リンゴは、アダムとイブが最初に食べた「禁断の木の実」(諸説あり)ということになっており、人間が最古に食べた果実とされていますね。
その後も、ウィリアム・テルに矢で射られたり、白雪姫を仮死状態にしたり、万有引力の法則発見に貢献したり、医者を青くしたりと、活躍してきたリンゴ。
何かと話に出てくるということは、それだけ昔から人間の暮らしの中に当たり前のようにあり、愛されてきたという証拠でしょう。
日本には平安時代以前に中国から伝わったとされていますが、現在主流になっているリンゴは、明治時代にアメリカから持ち帰った「国光」などの品種を植栽したセイヨウリンゴで、戦後に接ぎ木の技術が進歩し品種改良されたものだそうです。
その中でも「ふじ」は国光とゴールデンデリシャスを掛け合わせてできた品種ですが、1962年に青森県藤崎町で誕生してから海外にも盛んに輸出され、今では中国・韓国・北アメリカ・オーストラリアなどでも栽培されていて、世界一生産量の多い品種となっているようです。
リンゴといえば、風邪を引いた時によく食べられていますね。
にこぴんも幼い頃、風邪で熱を出し寝込んでいる時に母が擦ってくれたリンゴをよく食べました(これだけが寝込んでいる時の楽しみだったのに、小学校に上がった頃には面倒くさくなったのか擦ってくれなくなりましたが・・苦笑)。
欧米では昔から「リンゴが赤くなると医者が青くなる」と言われるほど栄養価の高いリンゴの保存方法や効能、効果的な食べ方などをご紹介します。
リンゴの選び方や保存方法

選び方
ヘタの切り口が新しく、枝が干からびていないものが新鮮。
皮に傷が無くツヤがあり全体的にお尻まで色づいているもの。赤いリンゴでお尻が緑色のものはまだ完熟していないので酸味が強いです。
甘い良い香りがして、持つとずっしりとした重みを感じるのが、完熟していて果汁が多くジューシーです。
時々、表面が少し油っぽくベタつくリンゴがありますが、あれは人工的なワックスや農薬ではなく、リンゴそのものが持つ自然のロウ物質です。熟すにしたがって分泌されるオレイン酸やリノール酸などの脂肪酸が、そのロウ物質を溶かすのがベタつく理由なので、口にしても問題はないそうです。
保存方法
リンゴは保存性があり低温多湿を好む果物なので、冬など寒い季節は暖房のない気温の低い場所であれば、箱に入れたままか、できれば乾燥を防ぐために新聞紙等に包んで置いておくと、1ヶ月位は保存できます。
暖かい時期や暖房の入った部屋では冷蔵庫で保存。その場合は乾燥を防ぐために新聞紙あるいはキッチンペーパーで包み、一緒に保存している野菜や果物などが傷みやすくならないように、ポリ袋に入れ、しっかり口を閉じて保存してください。
リンゴのエチレンガス効果
リンゴはエチレンガスを放出しています。
このガスは果物を熟す働きがあるので、キウイやバナナを早く追熟させたい時は、逆に一緒の袋に入れ保存するとよいそうです。
また、ジャガイモから芽が出るのを抑える働きもあります。
冷凍保存
リンゴは冷凍保存できますが、シャキシャキ食感は失われてしまいます。
ジャムやスムージーにするのだったら、甘さも増すのでよいかもしれません。
切ったリンゴの保存
切ってしまったリンゴはすぐに茶色っぽく変色してしまいます。それはリンゴに含まれるポリフィノールが空気に触れることによって酸化するのが原因です。
それを防ぐためには塩水や砂糖水に浸けたりしますが、レモン汁をかけておくと変色を防げるそうです。
そして切った部分をラップでピッタリと包むと、ある程度変色を防いで保存できますが、水分が抜けていくのも早いので、なるべく早く食べるようにしましょう。
リンゴに含まれる栄養素とその効能

リンゴの約85%が水分で、残りの15%にビタミンA・C、カリウム、ポリフェノール、クエン酸・リンゴ酸、食物繊維などが豊富に含まれています。
その含まれる栄養素にはどのような効果が期待されるか、見ていきましょう。
整腸・便秘対策
豊富に含まれる水溶性食物繊維であるペクチンには、腸内の善玉菌(ビフィズス菌)のエサとなり乳酸菌を増やし腸内環境を整えてくれるので、便秘だけではなく下痢対策としても有効です。
また食物繊維には分泌される胃酸の量を調節する働きもあるので、風邪など体調が悪く胃腸の調子が悪い時にすりおろしリンゴをよく食べるのには、食べやすいからだけではなくちゃんと理由があるんですね。
ただしペクチンは、過剰摂取すると腹痛や下痢を引き起こす可能性があるので、食べるとしても一日1個ぐらいにおさえておきましょう。
血圧やコレステロール値を下げる効果
リンゴに含まれるカリウムにはナトリウム(塩分)を体外に排出し血圧の上昇を防ぐ働きがあり、ペクチンには血液中のコレステロールを下げたり血糖の上昇を抑えてくれる作用が認められています。
むくみは体内に余計な水分が溜まって起こりますが、カリウムがその余計な水分や塩分を排出してくれ、むくみ解消に役立つでしょう。
ダイエットや美肌効果
リンゴ1個のカロリーは180kalぐらいなので、食前にリンゴを半分ほど食べると満腹感が得られ食べ過ぎ防止になります。
ビタミンCやポリフェノールには強い抗酸化作用があるので、シミ・そばかすをできにくくする美容効果、糖尿病や動脈硬化など生活習慣病予防にも期待がもてます。
疲労回復効果
リンゴの酸味は、クエン酸やリンゴ酸によるもの。クエン酸は体内でエネルギー代謝を行うクエン酸サイクルの中心的成分なので、クエン酸を摂ると疲労物質の分解が行われ疲労回復につながります。
なるべく皮ごと食べる
上記したような健康やアンチエイジングに役立つ成分であるペクチンやポリフェノールなどは、皮に多く含まれています。
リンゴの栄養素を効率的に摂るためには、皮ごと食べた方がいいようです。

リンゴ酸には肉を軟らかくする働きも
肉を軟らかくするには、牛乳やヨーグルトに浸ける、玉ねぎやパイナップルと一緒に調理するなどの方法がありますが、リンゴに含まれるリンゴ酸にも肉の繊維を軟らかくする働きがあります。
肉と一緒に炒めたり、擦りおろしたリンゴをタレに加えたり直接塗ったりして漬け込んでいると、肉が軟らかくなります。また、リンゴ酸には臭い消しの効果もあるので、口臭対策もできます。
アップルパイやジャムを作るには「紅玉」が最適

紅玉は、明治時代に「国光」と共にアメリカから入ってきた皮が真っ赤で小玉の品種です。
甘い新品種におされ一時期手に入らないくらいまで生産量が減っていましたが、近年、紅玉の酸味や煮崩れしにくい果肉の質が、アップルパイなどの製菓やジャムの加工に向いているということで復活してきているようです。
料理好きな友人が数年前「アップルパイを作るには紅玉が一番なの」とあっちこっちの店を探し回っていたことがありましたが、最近は販売している店も増えてきているのでしょうか。
なお、ジャムのゼリー状のとろみのもとは、リンゴなどフルーツに含まれるペクチンの働きによるものだそうです。
おまけ

出典 ・参照させていただいたサイト:
旬の食材百科 リンゴ
BOTANIST
一般社団法人 青森県りんご対策協議会