生姜の栄養素と効能。生と加熱・乾燥では効能が少し違ってくる!

生姜-ホットドリンク 野菜

独特な香りと辛みがある生姜は、エネルギー源というよりは薬味や調味料として親しまれている香味野菜。

昔から漢方薬の成分としても使われ、重宝されてきました。
生姜の効能として「体を温める」というのは、ご存知の方も多いでしょうが、含まれているどういう成分にどのような効能があるのかまでは、あまり知られてはいないような気がします。
今回は、生姜の成分について、また保存の方法などをまとめてみました。

生姜の出荷時期による違い

新生姜-収穫

生姜は熱帯原産の多年草。国内消費量の半分は輸入されたものですが、国内でも盛んに栽培されています。
主な産地は、高知県・熊本県・宮崎県・鹿児島県・和歌山県・千葉県・静岡県などです。

国内で流通している生姜は、栽培や収穫方法により4種類に分けられ、風味・食感・食材としての使い方が変わります。

矢生姜(棒生姜・筆生姜)

15cmほどに成長した時に太陽に当て茎元が赤くなったところで収穫します。
根茎は細く、甘酢漬けにして「はじかみ」として焼き魚の彩りなどに使われています。

葉生姜

根茎が小指程度まで成長した段階で葉がついたまま収穫したもの。
春から夏に収穫されすぐに出荷されます。谷中生姜が有名ですが、生のまま味噌をつけて食べたり、魚の付け合わせや甘酢漬けになります。

新生姜

6~8月末頃に、根茎部分を収穫しすぐに出荷されたもの。
表面は白っぽく、付け根に赤みがあり、繊維質が軟らかく水分が多いので、辛みや風味がマイルドです。
生で食べると、シャキシャキとみずみずしさを味わえます。
殺菌効果もあるのでお寿司屋さんのガリや甘酢漬けになっています。

根生姜(ヒネショウガ)

茶色くて固い、一般的に生姜として売られているもの。
収穫後、一定期間貯蔵した後に一年中出荷されていますが、香りや辛み成分が高まる11月頃が旬とされています。

前年収穫して貯蔵していたものをヒネショウガといい、種生姜とも呼ばれています。
固くなっているので生食には不向きですが、細かく千切りにしたり、煮物や煮付けなどの煮物料理にすると、繊維質が軟らかくなり、美味しく食べられます。

生姜のカロリーや含まれる栄養素

根生姜-スライス

生姜(皮なし・生)100gあたり28kcal。
主な栄養素は、タンパク質0.9g、脂質0.3g、炭水化物6.6g、食物繊維2.1g、ビタミンも少量ですがビタミンC・ビタミンB群、ミネラル類のカリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・マンガン・ビオチンなどを含んでいます。
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

食物繊維

小腸での糖分や脂肪が血液中に吸収されるのを抑える働きで、急激な血糖値の上昇やカロリーの摂りすぎを防いでくれるので、肥満予防につながります。

カリウム

体内の余分なナトリウム(塩分)を体外に排出し調整するミネラルです。筋肉の収縮にも関わっています。

カルシウム・マグネシウム・リン・マンガン

骨や歯を形成・丈夫にすることに関わり、神経を強くします。他に血圧維持や筋肉の収縮などの、体内での様々な代謝もサポートしています。

辛み成分のジンゲロールとショウガオールの違い

昔からある生姜ですが、近年注目されているのは、その体温め効果
「低体温」や「冷え」は様々な病気の引き金になると考えられていて、それに悩んでいる現代人が増えているのが注目の理由です。
体温め効果があるとされるのは、辛み成分のジンゲロールショウガオールですが、この2つの効能には違いがあります。

握り-ガリ

ジンゲロール

生の生姜に多く含まれている、辛み成分・ジンゲロール。
ジンゲロールは、血管を拡張させて血のめぐりを良くし、体の深部の熱を手足などの末端に広げる働きで、体の表面や手足を素早く温めてくれます。
ですが、深部は熱が奪われるので、体温を下げる解熱作用があり、生の生姜は低体温対策としては逆効果です。

強い殺菌作用があり、お寿司と一緒にガリや擦ったものを食べると食中毒の予防になり、ウィルスや菌にも効果を発揮するため、風邪予防には良いとされています。
また、胃腸の調子を整えたり免疫力を高める、抗酸化・抗炎症効果もあり、リウマチや神経痛等の痛み・肩こりや腰痛にも効果が期待できます。
ジンゲロールは、酸素に弱く、酸素に触れた状態が長くなるほど少なくなってしまいます。
例えば冷奴にのせて食べる場合など、食べる直前に擦りおろすようにすると、効果的に摂取することができます。

ショウガオール

生の生姜を加熱すると、ジンゲロールは「ショウガオール」と微量ですが「ジンゲロン」に変化します。
乾燥させても、ショウガオールは増えていきます。

ショウガオールは、胃腸を内側から刺激して血流を高め、体の深部の熱を作りだすことで体を芯から温めます
ですので、毎日少しずつ摂取することで、低体温や冷え性を緩和することに役立ちます。
逆に体調が悪く高熱の時は、加熱した生姜を食べるとますます熱を作り出すことになるので注意しましょう。

また、ショウガオールは痛みや炎症の元になるプロスタグランジンというホルモンの働きを抑える働きがあることも判明しています。

ジンゲロン

加熱されて分解した際に生成されるもう一つの辛み成分で、脂肪燃焼促進や発汗作用、内臓機能を活発化させ、免疫力を高めるなどの働きがあります。

爽やかな香りの成分

生姜の皮のすぐ下にはジンギロベールシトラールといった爽やかな香りの元となる成分が含まれていて、これが魚や肉の生臭さを緩和してくれます。
また、精神を安定させ集中力を高める効果、食欲増進や疲労回復などにも効果を発揮します。

