春になると(3~5月頃)青果店やスーパーなどに、一年中売られている茶色い皮の玉ねぎとは、少し違う様子の玉ねぎが並びますね。
これは収穫してすぐ出荷されるのもので、新玉ねぎと呼ばれています。
一年中見かける玉ねぎはほとんどが黄玉ねぎという品種ですが、保存性を高くするために、収穫してから1か月ほど乾燥させてから出荷されています。
新玉ねぎはすぐに出荷されるので、水分を多く含んでいて、果肉がやわらかくジューシー、そして辛味が少なくほんのりと甘いのが特徴です。
いろいろな種類がありますが、大きく分けると3種類になります。
新玉ねぎの種類
葉付きの葉玉ねぎ
玉がまだ大きくなる前に収穫したもので、玉ねぎとしては小さいですが、深緑色のポロネギのような葉が付いています。
玉の部分は水分が多めで辛味が少なく、水にさらさなくても生でサラダなどで食べられます。
葉の部分はやや肉厚で太めですが甘みがあってやわらかく、青ネギと同じような調理で食べられるのが嬉しいところです。
旬の時期は1~3月頃で、春の始まりの頃よく見かけます。
ほとんどが白玉ねぎの早生種ですが、黄玉ねぎの間引きしたものも出荷されているようです。
購入する時は、葉が青々して張りがあり枯れていないもの、玉部分が真っ白なものを選びましょう。
できるだけ買ったその日に食べた方がいいですが、保存する場合は、玉と葉部分を切り離し(そのままだと葉が玉の栄養を取ってしまうため)、玉はラップして、葉は新聞紙に包み袋に入れて冷蔵庫へ。日持ちしないので3~4日で食べきるようにしましょう。
白玉ねぎ
極早生種や早生種の、外側の皮も白っぽい色をしている玉ねぎ。
形は扁平なものが多く、水分を多く含んでいるため、ふっくらと果肉がやわらかいのが特徴。辛味が少なくて甘みがあるため生食に向いています。
極早生種や早生種は、乾燥させ保存性を高くするのには向いていないため、収穫するとすぐ出荷されるものが多いです。
愛知県で栽培されている「愛知白早生」や静岡県栽培の「サラダオニオン」などは2~4月ごろ、淡路島で作られている「淡路島フルーツ玉ねぎ」は4~6月頃に新玉ねぎとして出回ります。
北海道で作られている「真白(ましろ)」は8月上旬から9月中旬頃出荷されます。
選ぶ時のポイントは、ほどよくふっくらとして表面にツヤがあり傷が少ないもの。通常の玉ねぎよりやわらかめですが、極端に弾力を感じるものは中が傷んでいる可能性があるので避けましょう。
保存は一個ずつ新聞紙で包んで、風通しの良い冷暗所で。カットした使いかけのものはぴったりとラップをして冷蔵保存します。
水分が多くて傷みやすいので、3~4日で食べきるようにしましょう。
早生玉ねぎ
普段食べている黄玉ねぎを早取りして、乾燥保存させずにすぐに出荷したもの。
白玉ねぎと比べると、みずみずしさや甘みは劣りますが、通年の玉ねぎよりは、みずみずしく辛味も穏やかです。
保存は通常の玉ねぎ同様、常温保存で。使いかけのカットしたものはラップで包み冷蔵庫で保存ですが、丸ごとのものは冷蔵庫に入れると傷みやすくなるので避けたほうがいいそうです。
風通しの良い場所にネットに入れ吊るして保存してもいいですが、せっかくの新玉ねぎなので、出来るだけ早く食べるようにしましょう。
新玉ねぎが甘い理由
品種の違いや改良努力のおかげももちろんありますが、秋に苗を植え、寒い冬を越えて春に出荷されることが、理由として大きいようです。
冬の厳しい寒さに耐えるために玉ねぎ自体が糖度を増やします。それを辛味成分があまり合成されていない早いうちに収穫し、乾燥保存させず水分が多い状態で出荷するので、みずみずしく辛味が弱く甘い玉ねぎになるのだそうです。
新玉ねぎと通常の玉ねぎの栄養の違い
含まれる栄養成分、ビタミンやミネラルなどにはあまり違いがないそうですが、食べた時の食感や味に違いがあるように、とくに機能性成分の量には差があるようです。
硫化アリル(アリシン)
玉ねぎの独特の臭いや辛味の成分で、玉ねぎを「血液サラサラ効果」で注目させている成分です。
血液が固まるのを抑制し動脈硬化や脳梗塞の予防、免疫機能向上など生活習慣病予防に効果が期待できますが、早穫りなので、辛味が抑えられる分、通常の玉ねぎよりも量が少ないそうです。
ケルセチン
これは玉ねぎの皮部分に含まれる、活性酸素を取り除く抗酸化作用のあるポリフェノールの一種で、アンチエイジングにも期待できる成分です。
しかし、玉ねぎ自体が紫外線から身を守るために増やしている成分なので、日照時間の短い冬に育つ、春先に出回る新玉ねぎにはあまり多くは含まれていません。
オリゴ糖
通常の玉ねぎより甘さを感じるように、オリゴ糖は多いといわれています。
大腸で善玉菌のエサになり、食物繊維とともに腸内環境を整え、便秘解消や肌荒れ緩和などに期待が持てます。
新玉ねぎはできるだけ生で食べよう!
