血液サラサラ効果などで注目の玉ねぎ。その体に良さそうな栄養成分を効率的に摂る食べ方は?

玉ねぎ-人参-カレー 野菜

玉ねぎ。青果店やスーパーで一年中売られていて、和洋中問わず様々な料理の食材になっている便利な野菜。保存もきくので常備しているご家庭も多いことでしょう。
玉ねぎは、ユリ科ネギ属の多年草。主に肥大した球根部分を食べる野菜ですね。

玉ねぎは最古の栽培植物の一つとされ、古代メソポタミア王朝の粘土板に楔形文字で書かれたレシピの中にも、多く登場しているそうです。
日本に定着したのは明治時代以降で、食生活の欧米化にともない、全国的に食べられる人気の野菜の一つになりました。

玉ねぎの栽培に適した温度は15~20℃前後で、ある程度暖かい気候の地域が産地になっています。
そのため大きく分けて、秋に収穫される北海道産と、春から初夏に収穫される本州産があります。
一般の玉ねぎは根や葉部分が枯れると休眠状態に入り栄養が落ちにくくなるので、収穫してすぐではなく、乾燥させて長期間保存できる状態にしてから出荷するそうです。表面が何枚かの茶色い乾いた薄皮で覆われていますね。
秋に収穫される北海道産も乾燥させたものを更に冷蔵貯蔵して、9月~翌3月ぐらいまで冬の時期でも出荷できるように調整しています。それで、一年中安定して流通できているのだそうです。

健康情報番組などで頻繁に「玉ねぎで血液サラサラに!」などと紹介されているので、生活習慣病予防に玉ねぎを食べている人も多いことでしょう。
玉ねぎの栄養とその効能、特に注目されている「玉ねぎで血液サラサラに!」などの、機能性成分を摂るのに効果的な食べ方などをご紹介します。

玉ねぎの種類

黄玉ねぎ

スーパーなどでよく見かける、最も流通しているのがこの種類。
日持ちをよくするために収穫してから1か月ほど乾燥させてから出荷するので、貯蔵性が高いという特徴があります。
本州産のものは、北海道産に比べ水分量がやや多く甘みがありますが、貯蔵性は少し低くなるようです。

小玉ねぎ(ペコロス)

黄玉ねぎの苗を密に植え、直径3~4cmほどに小さく育てたもの。
辛味が少なく煮崩れしにくいので、丸ごとシチューやポトフなど煮込み料理に使ったりします。

白玉ねぎ

皮の色が白くて薄い、極早生種や早生種の玉ねぎです。
水分を多く含んでいて果肉がやわらかく辛味が少ないのが特徴。
早生種の玉ねぎは、乾燥させての保存ができないので、新玉ねぎとして出荷されることの多い品種です。

赤玉ねぎ

表面の皮の色が赤紫の玉ねぎ。表面だけではなく燐葉(りんよう)という中の皮表面も赤紫なので、輪切りにすると年輪のような模様が見られます。
黄玉ねぎより辛味が弱く、新玉ねぎのようなみずみずしさと甘さがあるので、生食に向いています。
サラダやカルパッチョなどに入れると、見た目も華やかになりますね。

含まれる栄養成分は黄玉ねぎとさほど変わりませんが、赤紫色は強い抗酸化作用のあるポリフェノールのアントシアニンなので、栄養素が一つ加わるという嬉しい色でもあります。

エシャロット

玉ねぎ-エシャロット

黄玉ねぎを小さくやや細長くしたような形をしています。
フランス料理に欠かせない食材で、辛味が強く香味野菜として肉などのくさみを取るために、みじん切りで使われることが多いです。

よく間違われるものに「エシャレット」があります。これはラッキョウを生食用に軟白栽培し葉部分とともに売られているもの。
商品化した1950年頃、日本ではあまり見かけなかったヨーロッパのエシャロットに似ていたので、こういう名前が付けられたらしいのですが、現在はエシャロットも普通に出回っているので、とても紛らわしくなっています。(にこぴんも今回これを調べるまで、違いをよく分かっていませんでした~。)

今回は、一年中見かける黄玉ねぎの栄養や保存方法などを調べてみました。

玉ねぎの栄養素とカロリー

黄玉ねぎの生、可食部100gあたりのカロリーは37kcal。
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
玉ねぎの中くらいのサイズとしてはちょっと大きめかなというくらいの大きさ1個で、200gになるそうです。

