サラダや薬味、付け合わせ、炒め物として色々な料理に活躍するスプラウト。
スプラウトは発芽直後の新芽で、これから成長するために必要な栄養素やパワーをたっぷり含んだ状態の発芽野菜です。
元々植物の種子には栄養素がギュウギュウに入っていますが、その種子の殻を破り発芽した直後はエネルギーに満ちていて、そこに野菜としての栄養素も加わることから、種子と野菜の両方の栄養素を持った状態なのです。
そして、どのスプラウトも成長した野菜より栄養価が高いのが特徴です。
下ごしらえもほとんどせずに手軽に食べられる食材として、種類も増えスーパーや小売店でもよく見かけるようになってますね。
大きく分けて発芽の仕方で「アブラナ科系」と「もやし系」がありますが、今回は「アブラナ科系」についてまとめてみました。
アブラナ科系の特徴
アブラナ科系は、種子から芽が伸びて葉が開くタイプ。暗室で発芽させ、その後光を当てて緑化させたものです。
アブラナ科の植物である大根・ブロッコリー・レッドキャベツ・マスタード・クレスや、アブラナ科ではありませんが豆苗などがこの種類です。
スプラウトはローカロリーなのに栄養たっぷり
ビタミンC・E・K、β-カロテン、葉酸、カルシウム、食物繊維などを多く含んでいます。
ビタミンC
水溶性ビタミンのひとつで、抗酸化作用のあるコラーゲンの生成に必須の化合物。皮膚のメラニン色素の生成を抑えてシミ・シワを防ぐ美容効果や風邪防止、ストレスへの抵抗力を高める働きがあります。
ビタミンE
脂溶性ビタミンのひとつで抗酸化作用があり、体内の細胞膜の酸化やLDLコレステロールの酸化を防ぎ、老化や生活習慣病を予防することが期待されています。
ビタミンK
これも脂溶性ビタミンのひとつで、出血した時血液を固めたり骨の形成を促す作用があります。
β-カロテン
β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抗酸化作用や免疫力を上げる働きがあることも分かっています。
葉酸(ビタミンB9)
ビタミンB12とともに赤血球の生産を助け、細胞をつくる時に必要なDNAなどの核酸を合成するという重要な働きがあります。
胎児の正常な発育に役立つビタミンなので、とくに妊婦さんに十分に摂取して欲しい栄養素です。
カルシウム
骨や歯の形成に欠かせない成分であり、細胞の分裂や筋肉収縮、神経興奮の抑制や血液凝固作用の促進にも関与しています。
食物繊維
消化されずに大腸まで到達し、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌のエサになり腸内環境を整え、排便をスムーズにする働きが期待されます。
イソチオシアネート
アブラナ科特有のピリッと辛い成分である、抗酸化や殺菌作用のあるイソチオシアネート(フィトケミカル)も含まれています。
免疫力アップやがん予防など、アンチエイジングにも期待が持てます。
スプラウトの選び方と保存方法
葉の色が濃く黒い斑点が出ていない、茎がシャキッとしているもの、長さがが揃っているものが新鮮です。
パックのまま冷蔵庫の野菜室に立てて保存し、3~4日で食べきるようにしましょう。一度に全部使わない場合は、残りはスポンジ部分を残し、そのスポンジを湿らせ保存すると1週間ほど日持ちします。
栄養を逃さず食べるには、出来るだけ加熱せず生で食べましょう。脂質との相性が良いので、油が入ったドレッシングなどをかけると、β-カロテンの吸収率がアップするそうです。
主なアブラナ科のスプラウト
かいわれ大根
おなじみのかいわれ大根は、平安時代から食べられてきた発芽野菜です。ピリッとした辛味が特徴で、大根と同様にジアスターゼという消化酵素を持っているので、胃腸の働きを助け食欲増進効果が期待できます。
ブロッコリースプラウト
スプラウトの中ではマイルドな辛味で食べやすい方ですが、スプラウト野菜をスーパーフードとして一躍有名にした、スルフォラファンを多く含んでいます。
