牡蠣は低カロリーなのに栄養豊富。生食用と加熱用ではどっちが新鮮?

生牡蠣 魚介類

プルプルでトロンとして、つるんとした舌触りが魅力の生牡蠣。
想像しただけでもヨダレが出てきそうですが、フライや鍋に入れたり炒めたりしても美味しいですよね~♪。

牡蠣には、グリコーゲングリシンコハク酸など旨味成分がたっぷりなうえ、必須アミノ酸を全て含むタンパク質カルシウム鉄・銅タウリン亜鉛など栄養素が豊富に含まれ「海のミルク」あるいは「海の完全食品」とも呼ばれていますね。

牡蠣は紀元前から、世界中で食べられていた

牡蠣は紀元前から世界中で食されていたようです。魚介類を生ではほとんど食べないヨーロッパの人々も、生牡蠣は好んで食べてきたようで、古代ローマ時代にはすでに養殖も行われていたそうです。

日本も縄文時代頃には食べられていたらしく、貝塚から殻が発見されています。
昔は輸送するのに時間がかかったため産地以外では生食はされず、ほとんど加熱して食べられてきました。
日本人が牡蠣を一般的に生で食べるようになったのは、明治時代以降に生食文化が欧米から流入してからなのだそうです。

牡蠣が秋から冬に多く流通する理由は

11月頃になると、スーパーなどにも牡蠣が並ぶようになりますが、なぜ冬に牡蠣の流通が多くなるのでしょうか。

日本近海に生息している牡蠣には、真牡蠣岩牡蠣住之江牡蠣シカメガキイタボガキなどがありますが、一般的に流通しているほとんどが真牡蠣という種類で、多くが広島や宮城、岡山などで養殖されたものです。
真牡蠣は初夏に産卵期を迎え、一度の産卵で体中の栄養を使い果たすので、身が痩せ味も落ちてしまいます。
欧米で「Rの付かない月(5~8月)の牡蠣は食べるな」とか、日本でも「花見を過ぎたら牡蠣食うな」と言われたりするのは、このためです。
それから少しずつ回復し11月頃から食べ頃になります。
そして、産卵する前の栄養をたっぷり蓄えている3〜4月頃が、最も美味しいとされているのです。

おもに三陸や鳥取などで獲れる岩牡蠣は、少しずつ産卵するので産卵後の回復が早く、逆に夏が美味しく「夏牡蠣」とも呼ばれています。
真牡蠣より大粒でジューシーなのですが、天然ものが多く希少な食材で、広く出回るほど出荷量が多くないそうです。
冬はもっと岩牡蠣を見かけませんが、それは天然ものが多いので、海女さんや漁師さんが海に潜って獲らなくてはならず、冬は寒く漁が出来ないからだそうです。
食べられたらラッキーですね。

鮮度のよい牡蠣の選び方

牡蠣-鍋物

剥き身の場合は、身がプリプリと全体に丸みがあり透明感のある、潰れていないもの。外とう膜(ビラビラしている部分)の黒がなるべくはっきりしてるいるものが新鮮。
殻付きは、厚みがあり全体的に丸い形で、傷が少なく口が閉じているもの。

ただこれは、新鮮なものがより旨味が多いという話であって、食中毒を引き起こす原因は、鮮度とは違うところにあるようです。

「生食用」と「加熱用」の違い

魚屋さんやスーパーなどでは「生食用」と「加熱用」に分けられて売られていますが、その違いをご存知でしょうか。「生食用は新鮮だから生でも食べられる。加熱用はちょっと古くなったもの」と勘違いされている方もおられるかもしれませんね。

実は、獲れてから店頭に並ぶまでの時間の早さを新鮮というのなら「加熱用」の方が早いのです。

「生食用」と「加熱用」は、獲れた海域と細菌数で区別されているのだそうです。牡蠣は一日300リットルもの海水を吸い込み、そこに含まれる栄養豊富なプランクトンなどを吸収して成長します。その時一緒に悪い菌やウイルスも吸い込んで体内に溜め込みます。

「生食用」の牡蠣は生で食べることが前提なので、保健所が定期的に水質検査をし、細菌数などの基準をクリアした清浄な指定海域で獲れたものしか「生食用」として出荷できません。
さらに獲れた後も、20時間以上殺菌用の海水の中で、断食させながら換水し人工浄化させます。身が少々細くなり水っぽくなりますが、生で食べても大丈夫な状態になったら出荷されます。

一方「加熱用」は、加熱調理して食べるのが前提なので、とくに海域の指定もなく、獲れたらすぐに出荷されます。
河口や沿岸などの栄養濃度の高い海域で育っているので、「生食用」より大粒で旨味や栄養成分も豊富なものが多いです。人工浄化もしていないので、旨味もそのまま残っています。

だからと「加熱用」を生で食べるのは、食中毒(とくにノロウィルス)になる危険性が高いので絶対にNGです。
ノロウイルスの感染力は、85℃以上で90秒加熱すると不活化するとされているので、中心部までしっかりと加熱するようにしましょう。

