アーモンドは、お菓子やお酒のつまみにと、ナッツの中でも一番よく食べられているのではないでしょうか。
アーモンドミルクも市販されていて、手軽に栄養が摂取できると好評のようです。
近年、アーモンドの健康・美容効果に注目が集まっていますが、どういう栄養素を含んでいるからでしょうか。
アーモンドには「生」と「ロースト」されたものがあり、生は加熱されていない分、栄養価が少し高いとか、アーモンド本来の甘さが感じられるとか、アーモンドミルクも手作りできるなどで人気が出てきているようですが、手に入れるのはまだまだ簡単ではないところがあります。
ここでは比較的購入しやすい、カリッとした歯応えで香ばしいローストされたアーモンドについて、含まれる栄養素やその効能について紹介いたします。
アーモンドとは
アーモンドの木は、バラ科サクラ属で、原産はアジア南西部とされており、紀元前から食べられていたようです。
日本に渡来したのは江戸時代。南蛮船でポルトガル人が持ち込んだのが最初といわれていますが、普通に食べられるようになったのは戦後になってから。
現在は世界の約7割がアメリカ・カリフォルニアで栽培されていて、日本にも輸入されています。
サクラ属の木ということで、2~3月に桜や桃の花に似た、この下で花見でもしたくなるような可憐な花を次々に咲かせます。
夏に実がなり、秋の初め頃果肉が成熟してはじけ、中の殻が見えてくると収穫されます。
桜や桃は果肉部分を食用にしますが、アーモンドは「仁」と呼ばれる種部分。収穫されると回りの殻を取り低温倉庫に保管されていて、オーダーに応じて出荷されています。
アーモンドに含まれる栄養素と効能
アーモンド(いり)100gあたり608kcal(10粒で約61kcal)。
主に含まれている栄養素は、タンパク質20.3g、炭水化物20.7g、脂質54.1g、ビタミンB群のビタミンB2・ナイアシン・葉酸・パントテン酸、ミネラルであるカリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・鉄・銅・亜鉛などです。
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
逆に含まれないものとして、コレステロール・グルテンがあり、体質などで避けたい人も安心して食べられるナッツです。
豆腐より多い、植物性タンパク質
タンパク質はエネルギー源であるだけでなく、筋肉や臓器・肌・髪・爪・などヒトの体を作り構成している重要な栄養素。
アーモンドには良質な植物性タンパク質が豊富です。
腸内環境を整え便秘解消に食物繊維
食物繊維はナッツ類全般に含まれていますが、アーモンドは低糖質で、炭水化物の約半分が食物繊維となり、ナッツ類の中でも多く含まれています。
食物繊維には水溶性と不溶性があり、アーモンドに多いのは不溶性食物繊維。
保水性が高いので胃や腸で水分を吸収して膨らみ、腸を刺激し便の量を増やし便通を促します。そして体内の有害物質や余分な糖も便と一緒に体外に排出させます。
食物繊維は、善玉菌を育てて腸内環境を整える働きもあります。
腸内環境が良くなると、免疫力がアップし、ストレスや風邪・インフルエンザなどの感染症に負けない健康な体作りにつながります。
悪玉コレステロールを上昇させないオレイン酸
アーモンドの約54%が脂肪なので「多い」と思われる人もおられるかもですが、そのほとんどが不飽和脂肪酸。そしてそのうちの65%以上が一価不飽和脂肪酸のオレイン酸です。
オレイン酸というとオリーブオイルが有名ですが、アーモンドオイルというのもありますね。
食用油としては価値が高いのであまり見かけませんが、高級スキンケア製品に使われていたりします。
オレイン酸には、善玉コレステロールを維持しながら悪玉コレステロールは上昇させないという効能があります。
それに加え、アーモンドには植物脂質のフィトステロールが含まれており、これもコレステロールの吸収を阻害し、悪玉コレステロールを低下させる働きがあります。
不飽和脂肪酸のリノール酸も含まれていて、これにも血液中のコレステロールや血圧を下げる効果があるとされています。
悪玉コレステロールが多いと、血管の内壁を傷つけ、動脈硬化に起因する心筋梗塞や脳梗塞などを誘引するといわれています。
抗酸化作用のあるビタミンEが豊富!
