イカは、タコと同じ軟体動物の一種で、貝類になるのだそうです。
イカの甲や骨と呼ばれる軟骨状のものは「軟甲」という貝殻で、貝殻は外敵から身を守るためのものですが、筋肉系が発達し高い運動能力を獲得する過程で、逆に邪魔になるということで退化していったと考えられているそうです。
イカを貝類と思ったことが今まで一度もなかったので、びっくりしました。
調べてみると、いろいろな事実が出てきますね~。つくづく知らないことが多すぎる~~。
イカは世界の海で約500種類、日本近海だけでも約130種類以上が生息していて、その中で食用とされているものは、スルメイカ・アカイカ・ヤリイカ・ケンサキイカ・アオリイカ・ホタルイカなど、20種類ほどだそう。
漁獲量が多いのは北海道・青森県・長崎県などですが、北から南まで日本近海に生息しており、種類により旬の時期が違うので、生イカでも1年を通して楽しむことができます。
イカはエンペラから足まで全部食べられる食材で、刺身など生で食べても、煮たり焼いたり加熱しても美味しく、塩辛やスルメ(アタリメ)などにも加工され、おやつや酒のつまみとしてもよく食べられていますね。
日本は世界の年間漁獲量の半分ほどを消費しており、世界で一番食べている国なのだそうです。
今回はそんな日本人が大好きなイカの栄養や効能、また、イカスミや加工された塩辛・スルメ(アタリメ)などにも栄養があるのかなどを調べてみました。
イカの栄養
生のアカイカ100gあたりのカロリーは81kcalと低カロリー。
水分79.3g、タンパク質17.9g、脂質1.5g、炭水化物Tr、灰分1.4g、食塩相当量は0.5gです。
ビタミンの含有量は少ないですが、ビタミンD・Kを除くビタミン類が存在し、ミネラルもほとんど(とくに亜鉛・銅・セレン)を含み、タウリンやリン脂質が多いのが特徴です。
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
主な栄養素を紹介します。
タンパク質
エネルギー源であり、筋肉や臓器・肌・髪、体内のホルモンや酵素、免疫物質などを作るヒトの体に欠かせない栄養素ですね。
タンパク質は多数のアミノ酸が結合したものですが、ヒトの体内で効率的にタンパク質を利用するには、体内で合成できない必須アミノ酸9種類がバランスよく含まれていることが重要です。それを示すアミノ酸スコアで最高値が100のところ、イカのスコアは70~100なのが、良質なタンパク質といわれる理由です。
しかも低糖質・低脂質なので、タンパク質は摂りたいけど糖質・脂質は控えたいという人にも、嬉しい食材といえるでしょう。
ヤリイカのアミノ酸スコアが70なのはバリンの値が低いためですが、バリンは肉のレバーや卵、チーズ、マグロなどの赤身、白米・小麦粉などに含まれていますので、そういう別の食材と組み合わせると100が期待できます。
例えば、日本人の主食である白米(ご飯)はリジンの値が低くアミノ酸スコアは61なのですが、一緒に食べると足りないアミノ酸を補え合えるのだそうです。
タウリンが豊富
その数種類含まれるアミノ酸の中でも、とくにタウリンが豊富です。
イカのうまみ成分であるタウリンには、肝臓の働きを活発化させたり、交感神経の働きを静めて血圧の上昇を抑える、血液中の余分なコレステロールを排出して血液をサラサラにするなどの働きがあるといわれています。このことから、二日酔い防止や、高血圧や動脈硬化・糖尿病などの生活習慣病予防に効果が期待できます。
イカはコレステロールが多い食材とされていて、コレステロールの高い人は食べないように指導されていた頃もありましたが、現在は、豊富に含まれるタウリンの働きにより、逆にコレステロール値が下がるのではないか考えられているようです。
イカのうまみ成分として、もう一つ含まれているアミノ酸の一種・ベタインにも、肝機能を高めたり、コレステロール値の上昇を抑制する働きがあり、動脈硬化・糖尿病などの生活習慣病予防に期待ができます。
コラーゲン
皮膚や腱・軟骨などを構成するタンパク質の一種であるコラーゲンも含まれています。
イカのコラーゲンはその9割が皮部分にあるので、皮部分を剥かずに食べるとより多く摂取できます。
ただし、天ぷらなどの揚げ物にする場合は、油がはねる危険があるので皮は剥いた方がいいそうです。
ビタミン類
抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンE、糖質・脂質・タンパク質のエネルギー代謝に関与するビタミンB群などもバランスよく含まれています。
ビタミンE
脂溶性のビタミンで、強い抗酸化作用があり体内の脂質の酸化を防ぎます。細胞膜を健全に保つなどの働きがあり、悪玉コレステロールの酸化による動脈硬化や血栓の予防など、加齢により発症しやすい疾患の予防に役立つことから「若返りのビタミン」とも呼ばれています。
ビタミンB群
ビタミンB2は、摂取した糖質・脂質・タンパク質のエネルギー代謝に関与する補酵素として働きます。特に脂質の代謝に関わっているため、皮膚や粘膜、髪などの細胞の再生に役立ちます。
ナイアシンは、皮膚や粘膜の保護や、脳神経正常維持に働きます。欠乏すると、口角炎が起こったり、食欲不振や不眠などの症状や倦怠感を感じることもあります。