反対に「生食用」を加熱調理するのは健康的には問題ありませんが、「加熱用」より「生食用」の方が値段も高いですし勿体無いので、料理に合わせ表示の通りに選びましょう。

ただ「生食用」でも100%安全なわけではありません。出荷された後の保存環境もいろいろなので、体調がすぐれない時などは、生食は控えた方が賢明です。

牡蠣のふっくらプルプル感を残す、縮ませない下処理方法

牡蠣フライ

せっかくプルプルとした牡蠣を買ってきたのに、加熱したら縮んじゃって…がっかり!という経験はありませんか。
ひと手間かけると、ふっくらと料理を仕上げることができます。

  1. まずパックから牡蠣をボウルに移します。塩・片栗粉を小さじ1ずつ加え、力を入れずやさしく混ぜます。
  2. そこに水を加え、またもや、やさしく混ぜ汚れを落とします。
  3. 水を捨て、キッチンペーパーで軽く水気を拭き取ります。
  4. その牡蠣に軽く片栗粉をまぶし、沸騰したお湯にさーっとくぐらせ冷水に取ります。片栗粉でコーテングすることで、牡蠣はふっくらしたまま縮むことなく調理できます。

生牡蠣も、片栗粉または大根おろしでやさしく洗って、汚れを落としてから食べた方がいいそうです。

牡蠣に含まれる主な栄養素の働き

亜鉛

亜鉛は魚介類全般に含まれますが、牡蠣に含まれる亜鉛の含有量は群を抜いて多いそうです。
亜鉛は体の代謝や細胞を作るのを助ける酵素のひとつです。
肌や髪に潤いを与えたり、味を感じる舌の表面の味蕾細胞の再生に役立ったり、免疫力をアップさせ風邪を予防したりなど、体を健やかに保つ効果が期待されます。

鉄と銅

牡蠣には吸収の良いヘム鉄が多く含まれています。鉄は血液の中のヘモグロビンの構成成分で、酸素運搬という重要な役割があり、貧血を予防してくれます。
銅はその鉄をヘモグロビンを作る時に必要な場所に運び、鉄の吸収や利用を助ける働きがあります。

ビタミンB12

ビタミンB12は動物性食品に含まれるビタミンで「赤いビタミン」とも呼ばれる水溶性ビタミンです。
葉酸と協力して赤血球中のヘモグロビンの生成を助け、貧血予防や疲労回復に役立ちます。
神経機能の維持などの働きもあり、脳からの指令を伝える神経を正常に保つ役割もあります。

グリコーゲン

牡蠣の旨味を引き出すグリコーゲンは肝臓に蓄えられ、筋肉の中にも貯蔵され、必要な時にエネルギーに変換されます。
即効性があるので疲労回復や、脳の働きを活発にしたり血糖値を調整してくれる効果もあります。

タウリン

豊富に含まれているタウリンは、栄養ドリンクにも入っているのでお馴染みですね。
肝臓の働きを活発にする機能の他、コレステロールの上昇を抑えたり、中性脂肪を減らす、高血圧・糖尿病予防、ストレス解消など様々な効果が期待できます。

牡蠣をさらに美味しくし効果を増やす食べ合わせ

牡蠣-トマト-パスタ

酢やレモンと

酢やレモン汁に含まれるビタミンCやクエン酸には、牡蠣に含まれる亜鉛や鉄の吸収率をアップする働きがあります。また酢やレモン汁をかけると、牡蠣が酸性になりバイ菌が繁殖しにくくなります。
生牡蠣や牡蠣フライによく添えられていますが、牡蠣の臭みを消すだけでなく、栄養的にも理に適っているのですね。

トマトと

トマトのリコピンは抗酸化作用を持っていて、そこに牡蠣の栄養分が加わるとさらに強力な抗酸化作用が期待できます。
牡蠣の旨味とトマトの酸味は、美味しさ的にも相性抜群です。

他にも、鶏肉・もやし・納豆との食べ合わせは肝機能を向上させ血行促進や体力増強が、ほうれん草・シジミ・ハマグリとの組み合わせは相乗効果で貧血予防と改善が期待できます。

比較的低カロリーなのに、栄養価が高い

牡蠣は岩や他の貝殻などに付着すると、それから一生ほとんど動かないため筋肉は退化し、内臓が発達し全体の9割を占めているそうです。
あのプルプルとした独特の食感は、そうやって作られているのですね。

剥き身約20グラムでカロリーは約12calと低カロリーなのに、栄養価が高くアンチエイジング効果もある嬉しい食材。

食中毒に十分気をつけながら、牡蠣の奥深い味を堪能し、明日の元気をもらって美味しく食べていきたいですね。

出典・参照させていただいたサイト:
Wikipedia カキ(貝)
日本クリニック株式会社 「海のカキ」食養相談室 健康コラム
ぐるなび みんなのごはん
マイクロダイエットネット

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