玉ねぎにはじつは五大栄養素の含有量の中では、さほど目立つほどのものはありません。
1食あたりの目安量として、しいてあげると、ビタミンB群のビタミンB6葉酸パントテン酸ビタミンC、ミネラルのカリウム食物繊維などが比較的多いでしょうか。

ですがその代わりに、血液サラサラ効果などで注目の硫化アリル(アリシン)や、アンチエイジング効果が期待できるケルセチンなど、機能性成分が豊富に含まれています。

玉ねぎ-カレーうどん

硫化アリル(アリシン)

硫化アリルは、玉ねぎの独特なニオイや辛味のもとになっている成分で、ニンニクやネギ・ニラなどにも含まれています。
生の玉ねぎに含まれるアリインという硫化アリルは、切ったりおろしたりして細胞が壊されると、同じ玉ねぎに含まれているアリイナーゼという酵素の働きにより、アリシンに変化します。

アリシンは血液の流れを改善し、血液をサラサラにして血栓ができるのを抑え、体を温めたり胃液の分泌を促し食欲を増進させます。
血糖値の上昇も抑える働きがあるため、高血圧や動脈硬化・糖尿病などの生活習慣病予防にも効果的。
抗酸化作用と殺菌作用もあるため免疫力をアップさせ、風邪・インフルエンザ、食中毒の予防にも期待できます。

また、アリシンはビタミンB1と結合する性質があり、ビタミンB1の吸収が促進されます。
ビタミンB1は糖質からエネルギーを産生するのをサポートしていて、脳神経系の動きを正常にしたり、皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きがあります。
豚肉・レバーや豆類などビタミンB1を多く含む食材と一緒に摂ることで、新陳代謝の促進や疲労回復に役立ちます。

ケルセチン

ケルセチンはポリフェノールの一種で、玉ねぎの黄色の色素や渋みの成分です。
活性酸素を取り除く強い抗酸化作用があり、アリシン同様、こちらも動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病の予防、抗ガン作用、シワ予防などのアンチエイジングにも効果が期待できるといわれています。

グルタチオン

玉ねぎにはグルタチオンが含まれています。これは体内では特に肝臓と眼の水晶体に多い成分で、肝臓で薬物の処理や過酸化脂質・活性酸素の分解、眼では水晶体や角膜の透明性の維持などに働いています。
玉ねぎを常食すると上記の働きのため、慢性肝炎や白内障、疲れ目やかすみ目などが改善されるといわれています。

オリゴ糖

玉ねぎには、血糖値を上げにくい特徴がある難消化性フラクオリゴ糖も含まれています。
食物繊維とともに、胃や小腸で消化されずに大腸まで届き、善玉菌を増やして腸内環境改善に働き、便秘解消や肌荒れの予防に効果が期待できます。

栄養成分を逃さず摂る効率的な食べ方は

玉ねぎ-ワカメ

水にさらしすぎず、生でサラダなどで食べるのがオススメ

玉ねぎにはビタミンB群のビタミンB6や葉酸、ビタミンC、カリウムなど、水溶性の栄養分が比較的多く含まれています。
機能性成分であるアリシン(硫化アリル)も、水にさらしすぎると流れ出て、加熱すると別の成分に変化します
玉ねぎの辛味の成分である硫化アリルは、煮たり焼いたり炒めたりなどで加熱すると、糖と反応して甘くなります。これが加熱した玉ねぎが甘くて美味しいものに変わる理由でもあるのですが、上記したアリシンの「血液サラサラ効果」などは減ってしまいます。

アリシン効果が目的で玉ねぎを食べるのであれば、外側の茶色い皮をむき、水でさっと洗い、細胞をできるだけ壊すため、繊維に逆らって横切りに薄くカットするか、みじん切りやすりおろして、生で食べるのが一番オススメです。
カットした後、玉ねぎの辛味をを取るために水にさらすことが多いと思いますが、さらさずに広げてカットした面を空気に触れさせるようにして、そのまま30分ほど放置していると、辛味成分が揮発し弱くなるそうです。水にさらす場合は、出来るだけ短時間に。

とは言っても辛味は残るので、無理して一度にたくさんの量を生で食べると、胃もたれや下痢や腹痛になるおそれもあるそうで、毎日少しずつ食べるように心がけることが大切だそうです。

豚肉や油で炒めるのもオススメ

ただ、アリシンはビタミンB1の吸収を促進する働きもありますし、ケルセチンは脂溶性で油に溶ける性質を持っていますので、ビタミンB1の多い豚肉や、チーズなどの乳製品と一緒に調理して食べるのもよいでしょう。