ビタミンB12は、葉酸と協力し赤血球のヘモグロビンを生成するのに重要な成分で「造血のビタミン」とも呼ばれます。また、目のピント調節能力をサポートし、目の疲れを改善する働きもあります。
一般的な食生活では不足することはほとんどありませんが、ビタミンB12は基本的に動物性にしか含まれていないので、菜食主義(ベジタリアン)の人などは、不足してしまう可能性があるそうです。
リン脂質
もともとイカの脂肪含有量は約2%と少ないですが、その多くがレシチンとも呼ばれるリン脂質です。
リン脂質は、細胞膜を形成する主な成分で、体内で脂肪が運搬され貯蔵されるときにタンパク質と結びつき血液中を移動し、血管にコレステロールがたまるのを防ぐ働きがあります。抗酸化作用もあり、生活習慣病予防にも役立ちます。
EPA・DHA
不飽和脂肪酸のオメガ3系のEPA・DHAも含まれています。DHA・EPAは血流をサラサラにし、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らし、善玉コレステロールを増やす働きがあることで、注目の栄養素ですね。
イカスミの栄養素
イカスミは、イカが外敵から身を守るために吐き出す墨で、真っ黒でとろみがあり他の食材とも絡みやすいので、パスタやパエリアなどに使われていますね。食べると口の周りや口の中が黒くなるので敬遠する人もおられますが、含まれるアスパラギン酸とグルタミン酸がうま味を作り出すので、好んで食べる人も多いです。
イカスミにもイカ本体と同じような栄養があり、タウリン・ビタミンE・ビタミンB2・ビタミンB12などが豊富です。
イカスミの黒い成分はアミノ酸の一種・メラニンというの色素です。
メラニンは過剰に作られると、お肌のシミの原因となるということで悪者扱いされることが多いですが、もともと「紫外線から皮膚の細胞を守る」という働きのために作り出されるもので、胃液分泌の抑制による整腸作用、花粉症や食物アレルギーの発症を抑える効果があるといわれています。
タンパク質の一種・リゾチームという防腐力の強い物質も含まれていて、抗菌作用もあります。
イカスミの粘度を作っているムコ多糖類(タンパク質複合体)には、コンドロイチンやヒアルロン酸といった関節の潤滑剤の役目や細胞を保護したり、免疫機能を強化する働きがあります。
このイカスミに含まれるムコ多糖には抗がん作用もあるのではないかという研究発表がされていて、注目されています。
沖縄には古くから「イカスミ汁」という郷土料理があり、頭痛・肩こり、産後の回復によいとされ、食べられてきていますね。
イカの加工食品に栄養はあるのか?
イカは全部食べられる食材として、昔から保存食としても塩辛やスルメ(アタリメ)・クンサキなどに加工されてきました。そういった加工品にも栄養はあるのでしょうか?
答えはイエスです。
塩辛は生のイカを原料としていて、そのまま新鮮なイカの栄養を豊富に含んでいます。おまけに内臓なども一緒に漬け込み発酵させるので、栄養価も高くなっています。ただし塩分が多いので、一度に沢山は食べないように心がけましょう。
スルメ(アタリメ)やクンサキもイカの栄養を豊富に含んでいます。スルメの表面に白っぽい粉が付いていますが、これはタウリンのエキスが乾燥したものだそうです。
じっくりとよく噛んで食べよう!
イカは消化に悪いとよく言われていますね。私もお腹が痛くなったことがありますねぇ。
イカは弾力があり噛みごたえがありますが、これは壊れにくい繊維質だからだそうです。
スルメ(アタリメ)になると、干して乾燥させ水分を飛ばしているので、ますます硬くなっているうえに、食べるとお腹の中の水分を吸って膨らんでしまう性質もあります。
噛むのが面倒臭くなったり時間がない時など、つい呑み込んでしまうことがありますが、それで胃や腸に負担をかけてしまのが、消化不良になる原因ですね。
ですが逆に、腹持ちのいい食材ともいえます。もともと低カロリーなのに腹持ちがよいとなると、ダイエットにも期待できます。
イカはなるべくよく噛んで、あまり食べすぎないようにしましょう。スルメなど噛めば噛むほど、味も出てきますし。
おまけ イカの足をなぜゲソと呼ぶの?
日本では、昔からよく食べられてきたイカですが、江戸時代の頃は食べるのは胴体などの上半分で、足部分は捨てていたそうです(地域によっては食べていた)。足には吸盤が付いていたりするので食べにくいからかもしれません。
寿司屋などの店では客には出していませんでしたが、捨てるのが勿体ないからか、賄いでは食べていたようです。それを見た客が「食べさせろ!」と。食べてみたら美味しかったので、一般的に食べられるようになったそうです。
今では胴体よりゲソの方が好きな人もいますもんね~。
それまでは上半分しか食べていなかったので、そこをイカと呼んでいて、足部分には名前がありませんでした。でも、食べるからには名前を付けなくてはいけません。
その当時、寿司屋などの飲食店や寄席の下足番が、客の下足(ゲタ)を十足一組に束ねて管理していましたが、その様子がイカの足に似ているということで「下足」→「ゲソ」と呼ばれるようになったのだそうです。
出典・参照させていただいたサイト:
全国いか加工業協同組合 イカの栄養と機能成分
サンキュ!「イカ」の主な栄養素とカロリーまとめ
まごころケア食 イカ
わかさの秘密 イカ