占めています。
そのため流通量も多く、一般的にマグロの味の基準になるようなマグロで、比較的安価です。
クロマグロやミナミマグロと比べると少ないですが、ほどよく脂質もあり、うま味や甘みも兼ね備えているので、こちらを好まれる人も多いようです。

キハダマグロ

メバチマグロと同じくらいの大きさの中型種。
体色やひれが黄色を帯びていることからキハダと呼ばれるようになったそうです。
旬は7~8月で、日本海や地中海には生息していませんが、全世界の熱帯・亜熱帯に分布しています。
身肉が桃色でクロマグロやミナミマグロより脂質が少なく、あっさりとした上品なうま味があることから、とくに関西方面で人気があります。
こちらも比較的安価に流通していて、肉質が硬く崩れにくいので、刺身の他にステーキなどでも食べられたり、ツナ缶の原料にもなっています。

ビンチョウマグロ(ビンナガマグロ)

体長100cm・重量40kg程度の小型のマグロです。
広く世界中に分布していて、旬は8~12月。
身肉は淡いピンク色で白っぽく、柔らかい肉質です。熱を通すと白くなるのでツナ缶の原料になることが多いです。
脂質が少なく低カロリーでダイエット向きなことや低価格ということで、回転寿しのネタとして人気があります。
寒い季節に出回るものには脂乗りの良いものもあり、「ビントロ」と呼ばれ親しまれています。

マグロに含まれる栄養と効能

マグロ-にぎり

クロマグロを例にすると、生100gあたりの赤身部分のカロリーは125kcal、脂身部分344kcalになります。
参考:文部科学省 食品成分データベース まぐろ赤身
   文部科学省 食品成分データベース まぐろ脂身

栄養も、タンパク質・脂質(脂肪酸)・ビタミン類・ミネラル類も豊富です。
そのなかで、主に特徴的な栄養素と効能を紹介します。

タンパク質

赤身部分にも脂身部分にも豊富に含まれています。
三大栄養素のひとつであり、体内の筋肉・内臓・皮膚などを作る大切な主成分です。
タンパク質は体内に入るとアミノ酸に分解され、また再合成されます。

ヒトの身体に必要な必須アミノ酸は20種類。
その20種類が十分に含まれているので、マグロのタンパク質は良質なものとされています。

マグロは長距離を泳ぎ続ける魚のため、持久運動に向いている遅筋繊維のミオグロビンという赤い色素タンパク質が多いのが特徴です。

不飽和脂肪酸のEPA・DHA

体内で合成できないため食べ物から摂取する必要がある不飽和脂肪酸のオメガ3系脂肪酸。
血液サラサラ効果があると言われる成分で血管の健康を保ち、動脈硬化などの生活習慣病を予防する効果が期待できます。
DHAは脳や目の網膜の脂質成分となり、記憶力や集中力の向上や認知症予防、目の健康維持をサポートする働きがあるとされています。

ビタミン類

ビタミンA(レチノール)は、皮膚や粘膜の健康を守る働きがあり、視覚の暗順応に関わっています。
ビタミンDはカルシウム・リンの吸収を促進し、血液中のカルシウム濃度を保ったり、骨の再構築を構成するのに重要です。
ビタミンEには抗酸化作用があり、体内の脂質の酸化を防ぎ、筋肉の緊張を和らげ、末端の血液循環をよくするといったアンチエイジング効果が期待できます。
このビタミンA・D・Eは脂溶性のため、脂と一緒に摂ると吸収率が高まります。

また、ビタミンB群も含まれており、ビタミンB6はタンパク質、ナイアシンはとくに糖質のエネルギー代謝に関わる補酵素として働きます。

鉄分や、葉酸・ビタミンB12

マグロに豊富に含まれている鉄分は、血液中のヘモグロビンの成分になります。
鉄分が不足すると貧血気味になり、集中力の低下や頭痛などの症状がでたりします。
赤血球を作り「造血のビタミン」と呼ばれる、ビタミンB群の葉酸ビタミンB12も含まれていて、これも貧血予防に働きます。

アンセリンとタウリン

アンセリンは2つのアミノ酸が結合したイソダゾールペプチドの一種で、乳酸の分解をスムーズにし、蓄積を防ぎ疲労回復に期待ができます。
タウリンもアミノ酸の一種で、体の細胞を正常に保つ作用があり、肝臓の働きを促進させ、血中コレステロールを下げる、高血圧・動脈硬化なのの生活習慣病を予防し、こちらも疲労回復に役立ちます。
マグロがずっと泳ぎ続けることができるのも、こういう栄養素を持っているからなのでしょうね。

マグロの部位別の特徴と栄養

上記のカロリーの差でも分かるように、赤身と脂身部分では含まれる栄養素も違います。

マグロ-部位

赤身

脂分がトロの3分の1程度なので低カロリーです。
良質なタンパク質が豊富で、100gあたりの含有量では牛肉や豚肉を上回っているそうです。

タンパク質は食べたからといってもそのままでは吸収できず、消化酵素の働きによってアミノ酸に分解され、筋肉や皮膚などに再構成されます。
その構成を助けるセレンというミネラルも赤身の中に含まれています。
セレンには抗酸化作用があるので、老化防止や免疫調整機能アップなどに働きます。また、ヒ素・水銀・カドミウムなどといった人体にとって有害なものと拮抗することにより、毒性を軽減させるという作用もあるとされています。

