ブリの栄養と効能。成長によって名前が変わる縁起の良い出世魚

寒鰤-刺身 魚介類

ブリはスズキ目アジ科に分類される、大型肉食の回遊魚です。
主な生息域は日本海と北海道から九州の太平洋岸で、春から夏に沿岸域に寄って北上し、始冬から春に沖合いを南下します。
通常は全長1メートル、体重8kg程度まで成長しますが、もっと大きくなる個体もいます。

ブリは成長によって名前が変わる出世魚

成長にともない名前が変わる出世魚で、昔から縁起の良い魚として正月料理にも使われてきました。
東日本と西日本では呼び名が異なりますが、80cm以上をブリと呼びます。

  • 東日本 モジャコ(稚魚)→ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ(※養殖物をハマチと呼ぶこともあります)
  • 西日本 モジャコ(稚魚)→ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ
  • 北陸 コゾクラ・ツバイソ→フクラギ→ガンド・ガンドブリ→ブリ

今では養殖物のブリも増えてきていることから一年中スーパーなどの店に並んでいますが、天然の旬は12月~3月の冬の時期です。
地域により産卵期にズレがあり、東シナ海南部は2~3月、九州近海が4~5月。産卵期に備えてエサをたくさん食べ脂がのっているため、その前の時期が美味しいとされているのです。
とくに12~1月に日本海沿岸で漁獲される親ブリを「寒ぶり」といい、「氷見ぶり」「佐渡一番寒ぶり」とブランド名が付いているものは高品質でお値段も高いですね。

ブリは刺身やぶり大根などの和食だけでなく、洋風のメニューでも美味しく食べられる、使い勝手の良い魚。
そんなブリに含まれる豊富な栄養素や効能、そして購入する際の見分けるポイントについて紹介します。

ブリの栄養と効能

鰤-全体

生のブリ100gあたりのカロリーは222kcal。
主に含まれるのはタンパク質21.4g、脂質17.6g、炭水化物7.7g。それにビタミンB群ビタミンD8.0μg・ビタミンC2mg、ミネラルもカリウム380mg・カルシウム5mg・マグネシウム26mg・リン1.3mg・1.3mgなどです。
出典参考:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

時期により多少カロリーが変わりますが、含まれる栄養素は同じです。

良質なタンパク質

タンパク質はエネルギー源であるだけでなく、ヒトの体の筋肉や臓器・肌・髪、体内のホルモンや酵素や免疫物質などを作る、欠かせない栄養素です。
タンパク質は多数のアミノ酸が結合したものですが、ヒトの体内で効率的にタンパク質を利用するには、体内で合成できない必須アミノ酸9種類がバランスよく含まれていることが重要です。
その9種類の必須アミノ酸の含有量を数値化したものを「アミノ酸スコア」といいますが、ブリのアミノ酸スコアはその最高値である100なので、必須アミノ酸9種類を全て満たしている、とても良質なタンパク質です。

ブリの脂に多く含まれるEPAとDHA

主に青魚の脂に含まれている不飽和脂肪酸・n-3系脂肪酸は、ヒトの体内で合成できないため食物から摂る必要がありますが、ブリにも多く含まれています。

EPAには血液の流れを良くする働きがあるので、血液をサラサラにして血管年齢を若く保ち、脳梗塞や動脈硬化の予防、中性脂肪値を下げる、アレルギー症状の緩和などの効果に期待できるといわれています。
DHAは脳や網膜などの神経系に豊富に含まれている栄養素で、脳を活性化させて脳の発達促進効果や認知症予防に期待がされている成分です。

エネルギー代謝を助けるビタミンB群

ビタミンB1は糖質、ビタミンB2は脂質、ビタミンB6はタンパク質のエネルギー代謝を助ける補酵素として働きます。
ビタミンB12は、葉酸と協力し赤血球のヘモグロビンを生成するのに重要な成分で「造血のビタミン」とも呼ばれます。また、目のピント調節能力をサポートし、目の疲れを改善する働きもあります。
ナイアシンは、糖質や脂質からエネルギーをつくりだしたり、二日酔いの原因となるアルコールを分解する時に働きます。また、皮膚や粘膜の保護や脳神経正常維持に働かせる効果があります。

ビタミンB群はそれぞれ助け合いながら、脳や神経、皮膚などを健康に保ち、エネルギーを生成するのを助け疲労回復にも役立ちます。

カルシウムの吸収を助けるビタミンD

ビタミンDはカルシウムとリンの吸収を助け、丈夫な骨や歯を形成したり、筋力を高める、免疫機能を高めるなどの働きがあります。
ブリにはカルシウムやリンも含まれているので、効率よく栄養を摂取できますね。

肝機能を高めるタウリン

タウリンはアミノ酸の一種です。
肝臓の働きを活発化させたり、交感神経の働きを静めて血圧の上昇を抑える、血液中の余分なコレステロールや中性脂肪を減らす働きがあるといわれています。このことから、二日酔い防止や、高血圧や動脈硬化・糖尿病などの生活習慣病予防に効果が期待できます。

ミオグロビンには鉄が豊富

ブリは回遊魚なので、マグロなどと同じような赤い血合い部分があります。
血合肉には普通肉に比べて、酸素を貯蔵する機能を持つ「ミオグロビン」という色素タンパク質がたくさん含まれています。ミオグロビンの色素部分を構成しているのが、ヘム鉄と呼ばれる鉄です。
鉄はヘモグロビンの核となって体の隅々まで酸素を運ぶ役割をするので、貧血の改善に役立ちます。