酵素のプロテアーゼ・ジアスターゼ

調理の際に、食肉を柔らかくして旨みを増すタンパク質分解酵素のプロテアーゼや、ジアスターゼという消化酵素を含まれており、胃腸の働きを助け、胃もたれや胃酸の過剰分泌などを防止してくれます。
生姜焼きなど、この作用を利用した料理なんですね。

生姜焼き-トマト

簡単にまとめると、殺菌効果を期待する場合は「低体温・冷え性対策には「加熱して食べると、生姜効果を得やすいということですね。

生姜の保存方法

生姜は上記のように様々な機能を持つ香味野菜ですが、乾燥しやすく用途によって保存方法も少し違ってきます。
新生姜と根生姜に分けて、保存方法を紹介します。

新生姜の保存方法

冷蔵保存

水分が豊富なのが特徴の新生姜なので、キッチンペーパーなどで包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ。
水分が飛ばないように注意しながら保存すると10日ほどは保つことができます。

冷凍保存

新生姜でも冷凍保本は可能です。
1. 水洗いして、使いやすくカット(スライスや千切り)し、使う量づつ小分けにしてバットなどに乗せて一度凍らせます。
2. 小分けごとラップをしてフリーザーパックなどに入れ冷凍保存します。
1ヶ月ぐらいは保存できますが、鮮度や風味が損なわれやすいので、できるだけ早めに使い切るようにしましょう。

根生姜の保存方法

常温保存

根生姜といっても乾燥生姜にしない場合は、乾燥を防ぐことが大事です。
洗わないで、13~15℃の涼しい場所で保存可能ですが、3~4日で使い切るようにしましょう。

冷蔵保存

1. 生姜を水洗いし、清潔な保存容器に入れ水を注ぎます。
2. 生姜が大きくて容器に入らない場合は、カットしてから入れても大丈夫です。使う時はカットした部分を薄く切り落としてください。
3. 蓋を閉じて冷蔵庫の冷蔵室で保存し、2~3日とこまめに水を入れ替えると、1ヶ月ほど保存することができます。

冷凍保存

水洗いして、使いやすくカット(スライス・千切り)または擦りおろし、使いやすい量に小分けしてラップで包み、フリーザーパックなどに入れ冷凍保存。
ただし、擦りおろしてから冷凍すると、辛み成分は減ってしまうことは考えておきましょう。

新生姜も同じですが、冷凍した生姜を使用する場合は、解凍しないでそのまま使います。

生姜-魚の煮付け

乾燥生姜の作り方

乾燥生姜を作っておくと、日持ちもしますしパパっと使えて便利ですよね。
1. まず皮がついた状態で水洗いし、しっかりキッチンペーパーなどでよく水分を拭き取ります。
2. 1~2cm程度の薄切りにします。
3. ザルに並べ、または専用のネットに入れて、風通しの良い場所で天日干し、1~3日ほど乾燥させます。

オーブンでも作れます。110℃に予熱したオーブンで60~70分乾燥焼きします。水分が抜けてカリッとすればできあがりです。
粗熱を取って冷まし、密閉容器に入れて保存します。

スライスの乾燥生姜は、常温で3か月ほど保存可能です。これをミキサーなどで粉末にしても使えます。
乾燥生姜の作り方はそんなに難しくはありませんが、しっかり乾燥させないとカビが生えてしまうこともありますので、そこは注意が必要です。乾燥生姜を作ったら、食品用乾燥剤も一緒に密閉容器に入れて保存するとよいです。

一度にたくさん食べるのはやめましょう!

生姜には体に良い成分がありますが、一度にたくさん食べると胃腸が過剰に刺激され、逆に胸焼けや下痢などを引き起こしたり肌荒れの原因になったりします。
1日5~10gが生姜の適量と一般的にいわれています。スライスなら6枚、すりおろしたものは小さじ一杯程度だそうです。
体の温め効果などに期待して生姜を食べるのであれば、毎日少しずつ摂取するようにして、一度にたくさん食べるのはやめましょう。

チューブの生姜でも効果はあるの?

よく常備されているものに、チューブの生姜もありますね。すぐに使えてとても便利ですが「効果はあるんだろうか?」と疑問に思っている人もおられるかもしれません。
たしかにチューブの生姜は、辛み成分のジンゲロールなどの成分量が少なくなっていることはわかっていますが、全然なくなっているわけではありません。
上記したように、健康のために食べるのであれば、毎日少しずつ食べることがポイントなので、常備していると手軽に生姜を摂取できるということになりますから、上手く活用すれば良いのではないでしょうか。

まとめ

生姜は食材や薬味・調味料として、普段の食生活に欠かせない存在であるだけでなく、冷え性緩和や殺菌作用、抗酸化・抗炎症効果、便秘や痛みの緩和、新陳代謝の促進など、様々な効能ががあることが分かりました。

ただし、生と加熱・乾燥させたものでは少し効能が変わってくるので、ご自分の体の状態に合わせて生姜を食べるようにしましょう。

紅生姜-ラーメン

出典・参照させていただいたサイト:
神戸徳洲会病院 生姜パワーで寒い冬を乗り切ろう
トクバイニュース 生姜
Macaroni 意外と知らない!生姜に期待できる5つの効能
武州養蜂園 生姜

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