エビの種類とその特徴。昔から不老長寿の象徴として縁起のよい食材

エビ-天ぷら 魚介類

エビはプリプリッとした食感と甘みのある味わいで、子供から大人まで大好きな人が多いですね。
刺身や寿司・天ぷら・エビフライ・エビチリと、和洋中を問わず様々な料理で食べられています。
また、目玉が飛び出しているところから「めでたい」、髭が長く腰が曲がっているように見える外見から「腰が曲がるまで長生きできる」、赤い色から紅白の縁起物として、お祝いの席や正月のおせち料理にも使われています。

今回はそんなエビの、国内で流通している主な種類と特徴などについて調べてみました。

エビとは

エビとは、十脚目(エビ目)に属する動物のうち、ヤドカリ下目とカニ下目を除いた分類群の総称で、世界中に3000種以上いるといわれています。
大きく2種類に分けられ、伊勢海老などの海底を歩行する大型のエビを「海老」、サクラエビなどの海中を泳ぐ小型のエビを「蝦」とも書きますが、厳密ではありません。
英語では大きさにより名前が変わり、伊勢エビほどの大きさはLobster、クルマエビほどの中型はPrawn、小さいエビはShrimpと呼ばれています。

日本では大好きな人が多く、国民一人あたりの消費量が世界でもトップクラスのエビですが、現在の国内自給率は4%ほどしかなく、流通している95%以上が輸入されたモノです。
国内で漁獲されるのは、海底を歩行するエビ類が約10種、泳ぐエビ類が約30種ですが、漁獲量が少ないため地元でほとんど消費されています。
それで一般的に国内で流通しているのは、漁獲量や養殖量が安定している20種類ほどになるそうです。

エビの種類とその特徴

日本でよく食べられているエビと、その特徴を紹介します。

バナメイエビ

バナメイエビ-無頭
バナメイエビ(無頭)

クルマエビの仲間で、全長20cmほどの中型。現在、日本で一番流通しているエビで、有頭のまま、無頭のもの、冷凍むきエビなどで販売されています。
バナメイエビは、病気への耐性が強く、淡水に近い水質でも育ち、養殖期間が3〜4ヶ月とコスパが高いことで、急激に増えているエビです。
ベトナムなどの東南アジアやインド、そして日本でも養殖されていて、旬の時期はなく年間通してスーパーなどでもよく見られます。
売られているものは、ほとんどが輸入物であることもあり、一度茹でられ赤い色をしているものが多いです。
身はプリプリとして柔らかく、あっさりとした味わいで甘みがあります。基本的には、炒め物や蒸し物など加熱した料理で食べられています。

ブラックタイガー

多くが冷凍エビとして、スーパーなどでは頭を取った状態でよく販売されています。
クルマエビの仲間で、ベトナム・インドネシア・タイ・インドなどで養殖され輸入されたものが多く、これも旬の時期はなく年間通して手に入ります。
バナメイエビよりやや大型で、生の状態では黒っぽく縞模様があり、火を通すと鮮やかな赤色に変わります。
プリプリとした食感で甘みがあり、エビフライや天ぷら・エビマヨなど、幅広いエビ料理で食べられています。

赤エビ(アルゼンチンアカエビ)

赤エビは別名アルゼンチンアカエビと呼ばれるように、アルゼンチン南部の太平洋で獲れる天然エビで、漁獲されるとすぐ急速冷凍されたものが輸入されています。
大規模な底引き網で一度にたくさん獲れるので、価格が比較的リーズナブル。
赤エビの殻は赤みがかった色をしていて、生の身はトロッと加熱するとプリッとした食感になり甘みがあります。
刺身をはじめどんなエビ料理にも使えますが、美味しいのは鮮度が良い時だけなので、購入する時は新鮮なものを選ぶようにしましょう。

日本産のなかにも「アカエビ」と呼ばれるエビがありますが、一般的に小エビといわれるもので、種類が違うそうです。

車エビ

車エビ-刺身
車エビの刺身

体長約20cmくらいで、国内では主に東京湾や伊勢・三河湾などの太平洋岸で獲れるエビです。
茶褐色の縞模様があり、体を丸めると車のタイヤのように見えるので車エビと名付けられたといわれています。
天然物の旬は初夏~秋ですが、漁獲量が減ってきており、現在8割以上が日本で養殖されたものになっています。養殖物の旬は12月~2月頃。
高い技術が必要で海外へ養殖技術が輸出できないことや、コストがかかることで、養殖物も高級エビになりますが、国内では投薬が禁止されていることもあり、安心・安全な施設で育てられ、品質も天然物と遜色がありません。
伊勢エビと並び、年末年始のお祝いの時期に多く流通されています。
食感はプリッとしておりうま味と甘みが強いです。
車エビは刺身でも美味しいですが、少し加熱するとうま味と甘みがより強くなるので、塩焼きや蒸し・天ぷらなど、味をシンプルに味わえる料理がオススメです。

芝エビ

クルマエビの仲間で、体長10~15cmのスリムな小エビ。
東京湾や新潟より南に生息し、かつては東京湾の芝沖で沢山獲れたことから「芝エビ」と呼ばれるようになったといわれています。
ですが現在ではほとんど獲れず、主な産地は九州の有明海や三河湾など。
旬は1~4月ですが、漁獲量が減少しているので、一般のスーパーなどではほとんど見かけません。