玉ねぎ-豚肉

玉ねぎの保存方法

玉ねぎは保存性が高く常温でも日持ちする野菜です。
基本的には常温で風通しが良く湿度が高くない場所で、ネットに入れ吊るしたり、1個ずつ新聞紙で包みカゴに入れたりして保存すると、結構長持ちします。

さすがに気温が30℃を超えるような日が続く真夏は、冷蔵庫で保管した方がよいようです。一度切って残ったものもラップに包んで冷蔵庫へ。冷蔵庫の野菜室は湿気が多いので、野菜室での保存はやめたほうがいいそうです。

玉ねぎ自体の状態や保存環境によっては、カビが生えたり芽が出てくることもあります。
玉ねぎは冷凍保存も可能です。

冷凍保存の方法

玉ねぎを冷凍すると、生のシャキシャキとした食感は失われてしまいますが、細胞が壊れてすぐに火が通り味が染み込みやすくなるので、加熱料理に使うことが前提です。

まず皮を剥いて頭とおしり部分を切り落とします。
それから、ご自分が料理に使う形、みじん切りやくし型など(丸ごと擦りおろす時はそのまま)にカットします。
それを一度に使う分ずつ小分けして、ラップに包みジッパー付きのフリーザーパックに平らになるように入れ、できるだけ空気を抜いて保存します。
料理に使う時は、解凍せず凍ったまま加熱料理しても大丈夫です。

切る時涙が出るのは、硫化アリルのせいではなかった!

玉ねぎ-みじん切り

玉ねぎを切ったりみじん切りにする時、目にしみて涙が出る(人によっては鼻水まで)のは、たくさんの人が経験して知っていることと思います。
いろいろな本やサイトを見てみると、多くは「それは硫化アリルのせい」と書かれていますが、実は硫化アリルが原因ではないそうなのです。
なぜかというと、同じ硫化アリルを含んでいるニンニクやネギを切っても、涙は出ないからです。

なんだか難しい名前がいっぱい出てきて、ややこしい仕組みなので、ちゃんと説明できるか分かりませんが(硫化アリルの濡れ衣を晴らすために??)一応書いてみます。

生の玉ねぎに含まれるアリインという硫化アリルは、切ったりおろしたりして細胞が壊されると、同じ玉ねぎに含まれているアリイナーゼという酵素の働きにより、アリシンに変化します。
その過程の中で「硫化アリルが分解され、中間体であるプロペニルスルフェン酸に変化した後に、自動的に、涙を流させる催涙ガス・syn-プロパンチアール-S-オキシドが合成される」とされてきたので、硫化アリルのせいになっていたのです。
しかし、玉ねぎだけに存在している、プロペニルスルフェン酸を催涙ガス・syn-プロパンチアール-S-オキシドに変える酵素が、新たに発見されたのです。
その発見された酵素は、催涙成分合成酵素LFSと命名されました。
syn-プロパンチアール-S-オキシドという催涙ガスは揮発性なので、玉ねぎを切ると気化し目や鼻の粘膜に張り付くのです。それを洗い流そうとして涙や鼻水が出てくるのだそうです。

「ふぅっ、ちゃんと説明できたかな・・・」というか「だから~、それが何!」という声が聞こえてきそうですね。玉ねぎを切ると涙が出るのには変わりないですし(苦笑)。

できるだけ涙を流さないで玉ねぎを切る方法もいろいろあり「切る30分ぐらい前に冷蔵庫に入れ冷やしてから切る」とか「玉ねぎの細胞が壊れるのを抑えるために、切れ味の良い包丁で切る」「換気扇の下で切る」「電子レンジで少し温めてから切る」「水に浸けながら切る」あるいは「割り箸を口にくわえながら切る」「この際、水中眼鏡をして切る」などがあります。
ただ、水に浸けながら切る方法は、血液サラサラ効果があるとされている硫化アリルの有効成分も少なくなってしまうため、あまり長い時間浸けすぎないようにしましょう。

催涙成分合成酵素LFSはハウス食品の研究グループが発見し、この研究でイグノーベル賞を受賞したのだそうです。
その後も研究を重ね、水にさらさないで生でかじっても辛くない、切る時も目にしみない「スマイルボール」という玉ねぎを開発し、秋冬限定ですが販売しているそうです。
気になった方がいらしたら、試してみたらいかがでしょうか。

出典・参照させていただいたサイト:
GOHAN 食の豆知識
マイナビウーマン
暮らしーの 玉ねぎ
ハウス食品グループ本社株式会社 スマイルボール

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