鯖の栄養素と効能。健康に良いとされる脂質、EPA・DHAとは?

鯖-塩焼き-2 魚介類

青魚のなかでも代表格といわれ、昔からよく食べられてきた鯖。
近頃もテレビの情報番組で鯖缶の健康・美容効果が紹介され、ますます注目されてきているようです。

今回は鯖に含まれる栄養素の効能や見分け方、また健康に良いとされる脂質、EPA・DHAとはどういうものなのかを紹介します。

日本でよく食べられる鯖の種類

鯖味噌-2

鯖はスズキ目・サバ科に分類される魚の総称で、世界各地で食されています。
日本国内でよく食べられているのは、日本近海で主に獲れるマサバ・ゴマサバや、ノルウェーなどから輸入されている大西洋サバ(ノルウェーサバ)があります。

マサバ

春から夏にかけて北上し、秋から南下します。ホンサバ・ヒラサバとも呼ばれ最大50cmを超す大きさのもいます。
産卵期が3〜6月のため、脂がのって美味しい時期は晩秋から翌2月頃までとされています。10〜11月のものを「秋サバ」、12〜翌2月頃までのものを「寒サバ」と呼びます。
日本近海でよく漁獲されてきた魚ですが、近年は漁獲量が減ってきているそうです。

ゴマサバ

名前のとおり、体の側面と腹側に多数の小黒斑があるのが特徴。縦断面の切り身が丸いことから「マルサバ」とも呼ばれています。
マサバと比べてもともと脂質が少なく、一年を通して味はほとんど変わりませんが、マサバの味が落ちる頃にそれに代わって漁獲されることが多いので、旬は夏とされています。
よく蕎麦やうどんの出汁に使われる鯖節にも加工されています。

大西洋サバ(ノルウェーサバ)

主にノルウェーから輸入されているので、ノルウェーサバとも呼ばれます。
ノルウェーには、脂がのった旬の時期に、漁船ごとに決められた量しか漁獲できない漁獲規制があるため、常に高い品質が維持されたものが輸入されています。

国内でのブランド鯖

日本近海で漁獲された鯖のなかで、質の高さで有名なものが三つあります。

関さば:12〜翌3月の脂がのった旬の頃に、豊後水道で一本釣りで漁獲され大分県佐賀関で水揚げされたマサバ。
漁獲後一定期間畜養してストレスや老廃物を無くしてから活け〆にして出荷されます。

清水さば:太平洋に面し黒潮が流れエサが豊富な足摺岬沖で、一本釣りで獲れるゴマサバ。
高知の土佐清水市の名前から「清水さば」と呼ばれています。

松輪サバ:東京湾口の三浦半島南端から袖ヶ浦沖で、これも一本釣りで漁獲され、神奈川県三浦市松輪漁港で水揚げされるマサバです。
秋には皮が脂で黄色く輝き、普通のマサバとは明らかに違う様子。できるだけ人の手が触れないようにして出荷直前まで生かして運ぶことで、鮮度を保っています。

新鮮な鯖の見分け方

鯖-全体-1匹

目が濁っていなくて、背中の青い模様がはっきりしているものが良品。
なのだそうですが、体長が30cm以上ある魚で一般の人は捌くのが難しいことや、「さばの生き腐れ」といわれるほど傷むのが早い魚なので、獲るとすぐ血抜きや内臓・頭を落とすなどが施されていることが多く、スーパーで見かけるのは、大半が捌かれ下処理がされた状態ですね。
切り身の場合は、切り口がきれいに立っていて身が全体的にふっくらし、皮がピンと張っているのを選ぶといいそうです。
生ではなく塩鯖は、海外(特にノルウェー)産で冷凍ものも多いですが、上記したように脂ののった時期に漁獲されているので、焼いて食べるのにもってこいです。

「アニサキス」という寄生虫や、ヒスタミン生産細菌によるヒスタミン中毒を避けるために、基本的には生食はタブー。
ただし、鮮度が保てる、漁獲地近くで売られているもの、上記したブランドものや養殖鯖の獲れたてのものなど、生でも食べられるのもあります。
漁獲努力や処理技術向上のおかげですね。

鯖の臭みを消す方法

まず塩を振ります。それから酒を振るか、香味野菜(生姜、ネギ、大葉、ニンニク、ハーブなど)や香辛料を加える、または熱湯でサッと茹でると臭みが抜けるそうです。まあだいたい調理中にやってますよね〜。