スルフォラファンとは
ガン予防の研究を専門とする米国ジョンズ・ホプキンス大学のポール・タラレー博士が、ブロッコリーの新芽に含まれるスルフォラファンの有用性を発見し、広く知れ渡ることになりました。
スルフォラファンはイソチオシアネート(フィトケミカル)の一種で、解毒や抗酸化で重要な働きをする酵素の生成を促す作用があり、体の解毒力や抗酸化力を高める働きがあります。
また、ピロリ菌への殺菌作用があることやスギ花粉などによる炎症反応を緩和する、悪酔いを抑える、便通を良くする可能性もあることが研究データで報告されているのだそうです。
ブロッコリーより約7倍多く含まれているスルフォラファンを効率的に摂取するためには、できるだけ生で、細胞を壊すためによく噛んで食べましょう。
スムージーなどに加えるのも良い方法ですが、スルフォラファンは揮発しやすいので、時間をおかずに出来たてを飲むようにしましょう。
スルフォラファンは効力が3日間持つそうなので、3日に一度食べるといいそうです。
ただし、小麦・エビ・カニ・卵・落花生などにアレルギーがある人は注意してください。
レッドキャベツスプラウト
マイルドな味で、胃腸の働きを助けるビタミンU(キャベジン)が豊富です。茎が紫色なので、料理に彩りを添えてくれます。
マスタードスプラウト
スパイシーな刺激があって肉料理に合います。疲労回復に効果のあるビタミンB群やカリウムも含んでいます。
クレススプラウト
クレソンに似た香りがあり、ビタミンEが豊富です。
家計にやさしい豆苗にも栄養がたっぷり
管理人は、豆苗はアブラナ科ではなくエンドウ豆なので「モヤシ系」だと思っていたのですが、発芽の仕方でこちらに分類されるようです。
エンドウ豆が発芽して茎が20cmほどに成長したものが豆苗。
豆が持つ豊富な栄養成分を受け継ぎ、緑黄色野菜の栄養価も併せ持っています。
ビタミンC・E・K、β-カロテン、葉酸、カルシウム、食物繊維や、豆に含まれるタンパク質も多いです。
ほのかなエンドウ豆の香りと甘みがあり、シャキシャキとした食感です。
中国では昔から食べられてはいましたが、畑で栽培していて豆苗が採れる時期も短く手間もかかるため、長い間、高貴な人や正月などのめでたい時でしか食べらない希少な高級品でした(だから、中国料理のコースなどの一品として、豆苗炒めが堂々と出されるのですね)。
それを植物工場で水耕栽培し、農薬を使わず一年中栽培できる技術が開発されたおかげで、2000年代に入るといつでも安い価格で入手できるようになりました。
店では根付きのものと切ったものが売られていますが、根付きの方が保ちが良いようです。
保存は他のスプラウトと同様、パックで売られていたものはパックに入れたまま、立てて野菜室で保存しましょう。
豆苗がお得な理由の一つが再栽培出来ること
豆苗が人気な理由は味や栄養以外にもうひとつ、再収穫できることです。それも2回は収穫できますね〜。
料理に使って残った豆根の部分を水を張った容器に入れ、毎日水を交換しておく(とくに夏場などはカビが生えやすいので)と、一週間ほどで収穫できます。
買ってきたばかりの豆苗は衛生的な環境で育っているので生食も大丈夫ですが、自宅では雑菌が生じる場合があるので、加熱する料理で食べた方が無難でしょう。
アクもなく、β-カロテンなどの吸収率もアップするので油で炒める料理も向いていますが、火が通りやすいので、炒める時は短い時間で。
おまけ
栄養価が高い上に、使い勝手も良く手軽に毎日の食事に取り入れやすいスプラウト。
とくに豆苗は、簡単にキッチン菜園を楽しむこともできるなんて、なんだかおトク感がありますね〜♪
そのままプランターなどに植え替えして育てていると、エンドウ豆が収穫できるかもしれませんね。
出典・参照させていただいたサイト:
村上農園
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