甘エビ

甘エビ-刺身
甘エビの刺身

甘エビと呼ばれているほとんどのエビの正式な和名は、ホッコクアカエビといいます。
体長10~13cmほどで、生きている時から赤い殻は柔らかく、水分が多い身と「甘エビ」と呼ばれるように甘みが強いのが特徴です。
日本では主に日本海から北海道にかけて獲れ、北大西洋で獲られたものも輸入されています。
甘えびの旬は地域によって違いがあり一年を通して獲れるエビですが、養殖が困難な貴重な水産資源であることから、資源保護対策が行われています。
甘えびの食べ方で一般的なのは刺身ですが、よい出汁もとれるので味噌汁や素揚げなどでも食べられています。

ボタンエビ(トヤマエビ)

千葉や静岡などの太平洋側で獲れるエビで、体長20cmほどで比較的大きく新鮮なものほど鮮やかな赤色をしています。
しかし、漁獲量が激減してしまったこともあり、近縁である富山で獲れたトヤマエビや、カナダやアラスカから冷凍で輸入されるスポットエビも「ボタンエビ」を名乗ってよいことが消費者庁より許されています。
トヤマエビは富山から北海道にかけて獲れます。
身は水分が多くねっとりとした濃厚な甘みが特徴で、刺身で食べるのが一般的。
卵や味噌も美味しいので高級寿司ネタにもなっています。また焼き物やフライといったいろいろな料理で食されています。

桜エビ

国内の桜エビは東京湾・千葉県沖・相模湾・駿河湾に生息していますが、保護のために水揚げできるところは限定されています。
漁期も決まっており3月下旬~6月上旬と10月下旬~12月下旬の2回で、この時期が桜エビの旬となります。
透明感のある赤色で体長は4cm程の小さなエビで、殻ごと食べられます。
産地などでは新鮮なうちに生のまま味わうことができますが、大体は天日干しや釜揚げなどに加工されてに流通しています。
かき揚げや炒めもの、また料理のトッピングなどで食べられています。

白エビ

日本沿岸の深海だけに生息しているエビで、商業になるほどの量が獲れるのは、唯一日本海側の富山湾だけです。
桜エビより一回り大きく体長7cmほど。
「富山湾の宝石」ともいわれ、水揚げ直後は薄いピンク色をしていますが、傷みやすくどんどん白っぽくなっていくので、白エビと呼ばれています。
産地では、生のまま刺身でも食べられていますが、水揚げ後すぐに急速冷凍されることが多いです。
資源保護のため夏の間しか漁獲できない貴重なエビで、主にかき揚げや天ぷらなどで食べられています。
冷凍されたものは殻が簡単に剥けることから、寿司ネタとしても大変人気があります。

大正エビ

ひと昔前まで、よく名前を聞いたエビですね。
クルマエビの仲間で、体長20〜25cmになり、車エビのような縞模様はなく尾のみが黒っぽいエビです。
大正時代に朝鮮半島沿岸でよく獲れたため、コウライエビとも呼ばれます。
かつては東シナ海でも獲れ、価格も安く手に入りやすかったのですが、近年漁獲量が激減しており、あまり見かけなくなりました。

ホワイトエビ

これは東南アジアで漁獲され輸入された天然エビのことで、上記の白エビとは別種類です。
激減した大正エビの代わりに輸入されるようになりました。
甘み成分のグリシンが多く甘くて身質も柔らかいので人気がありますが、天然物なので漁獲が安定せず、価格が高いです。

伊勢エビ

赤褐色のごつごつとした硬い殻と2本の棒状の太い触角が特徴で、大きさは30cmほどと国内で獲れるエビのなかでも大型です。
茨城県以南の太平洋側や、韓国・台湾にも生息してて輸入もされています。
伊勢でたくさん獲れたので「伊勢エビ」と呼ばれますが、相模湾でもよく獲れたので関東では「鎌倉エビ」の別名があります。
漁獲され地域によって旬が違いますが、禁漁の期間もあります。最も早く漁が解禁になるのは千葉県で、8月初旬~4月まで。一般的に美味しく食べられる旬は11月~3月頃です。

伊勢エビも養殖が確立されていないため、とても高級なエビとなっています。見栄えも良いので、縁起物としてお祝い料理や正月のおせちなどによく出てきます。
身はプリプリとしていて、活きの良いものはミソまで食べられ、濃厚なうま味と舌の上でとろりと溶けるような甘さがあります。
刺身で食べると甘さが引き立ち、加熱してもプリプリの食感で美味しいので、天ぷらや塩茹で・鬼殻焼き・ソテー・味噌汁など、様々な料理で食べられています。
殻は硬くてさすがに食べられませんが、味噌汁やスープに入れると、とても良い出汁がでます。

伊勢海老-焼き

まとめ

日頃、なにげに食べているエビ。
現在、あまり名前に馴染みのない養殖の「バナメイエビ」が、国内で一番流通量が多いとは…。
1955年ぐらいは日本国内の自給率100%だったそうですが、そこからどんどん漁獲量が減っていき、現在の自給率は4%ぐらいしかない、というのが調べていて一番驚いたことでした。
これはエビだけではなく魚介類全般、気候の変化、消費者の魚離れが進んだことや日本沿岸での漁獲量の減少、就業者の高齢化による体力問題で、沿岸地域の人口減少が進んでいることが関係していると考えられているそうです。

エビは縁起物としても昔から食べられてきた食材。
輸入物が増えていますが、日本沿岸の天然エビの漁獲量が減ってきたということで、日本と東南アジアなどの国々が協力しあいながら、ずっと高い需要に対応するために、養殖を増やしてきたという経過もあるようです。
国内でも養殖業が増えてきているそうなので、少しでも自給率が上がってくれることを願わずにはいられませんね。

エビチリ

出典・参照させていただいたサイト:
日本海老協会 えびの豆知識
和の食アカデミー 種類によって旬が違う海老の栄養
ふるさと納税 DISC・VERY
Lidea エビの下処理の基本&冷蔵・冷凍保存テク

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