鯖に含まれる栄養素と効能

〆鯖-1

一般的なマサバの100gあたりのカロリーは211kcal(1尾可食部96gで203kcal)。
これよりゴマサバは低くタイセイヨウサバは高くなり、時期により多少カロリーに変動はあります。
主に含まれるのはタンパク質脂質、それにビタミンB群ビタミンDビタミンE、ミネラルもカリウムリン亜鉛セレンなどです。
出典:カロリーSlism マサバ

主に含まれる栄養素とその効能は次のとおりです。

良質なタンパク質

タンパク質はエネルギー産生だけでなく、ヒトの体の筋肉や臓器・肌・髪、体内のホルモンや酵素や免疫物質などを作るのに欠かせない栄養素です。

タンパク質は多数のアミノ酸が結合したものですが、ヒトの体内でタンパク質を効率的に利用するには、体内で合成できない必須アミノ酸9種類がバランスよく含まれていることが重要です。
その9種類の必須アミノ酸の含有量を数値化したものを「アミノ酸スコア」といいますが、鯖のアミノ酸スコアはその最高値である100という、必須アミノ酸9種類を全て満たしている、とても良質なタンパク質です。

鯖の脂に多く含まれるEPAとDHA

主に青魚の脂に多く含まれている不飽和脂肪酸・n-3系脂肪酸のEPA・DHAは、ヒトの体内で合成できないため食べ物から摂る必要があります。

EPAには血液の流れを良くする作用があり、血液をサラサラにして血管年齢を若く保ち、脳梗塞や動脈硬化を予防したり、中性脂肪値を下げる、アレルギー症状の緩和などが期待できるとされています。

DHAは脳や網膜などの神経系に豊富に含まれている栄養素で、脳を活性化させて脳の発達促進効果や認知症予防に期待がもたれています。精神の安定やストレス緩和への作用もあるとされ、積極的に摂りたい栄養素です。

注意点は、健康に良いからとEPA・DHAを多く含む食品をたくさん食べ、なおかつサプリも飲んだりして摂りすぎると副作用の危険性が高まることがあります。とくに血栓症の薬を服用している人は、主治医にご相談ください。

エネルギー代謝を助けるビタミンB群

ビタミンB1は糖質、ビタミンB2は脂質、ビタミンB6はタンパク質のエネルギー代謝、ビタミンB12はアミノ酸・核酸・葉酸の代謝を助ける補酵素としての働きがあります。

またビタミンB12は、葉酸と協力し赤血球のヘモグロビンを生成するのに重要な成分で「造血のビタミン」とも呼ばれています。目のピント調節能力をサポートし、目の疲れを改善する働きもあります。

ナイアシンは、糖質や脂質からエネルギーを作りだしたり、二日酔いの原因となるアルコールを分解するように働きます。皮膚や粘膜の保護・脳神経正常維持にも働きます。

ビタミンB群はそれぞれ助け合いながら、エネルギーを生成するのを助け、脳や神経・皮膚などを健康に保つことに関与するので、疲労回復にも役立ちます。

カルシウムの吸収を助けるビタミンD

ビタミンDは小腸でカルシウムとリンの吸収を促進し、丈夫な骨や歯を形成したり、筋力を高める、免疫機能を高めることなどに働きます。

抗酸化作用のあるビタミンE

強い抗酸化作用のあるビタミンEも含まれています。コラーゲンの生成を助けたり、過酸化脂質の生成を抑えたり、生活習慣病予防やアンチエイジングにも役立つ栄養素です。

貧血の予防に鉄

鉄は酸素を全身に運ぶヘモグロビンを作るために欠かせないミネラル。不足すると酸素が上手く取り込めず貧血になり、筋力低下や疲労を起こす原因になります。

正常な味覚を保つのに必要な亜鉛

亜鉛は新陳代謝やエネルギーの代謝、免疫反応などといった、体内のさまざまな働きを助け正常に保つように働く栄養素。
味を感じる舌にある味蕾(みらい)の味細胞でも重要な働きをしています。味細胞は短期間で細胞を次々生まれ変わらせているので、材料となる亜鉛が常に必要です。

鯖の栄養を上手な摂るには?