トロ

頭の近くからカミ・ナカ・シモに分かれます。
大トロには脂がよく乗っていて、最高級品としてまさにとろけるような食感が味わえます。
カロリーは高いですが、オメガ3のEPA・DHAの含有量も多い部位です。
ビタミン類も豊富で、とくに脂溶性のビタミンA・D・Eを多く含んでいます。

血合い

背身と腹身の間にある、体側筋という大きな筋肉の中央部にある筋肉で、赤色筋繊維を呼ばれる細胞が密集している赤黒い部分です。
血管などが集まっている部分なので鮮度が落ちてくると生臭くなりやすく、生のままでは食べづらいこともあり、解体される時に捨てられることが多かったのですが、低カロリーなのに栄養が大変豊富なことで、最近注目されているようです。

タンパク質をはじめ、ビタミンA・B群・D・EやEPA・DHA、グリコーゲン、アンセリンなどを含んでいます。
またミネラル類も豊富で、鉄・亜鉛・マグネシウム・カリウムなどがあります。
とくに、赤身部分の約16倍含まれているほど鉄分が豊富です。

マグロ-血合い-図

カマ

マグロのエラの後ろ部分の肉で、1匹から2つしかとれない希少部位。
脂が乗っていて、EPA・DHAも豊富に含まれている部分です。
とくに脂の乗っている部位を「カマトロ」といい、スジが無く食べやすく、好きな人には「大トロより旨い!」と人気があります。
すぐ生臭くなるのでスーパーなどではあまり売られることがないですが、煮付けにしたり塩焼きで食べると、ボリュームもあり食べ応え十分です。

ほほ肉

名前のとおり、ほほの部分の肉です。こちらもカマと同じで1匹から2つしかとれない希少部位。
よく動く筋肉の部分なので歯ごたえがあり、ステーキなど火を通す料理にすると、肉のような食感が味わえます。

目玉

生では食べることはありませんが、煮付けにしたりするとプルンとした食感で、たんぱく質の一種・コラーゲンやビタミンB1、EPA・DHAが豊富です。
コラーゲンは、体に入るとすぐにコラーゲンになるわけではなく、一度分解され再構成されるわけですが、摂らないよりは摂った方が美肌作りにも役立つかもしれません。

脳天

マグロの頭部分に2本ある部位。頭肉・鉢の身・つのトロとも呼ばれています。
ここも脂乗りがよく、EPA・DHAなどが豊富です。

尾肉(テール)

マグロの尾の部分で、刺身などにはできないので切り落とされる部分。
マグロ専門店や解体ショーなどで売られていることもありますが、だいたい輪切りにされています。
ステーキのように焼いて食べられることが多いですが、皮と身の間の白いスジが加熱されるとプルンとした食感になります。
これはコラーゲンなのだそうです。

マグロ-テール-ステーキ

一般のスーパーなどでマグロを購入する場合の選び方

赤身は、透明感があり、表面の赤色が強めでツヤがあるもの。
トロは、ピンク色で、キメが細かくスジが少ないもの。

刺身用に切られているものの方がすぐに食べられて便利ですが、すぐに食べないようであれば、サクのものを購入した方が、空気に触れる部分が少ないので新鮮さを保てます。
その場合は、サクを側面から見て、できるだけ縦にスジが入っているもの。この方が切りやすく、食べた時に口の中にスジが残りにくく食感も良いようです。
そして、角がとがっていて、赤い汁(ドリップ)が出ていないものを選びましょう。

食べきれない時は冷凍も可能ですが、スーパーなどで売られているものは、一度冷凍したものを解凍したものがほとんどなので、それをまた冷凍するのはあまりオススメしないそうです。

栄養豊富なマグロですが、食べ過ぎない方が良い?

マグロ-アボカド

ニュースなどでご存知の人も多いと思いますが、食物連鎖の過程でマグロのような大型魚介類には、水銀が蓄積されているそうです。
水銀が多いマグロの種類は、クロマグロ・ミナミマグロ・メバチマグロ。

とはいえ、マグロにはセレンという水銀などの毒性を軽減させるという成分も含まれているので、食べ過ぎなければそんなに心配しなくてもよいようです。
摂取目安量としては
・健康な成人:週に200g程度以下(刺身で7切れほど)
・妊婦、幼児、近く妊娠を予定されている方:週に100g以下
となるようです。
参考:日本生協連安全政策推進室

これが多いか少ないかは人によりそれぞれですが、まあ週に1回ぐらい刺身の盛り合わせを食べ、週に1回ぐらいマグロとアボカドの和えものを食べ、月に1回ぐらいマグロ丼を食べる程度なら、問題はないのではないかと思います。・・・少ないっ?!

味の好みもあるでしょうが、カロリーを考えるとダイエットに向いているのは「赤身」部分かもしれませんね。
適量を意識しながら、他の食材とともにバランスよく摂り、美味しく食べていきましょう。

出典・参照させていただいたサイト:
とれたてねっと マグロ
オリーブオイルをひとまわし マグロ
NANIWA SUPLI MEDIA マグロの栄養と効果効能
マグロ類由来セレン化合物セレノネインの抗酸化能 | AgriKnowledge

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