キビナゴの栄養と効能。頭から丸ごと食べられる小魚のメリットとは

キビナゴ-刺身 魚介類

キビナゴはニシン目ニシン科ウルメイワシ亜科キビナゴ属に分類される、体長10cmほどの細長い小さな青魚。
伊豆半島から西南に幅広く生息していて、とくに漁獲量の多い鹿児島では、郷土料理に欠かせない魚です。
名前の由来は、体の側面の帯のような模様から。
鹿児島の方言で帯を黍(きび)と言い、体に青銀色の黍を付けた小魚(なご)ということで、キビナゴと呼ばれるようになったそうです。

臆病できれいな海水の中でしか生きていけず、水から1秒でも離れると死んでしまうほど、傷むのが早いデリケートな魚なので、漁獲されるとすぐに氷水に浸けて保存しますが、生の刺身はほとんど獲れた地元でしか食べられません。
鹿児島では、頭と骨やハラワタをやさしく手で取り綺麗に並べた刺身を酢みそを付けて食べるのが定番ですが、一般の刺身のようにわさび醤油でもいけます。

イワシの仲間ですが青魚独特のクセはなく、優しいうま味と淡白な甘みがあり、刺身以外でも塩焼きや天ぷら・南蛮漬けなど焼いたり煮たりして美味しくいただける万能食材です。

今回はキビナゴに含まれる栄養や効能、また、小魚を1尾丸ごと食べるメリットなどを紹介いたします。

キビナゴの旬は年に3回

キビナゴ-唐揚げ

1年中獲れる魚ですが、その中でも旬な時期が3回あります。

1回目は5~6月。産卵期になるため、湾などの沿岸近くまでキビナゴがやって来るので、漁獲量が増えます。
資源保護のため禁漁区も設けられているそうですが、その区以外では卵や白子を抱えているキビナゴも獲れるそうです。
卵を抱えて「子持ちキビナゴ」になっているものは、せっかくなので刺身より天ぷらや唐揚げで食べるのがオススメ。

2回目は12月頃の寒が入る頃。
小さいですが身が引き締まっているので、新鮮な状態なら刺身でいただくのが一番美味しい食べ方だと言われています。

3回目は1~2月頃。
寒さを乗り切るためと産卵に向け餌を多く食べ脂を蓄えているので、塩焼きなどで丸ごと食べるのに向いているそうです。

鮮度が落ちるのが早いため、漁獲される地元でほとんどが消費されてきたキビナゴですが、最近は急速冷凍や輸送技術の発達で、通販などで売られたり、地元ではないスーパーなどでも「九州フェア」などが催されている時に見かけることがありますね。

キビナゴに含まれる主な栄養素と効能

キビナゴ-獲れたて

カロリーは生で可食部100g当たり93kcal。1尾が約10gですから10尾ぐらいでしょうか。
タンパク質18.8g、脂質も1.4gありますが、青魚なので不飽和脂肪酸のEPA・DHAも含まれています。
ビタミンDビタミンB群ビタミンCカルシウムマグネシウムリン亜鉛などのミネラル類も豊富です。
参考:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

タンパク質の分解と合成をサポートするビタミンB6

魚類のなかでは比較的多く含まれているビタミンB群の一種・ビタミンB6は、タンパク質の分解と合成をサポートする補酵素です。
タンパク質を多く摂る人ほど、ビタミンB6も必要量が多くなります。
皮膚や髪などの健康や免疫機能の維持、神経伝達物質の合成などにも欠かせない栄養素ですので、アンチエイジングや美肌効果も期待できます。

造血作用で貧血予防に働くビタミンB12

同じビタミンB群の葉酸と協力し、酸素を運ぶ役割のある赤血球中のヘモグロビン生成をサポートします。
不足すると、悪性貧血になり慢性疲労やめまい・動悸・息切れなどを引き起こします。

丈夫な骨作りに必要なカルシウムやビタミンD

キビナゴにはカルシウムやマグネシウム・リンなど、丈夫な骨や歯を作るのに欠かせないミネラルと、それの体内吸収を助けるビタミンDが含まれています。
ビタミンDは血液中のカルシウム濃度を一定に保ったり、筋肉収縮の正常化や免疫機能を調整する働きもあります。

EPA・DHAが豊富

血液サラサラ効果があるとして、有名な成分ですね。
他にも中性脂肪の低下、高血圧やアレルギーなど、様々な生活習慣病予防や改善に効果が期待できます。
DHAは人の脳や目の網膜の脂質成分となり、記憶力や集中力の向上や認知症予防、目の健康維持に働くと言われています。
キビナゴは青魚ですので、このEPA・DHAが豊富に含まれています。

1尾を丸ごと食べられるメリット

きびなご-塩焼き

魚の骨部分にカルシウムなどの栄養やうま味があるのは、みなさんご存知ですね。
大きい魚は固いのでそのままでは食べることができず、圧力鍋で加熱してみたり、油で揚げたり粉砕したりするなど、様々な工夫をして食べることもありますが、そこまでして食べるのは、骨まで食べるとカルシウムの摂取量が何倍にも増えることを知っているからですね。

キビナゴも刺身にすると、頭や骨・ハラワタなどを取ってしまうので、廃棄率が約35%になるそうですが、身だけではなく頭や骨も軟らかいので、焼いたり煮たりして加熱すると、1尾を丸ごと食べることができます。
そうするとカルシウムだけではなく、キビナゴが持つビタミンやミネラルなどの栄養をすべて摂取することができることになるわけです。

クセのない魚なので、塩焼きや天ぷら、唐揚げ、柳川風に煮たり、いろいろな料理で味わうことができます。
なにより、皮が薄く鱗も気にならないほどなので、表面を洗うだけで面倒な下処理(魚をおろしたりさばいたりすること)をしなくても調理でき、また食べる時もいちいち骨を取らなくてもいいということは嬉しいですね。

洋風の料理でもいける

昔は獲れ過ぎても売りさばけず、釣りの餌や肥料としてけっこう利用されてきた魚ですが、EPA・DHAなどが含まれる栄養豊富な魚だということがわかり、近年では健康志向の高まりとともに、人気が上がってきているようです。

傷むのが早い魚なので、穫れる地元では新鮮なうちに加工されるものも多いです。
煮干しや一夜干し、甘露煮など和風なものもありますが、魚醤に加工されたもの、オリーブオイルに漬けられて瓶詰めで売られている商品もあります。
イワシの仲間なので、オイルサーディンやアンチョビのような洋風な使い方もできます。
パスタに入れたり、ピザにトッピングしたりしても美味しく食べられます。

瓶詰めなら鮮度をあまり気にせず常備できて、食べたい時に料理できていいですね。
イワシのアンチョビとはちょっと違った味わいが楽しめることでしょう。

キビナゴ-南蛮漬け

出典・参照させていただいたサイト:
ちそう きびなご
良好倶楽部 きびなご
しきたり「きびなご」の名前の由来

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