新鮮なぶりの選び方

鰤-切身

ご家庭で料理の材料としてブリを購入する場合は、切り身を買うことが多いと思います。その際のチェックポイントをいくつか紹介します。

血合いの色が鮮やかで赤いもの
血合いの色が鮮やかで赤いものほど新鮮です。血合いの色が黒ずんでくると味も落ちてきています。

皮につややかな光沢があり、身に透明感があるもの
新鮮なものは身にツヤや透明感があり、ふっくらと盛り上がっています。

ドリップが出ていないもの
ドリップが出ているものは、うま味成分も一緒に流出して味が落ちてるだけでなく栄養素も低下しています。また、水分量も落ちているので、パサついた食感になります。

皮の色で見分ける

ブリは三枚におろし、半身を腹側と背中側に切り分けてさばいているので、腹側と背中側で切り身の皮の色が違います。
皮が青っぽく濃い色をしたものは背中側部分。脂身が少ないため身がしまってさっぱりとしています。
皮が白っぽい色をしている方が腹側部分です。脂がのっているためとろっとした食感が楽しめます。

調理の種類や味の好みで、購入する時の参考にしてください。

血合いやアラの部分

鰤カマ-塩焼き

血合いは、一般的に魚の背身と腹身の間にある赤色筋繊維という細胞が固まった部分を指し、ミオグロビンが多く含まれているので、ほかの部分に比べて濃い赤色をしています。
上記したように選ぶ時の鮮度を見る目安になっていて、鮮度がよくないと生臭さを感じます。その生臭さが嫌で捨ててしまう人も多い部分ですね。
しかし、血合肉にはミオグロビンなど、鉄やビタミンA・ビタミンD・ビタミンB6・グリコーゲン・アンセリンなどの栄養素が豊富に含まれています。

身を削いだあとに残る頭やカマなどの部分をアラといいますが、時々スーパーなどでも売っていますね。しかもすごく安い!
ここもコラーゲンなどのタンパク質・脂質・炭水化物・鉄分・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンB群など栄養が豊富で、骨からうま味がじんわりと出るため、ぶり大根などの煮物や汁物に最適です。
カマの部分はこんがり塩焼きにすると、皮部分がパリパリになり、ふっくらとした身とともに、それも美味しいですね。

下ごしらえとして、臭みを取るために熱湯を回しかけ、冷水に取るというひと手間がありますが、できれば捨てないで料理に活用すると、うま味も多く栄養もたくさん摂れる部分です。

ブリの栄養を上手に摂るには

鰤-アラ煮

刺身など生で食べる

血液サラサラや脳を活性化してくれる効果が期待できるEPA・DHAですが、酸化しやすいうえに加熱すると流れ出てしまいます。生で食べると最も効率よく栄養素を摂取できますので、刺身やカルパッチョなどがオススメです。

ただし、養殖物は管理されているので大丈夫ですが、天然物はアニサキスなどの寄生虫が心配ですね。切り身で買う場合は、店の方でもよくチェックしているはずですが、それでも心配な時は自分でも食べる前によくチェックし、よく噛んで食べましょう。
少し鮮度は落ちてしまいますが、一度冷凍させるという方法もあります。ポイントはマイナス24℃以下で1日以上冷凍すること。1日以上冷凍させないと完全には死滅しないそうです。

煮物や汁物は煮汁も一緒に食べる

EPA・DHAやビタミンB群などの水溶性のビタミンなどは、栄養が外に流れ出てしまいます。
煮汁も一緒に食べるようにすると栄養を逃さず摂ることができます。みそ汁やアラ煮、ぶり大根やトマト煮込みなどの煮込み料理にすると、煮汁ごと食べることができますね。

カルシウムを含む食品と一緒に食べる

ブリにはカルシウムの吸収率をアップさせるビタミンDも豊富に含まれています。カルシウムを含む食品と一緒に食べると、骨が丈夫になり、骨粗しょう症の予防にも期待ができます。
カルシウムは、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、骨ごと食べられる小魚、豆腐や納豆などの大豆製品、野菜類や海藻などに多く含まれます。そういうものと組み合わせて食べると吸収されやすくなります。

タンパク質や炭水化物を含む食材と一緒に食べる

ブリにはタンパク質や炭水化物をエネルギーに変えることを助けるビタミンB群が豊富に含まれています。ご飯などと一緒に食べることで、代謝が効率的に行われ、エネルギーが作りやすくなります。

栄養満点でアレンジの幅が広いブリ

旬は冬のブリですが、養殖技術が発達した現在では、一年中スーパーなどにも並べられています。
栄養素も豊富に含まれていて、とくにビタミンB群が豊富なことから、一緒に食べる食材の栄養を効率よくエネルギーとして生み出してくれるのもいいですね。
ブリのメニューというと、刺身・照り焼き・塩焼き・ぶり大根など和風が多いですが、バターソテーやアクアパッツア・トマト煮など洋風にも幅広くアレンジ可能な食材。
美味しくて、値段も手頃になってきているブリ。小骨も少ないので子どもやシニアの方でも食べやすく、家庭の食卓に上がることが増えているのも、なんだか納得です。

出典・参照させていただいたサイト:
Kurashriru ぶりの選び方と栄養素
wikipedia ブリ
まごころケア食 ブリ
SAILORS  FOR THE  SEA 冬旬魚代表ブリ!

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