しめ鯖-サラダ

生で食べる

鯖の栄養を効率よく摂るには、EPA・DHAなどの栄養素は酸化しやすいので、やはり生で食べるのが一番でしょう。傷みが早い魚のため昔は漁獲地でしか食べられませんでしたが、上記したように、最近では生で食べられるものも増えてきています。
刺身やカルパッチョで生で食べると、栄養が効率よく摂取できますね。

ただ、新鮮であること、そして食中毒を引き起こす可能性のあるアニサキスなどの寄生虫には十分に気をつけましょう。

〆鯖で食べる

傷みやすい魚ということで、それをなんとか長持ちさせようと考え出されたのが、塩と酢を使い〆るという方法ですね。
酢が加わることにより、唾液が分泌されて食欲を高め、クエン酸は疲労物質である乳酸を体内で分解して新陳代謝を促進してくれる働きを持っているので、疲労回復にも役立ちます。

ただし、見た目は生の刺身とあまり変わりませんが、塩も加えているので塩分量、そしてカロリーが生よりも増えていることは、頭のスミに入れておくとよいでしょう。
また、酢を加えて〆鯖にしても、アニサキスは死にません。
心配な場合は、アニサキスはマイナス20℃以下で24時間以上冷凍すると死滅するそうなので、一度冷凍しましょう。

緑黄色野菜なども一緒に食べる

鯖に含まれるEPA・DHAは酸化しやすい性質ですが、抗酸化作用があるβ-カロテンを含む野菜などと合わせると酸化を遅らせることができます。
そして、EPA・DHAを含む鯖の脂肪はカロテン吸収率を高める働きもあるので、緑黄色野菜を一緒に摂取すると、相乗効果で高い抗酸化作用が得られます。
β-カロテンは、人参やパプリカ・かぼちゃ・トマト・ほうれん草などの緑黄色野菜に豊富に含まれています。

また、野菜と一緒に食べると、鯖にあまり含まれていないビタミンCや食物繊維なども補えるので、栄養のバランスも良くなります。

油を使った調理で食べる

鯖に含まれるビタミンD・ビタミンEは脂溶性のビタミンなので、油と一緒に摂取すると吸収率がアップします。竜田揚げやフライ・ソテーにするなど、油を使って調理すると効果的です。
揚げたりすると鯖の青魚特有の臭みが消えるので、鯖が苦手な人も食べやすくなりますね。

皮ごと食べる

鯖の皮には、ビタミンのビタミンA・ビタミンB2・ビタミンDなどや、EPA・DHA、亜鉛、タンパク質(コラーゲン)などが含まれていて、身の部分よりも皮の部分に多く含まれている栄養素もあります。
生臭さを感じて残す人もおられるかもですが、食べられるなら食べた方が栄養的にオトクです。

カルシウムを含む食品と一緒に食べる

鯖にはカルシウムの吸収率をアップさせるビタミンDも含まれていますので、カルシウムを含む食品と一緒に食べると、骨が丈夫になり、骨粗しょう症の予防にもなります。
カルシウムは、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、骨ごと食べられる小魚、豆腐や納豆などの大豆製品、野菜類や海藻などに多く含まれます。

鯖-フライ-刺身

調理する以外にも、様々な加工品が。

鯖は傷むのが早い魚だからと推察しますが、昔から加工品が多いです。文化干し、味噌漬け、ぬか漬け、鯖節、ブームになっている缶詰などです。
保存期間も伸び、うま味成分も熟成され、なにより調理時間が短縮されるので重宝しますね。

おまけ

実際の年齢より若く見られたいがために29歳なのに25歳とか誤魔化したりすることを「サバを読む」といいますね。これは魚の数で取引が行われていた江戸時代に、鯖が大量に穫れ過ぎたりした夏などに「鮮度低下が激しくてやばい!」と考えた漁師や魚屋が、数もろくに数えずに慌てて売りさばいたのが起源だといわれています。
まあ今は、実際は44歳なのに「私、もうすぐ50なのよ〜」と言い「えっ! 嘘〜、全然見えな〜い。若いですねー!」というような、逆サバ読みが増えてきているもようです。

鯖など青魚の缶詰は、美容やダイエットにも効果が期待できる、栄養がギュッと詰まったお宝缶!
密閉してから加熱調理される缶詰の中には、必須脂肪酸オメガ3系EPA・DHAや、老化防止に効果があるといわれるビタミンE・ビタミンB2、鉄分、タウリン、コラーゲン、骨まで食べられるのでカルシウムやマグネシウムと栄養がとても豊富です。

出典・参照させていただいたサイト:
良好倶楽部
Macaroni 鯖は健康に良い栄養がたっぷり
旬の魚介百科 サバ

コメント メールアドレスが公開されることはありません。

タイトルとURLをコピーしました