アーモンドの栄養に注目が集まった理由の一つが、ビタミンEの豊富さにあります。
ビタミンEを多く含むとされる全粒の穀物やナッツ類の中で、なんといっても一番の含有量です。
ビタミンEは脂溶性ビタミンで、抗酸化作用があります。それにより体内の脂質の酸化を防いで体を守る働きがあります。
その働きから、動脈硬化・脳卒中などの生活習慣病の予防に期待が持たれています。
また、血管を丈夫にし血行を良くする働きもあるので、血行障害から起こる肩こりや頭痛・冷え性など様々な症状を改善したり、酸化からの肌の衰えを防ぐ効果で、シミ・シワなどの老化対策にも期待でき、アンチエイジングにも役立つビタミンともいわれています。
皮膚や粘膜の健康を維持する、ビタミンB2・ナイアシン・葉酸
ビタミンB群のビタミンB2・ナイアシン・葉酸は、水溶性ビタミンです。
ビタミンB2・ナイアシンは、摂取した糖質、脂質、たんぱく質のエネルギー代謝に関与する補酵素で、他にも皮膚や髪・爪・粘膜の健康維持を助ける働きをしています。
ビタミンB2が足りないと、貧血や眼精疲労・倦怠感などの原因につながってしまうため、積極的に摂りたい栄養素です。
葉酸は、タンパク質や細胞をつくる時に必要なDNAなどの核酸を合成するという重要な役割があります。
ビタミンB12と協力して血液をつくる働きがあるので、貧血予防や心筋梗塞などの循環器疾患のリスクを減らすことにも関わっています。
高血圧対策・むくみ解消にカリウム
カリウムにはナトリウム(塩分)とバランスをとりながら、細胞を正常に保ち血圧を調整し、体内を良い状態にする働きがあり、摂りすぎた塩分を排出し血圧を下げることに役立ちます。
むくみにも様々な原因がありますが、その一つが塩分の摂りすぎです。
塩分濃度が高くなると、それを薄めようと体は水分を溜め込みますが、カリウムはその体内の余分な水分を排出するように働くため、むくみ解消にも一役買ってくれます。
カルシウム・マグネシウム・リン
カルシウムは体内に最も多く存在するミネラルで、マグネシウムやリンと結合して骨や歯を形成します。
アーモンドには、同じ分量で見た場合、牛乳の約2倍のカルシウムが含まれています。
他にも、カルシウムには神経を鎮める作用、マグネシウムには酵素の働きを活性化させる作用、リンは体内の糖のエネルギー代謝を助ける働きに関与しています。
鉄・銅
鉄分は血液を通して全身に酸素を送る大切な役割のヘモグロビンを構成しています。
アーモンドには、鉄がナッツ類の中で最も含まれています。
銅には、ヘモグロビンを作るために鉄を必要な場所に運ぶ役割があり、このため鉄が十分にあっても銅がなければ、赤血球はうまくつくれなくなり貧血になってしまうおそれがあります。
亜鉛
亜鉛は新陳代謝に必要な反応に関わる多種類の酵素をつくる成分となり、タンパク質の合成や遺伝子情報を伝えるDNAの転写にも関わっている栄養素。
味覚を正常に保ったり、皮膚や粘膜の健康維持を助けることに働きます。
1日の適量は20~25粒
アーモンドには肥満のリスク要因である飽和脂肪酸はほとんどなく、良質な脂質ではありますが、全体の54%ほどが脂質と高カロリーなんですね。
腸内環境を整え肥満予防や便秘解消などにも役立つ食物繊維が豊富な食材ですが、やはり食べすぎると肥満の原因になってしまいます。
また、抗酸化作用のあるビタミンEですが、脂溶性ビタミンのため体外に排出されにくく、摂りすぎると体内に蓄積され、肝臓などに負担をかけてしまう可能性があります。
体に良い不飽和脂肪酸のオレイン酸やリノール酸も、消化吸収まで時間がかかる栄養素なので、これも摂りすぎると体に負担をかけてしまいます。
せっかくの体に良いはずのアーモンドの栄養で、体に悪い影響が出ては本末転倒になるので、くれぐれも食べ過ぎないように注意しましょう。
1日の適量は、20粒~25粒ほどが推奨されています。
アーモンドの栄養を効率よく摂る食べ方は
健康維持や美容のためにアーモンドを食べるのなら、できるだけ栄養価を活かす効率的な食べ方をしたいですね。いくつかポイントを紹介します。
小腹が空いた時などに、できれば素焼きをそのまま食べる
「20粒では足りない」と思われるかもしれませんが、アーモンドは噛み応えがあり、咀嚼すると分泌される神経ヒスタミンが満腹中枢を刺激するので、少量でもけっこう満腹感を感じることができます。
甘いお菓子を毎日おやつで食べていた人は、できればそれを素焼きアーモンドに置き換える日を増やしてみたらいかがでしょう。
ミックスナッツで食べる
アーモンドには豊富な栄養が含まれていますが、足りない栄養素もあります。
例えば、アーモンドのタンパク質は良質ではありますが、アミノ酸スコアは100ではありません。そこに100であるカシューナッツやビスタチオを加えたり、オメガ3系脂肪酸を多く含むクルミなどを一緒に食べると、栄養のバランスがよくなります。
その場合、アーモンド以外のナッツ類もカロリーが高いので、全体的に食べすぎないようにしましょう。
アーモンドをサラダや和物に
すでに朝食などでアーモンドやドライフルーツを入れた無糖ヨーグルトを食べている人も多いかもしれません。
同じように、食事に砕いたアーモンドをサラダにトッピングしたりすると、アーモンドに含まれていないビタミンCなどの栄養をプラスすることができます。
さっぱりしたサラダに、アーモンドの香ばしい風味と砕いたカリカリ食感が加わり、一味違う味わいに。
また、小松菜やほうれん草との和物にしたり、カルシウムたっぷりなしらすや小魚と一緒に料理にするのも良いですね。
夜寝る前に食べるのは避ける
食べるタイミングは、エネルギー代謝が落ちる寝る前は避けて、活発に動く朝〜昼、または血糖値の上昇を抑えるという働きもありますので、食事中(糖質を含んでいる食べ物がある)に一緒に食べると効率的でしょう。
まとめ
アーモンドは低糖質・グルテンフリーなうえに、ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富!
カリッとした食感も香ばしく、おやつの時間などにも手軽に食べられるのがいいですね。
毎日20粒を目安に、美肌効果もありアンチエイジングにも役立つアーモンド生活を始めてみるのも良いかもしれません。
出典・参照させていただいたサイト:
日本ナッツ協会 アーモンド
BLUE DIAMOVD アーモンドの栄養素
Arimame ブログ アーモンドの9つの効果で美しく健康に!
小島屋 アーモンドの効果で健康に!
びんちょうたんコム アーモンドの健康効果