通常の玉ねぎは辛味が強いので、生で食べる時は辛味を取るために水にさらしたりしますが、硫化アリルは水溶性なので、水にさらすと流れ出てしまいます。
そして加熱すると辛味は減って甘くなりますが、別の成分に変化していきます。
その点新玉ねぎは、辛味が少ないので水にさらさなくても生で食べやすいですね。
上記のとおり、含まれる硫化アリルやケラスチンの量は通常の玉ねぎより少ないですが、生で食べることで、効率的に「血液をサラサラにしてくれる」など、体に良い成分を摂取できるわけです。
せっかくの新玉ねぎ、栄養的にはスライスなどして生で食べた方がおトクな気がします。
もちろん、煮たり炒めたりなどで加熱しても美味しく食べられますが、果肉がやわらかいために、すぐにトロトロになってしまいます。加熱する時は大きめに切ったり、丸ごとスープにするのもいいですね~。
赤玉ねぎも生で食べやすい
新玉ねぎではありませんが、赤玉ねぎという皮が赤紫色をした玉ねぎもあります。
一年を通して販売されていますが、比較的多く出回るのは9月頃です。
表面だけではなく燐葉(りんよう)という中の皮表面も赤紫なので、輪切りにすると赤い年輪のような模様が見られます。
パッと見た目は派手ですが、通常の黄玉ねぎより辛味が弱く、ほんのり甘さもあるので、新玉ねぎと同様に生食に向いています。
栄養的にも通常の玉ねぎとあまり変わりません。成熟したものを黄玉ねぎと同じように皮を乾燥させる方法で保存ができるので、含まれる硫化アリルやケルセチンも多いです。
それに加えて、赤玉ねぎの赤や紫色は、色素成分のポリフェノールの一種・アントシアニンです。
アントシアニンにもケルセチン同様、強い抗酸化作用があります。また、眼精疲労の緩和や高血圧予防、肝機能の向上に効果があるといわれています。
保存方法は通常の玉ねぎとだいたい同じで、涼しくて湿気がこもらない場所にネットなどに入れて吊るしておくとよいです。
ただ、含んでいる水分量が通常の玉ねぎより多いので、湿気によるカビなどに、より注意が必要です。
水にさらす時はサッと
新玉ねぎと同じように、通常の玉ねぎより辛味が少ないので水にさらさなくても、生で食べられます。
が、個体によっては辛味が思ったより強いものもあります。その場合も水にはさらさず、切った後、断面が空気に触れるように広げてしばらく置いておくと、辛味成分が気化して出て行ってくれます。それでも辛味を感じる時は、水にサッとさらしましょう。
色が鮮やかなのでサラダの彩りに。また、スライスしてピクルス液に漬け込むと、肉料理などの付け合わせになり、食卓が華やかになりますね。ピクルスにしておくと、冷蔵庫で2週間ほど保つそうです。
一度にたくさんは食べない
新玉ねぎも赤玉ねぎも通常の玉ねぎより辛味が弱いので、生でたくさん食べられそうですが、一度にたくさん食べても効果が一気に増えるわけではありません。
硫化アリルは刺激が強く殺菌力も強いので、体の方がついていけず、胃もたれや下痢、頭痛やめまいを起こしてしますこともあるそうです。
血液をサラサラにしたり、体に良い成分が多く含まれている玉ねぎですが、食べ過ぎて逆に具合が悪くなっては元の子もありませんから、適量を少しずつ食べ続けた方がいいそうです。
出典・参照させていただいたサイト:
野菜ナビ 白玉ねぎ
まいにち野菜と豆腐 新玉ねぎの種類
Life+ 新玉ねぎとは?!
JAきたみらい 赤玉ねぎ