オリーブオイルの栄養価と効能。バージンオリーブオイルとピュアオリーブオイルの違いは?

オリーブオイル-葉 オイル

紀元前の古代より地中海沿岸地方を中心に、食用や民間療法・美容にも使われ、人々の生活とともに長い歴史を歩んできたオリーブ。

生産量が多いのは、スペイン・イタリア・ギリシャですが、今では世界各国で栽培されていますね。

そのオリーブの果実を絞って濾過しただけのものがオリーブオイル
植物油は菜種油やごま油・ひまわり油など種子から搾取したものが多いですが、オリーブオイルは果実から。
オイルであり、そして果汁でもあるのです。

1950年代から研究者の間で「ギリシャ・クレタ島の平均寿命が非常に長く、心臓病による死亡率が世界一低い」ことが注目されてきました。
その後の研究実験で、クレタ島の郷土料理は油脂としてオリーブオイルを使うことが多いので、それが理由の一つではないかということが報告されたのだそうです。

近年、日本でも健康維持や美容に役立つオイルとして盛んにメディアにも取り上げられ「オリーブオイルって、なんだか身体に良いらしい」というイメージをお持ちの方も多いと思います。
ですが、どういう成分があってどのような効果が期待できるかまではあまりよく知らずに、もったいない摂取の仕方をしている人もたまに見かけます。

にこぴんも毎日のようにオリーブオイルを摂っているわりに、よく解っていないことが多くて、調べてみて初めて知った!という情報もありますので、まとめてみたいと思います。

日本で売られているオリーブオイルは、大きく分けて2種類

オリーブオイル-パン-人参

スーパーや小売店などのオイルコーナーを覗くと、オリーブオイルはだいたい緑色のラベルのバージンオリーブオイルと黄色いラベルのピュアオリーブオイルの2種類が食用として売られていますね。
「緑色のラベルの方が値段も高いから品質が良いのだろう。黄色いのはちょっと質が低いから炒め用かな」と考える人も多いと思いますし間違ってはいないのですが、そんなに単純でもありません。

バージンオリーブオイルは、オリーブの果実を絞って濾過しただけのオイル。オリーブの実の天然成分や香りを味わえるオイルです。
バージンオリーブオイルは、香り・味・酸度など品質の良い順にエクストラバージンオリーブオイル、バージンオリーブオイル、オーディナリーバージンオリーブオイル、ランパンテバージンオリーブオイルに分けられます。
エクストラバージンオリーブオイルは、厳しい品質検査をクリアし認められた、オリーブオイルの最高峰という位置づけになっています。

一方ピュアオリーブオイルは、その基準をクリア出来なかったオイルを精製し、雑味を取り除き、調理用オイルに加工したもの、あるいはそういうオイルをブレンド加工したものです。

オリーブオイルはオイルですから99%ぐらいが脂質です。そして残りの1~2%ぐらいの微量成分が香りや味・色などを作り出しています。品種や栽培場所・収穫時期により香りや味が違うのは、この1~2%に含まれる微量成分の種類や割合が違うからです。
その微量成分の中にポリフェノールやトコフェロール(ビタミンEを含む)・ステロール・スクアレンなどがあり、健康にプラスの効果をもたらすと言われています。

ピュアオリーブオイルは雑味を取り除く精製加工の過程で、香りや味と共にこの微量成分も取り除かれ、ほとんど無くなってしまっています。

ですので今回語る、オリーブオイルの栄養価と効能は「バージンオリーブオイル」に限っての話になります。

脂肪酸の70%以上がオレイン酸

オリーブオイル-カプレーゼ

脂質(油)は、人間が生きて活動していくうえで必要なエネルギーを作りだす三大栄養素のひとつで、皮膚や細胞膜の原料にもなります。

現代の日本の食生活では脂質は摂り過ぎの傾向で、太ってしまったり、身体にも悪影響を及ぼすこともあり、脂質は悪者のイメージが強くなってしまってますね。
それでダイエットなどのために脂抜きの食生活を続けている人もおられるかと思いますが、あまり抜き過ぎると、肌や髪の潤いがなくなるなど美容によくないばかりか、老化に拍車をかけてしまいます。
そこで「どうせ摂らなきゃいけないのなら、健康に良さそうな脂質を摂りましょう」ということで、オリーブオイルが脚光を浴び出したわけです。

脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。不飽和脂肪酸には、コレステロールを減らすなど健康維持に役立つ働きがあるのですが、DHA・EPAなどで有名なオメガ3系やオメガ6系(多価不飽和脂肪酸)などには、酸化しやすいというデメリットもあります。
酸化した脂質は、もともと身体によい成分が入っていても、生活習慣病などの原因になりやすいので、取り扱いにかなり注意が必要です。

しかし、同じ不飽和脂肪酸の一価不飽和脂肪酸(オメガ9系)のオレイン酸は結合が安定しており、酸化しにくい脂質だと言われています。
オリーブオイルには、その一価不飽和脂肪酸のオレイン酸が、70%以上含まれているのだそうです。

オレイン酸効果1 悪玉コレステロールを下げる

オレイン酸には、血中のコレステロールを正常に保つ働きがあると言われています。善玉コレステロールを減らさず、悪玉コレステロールを減らし、動脈硬化や心臓病・高血圧予防に効果が期待できます。

オレイン酸効果2 ダイエット

脂質なのに脂肪代謝を活性化させ中性脂肪をつきにくくするという働きもあり、ダイエットに効果的です。
摂取した糖分はインスリンにより脂肪に変換されますが、インスリンを抑える(血糖値の上昇を穏やかにする)働きもあり、痩せやすい体質へと導いてくれるそうです。

オレイン酸効果3 便秘改善

オレイン酸は小腸で吸収されにくく大腸まで届くので、腸を刺激して排便を促します。また、水分と結びやすい作用があるので、便を軟らかくし便秘改善に期待がもてます。

オレイン酸効果4 美肌作り

皮膚を柔らかくする働きもあるので、肌のゴワツキの改善や乾燥による小ジワ対策にも一役買ってくれます。

他にも脂質として、人間の体内では作ることができない必須脂肪酸のリノール酸(オメガ6)や、抗酸化作用がありビタミンAを安定させ、肌のターンオーバーを正常に保ちシワ・ニキビ予防に役立つパルミチン酸なども含まれています。

オリーブオイル-スープ

抗酸化作用のあるポリフェノール

オリーブオイルの苦味や渋味・辛味の元になっているポリフェノールには、活性酸素から体を守る抗酸化作用があります。
体の細胞の老化を抑え、生活習慣病やお肌のシミ・シワ予防など、アンチエイジングに役立つ成分です。

オリーブオイル独自のポリフェノール

オレウロペインオレオカンタールというオリーブオイル独自の成分もあります。

オレウロペインは、抗酸化力が強く、血中コレステロールの酸化を防ぎ、コラーゲンの生成を助けるなど様々な働きがあります。動脈硬化などを予防する効果や、抗菌やエイジングケアなどの効果もあると言われています。

オレオカンタールは、かすかにピリリと刺激のある味の原因物質で、抗炎症・抗酸化作用があり、これを長期間に渡って少量づつ摂取する料理を食べることが、地中海沿岸地方の人々に心臓病の発生が少ない理由なのではないか・・と示唆されているのだそうです。

スクワラン

皮脂膜を作るのに欠かせない成分です。肌のバリア機能を高め、肌細胞のターンオーバーを正常にし、メラニン色素の排出がきちんと行われるよう働くため、シミやくすみ予防に役立ちます。

トコフェロール(ビタミンEを含む)

体内の脂質の酸化を防ぐ抗酸化作用の働きで、体内の細胞膜の老化を防ぎ、生活習慣病やアンチエイジングに期待がもてます。

クロロフィル(葉緑素)

緑色を構成する成分で、抗酸化作用があり、体内の不要な物質を排出してくれる働きがあります。
オリーブのまだ若い緑色の果実を絞って作られるオリーブオイルに、多く含まれています。

オリーブ-果実

カロテノイド

トマトのリコピンなどにも含まれる黄や赤色の色素で、こちらにも強い抗酸化作用があります。
オリーブの果実が赤や黒色に熟したものを絞って作られるオリーブオイルに、多く含まれています。

β-シトステロール

植物性ステロール類で、腸でのコレステロールの吸収を抑える働きや、血中コレステロールを減少させる作用があります。

他にも、β-カロテンビタミンDビタミンKなども含まれています。

ピュアオリーブオイルの良いところ

先述したとおり、ピュアオリーブオイルは精製し脂質だけになっているので、ポリフェノールなどの効果は期待できませんが、脂質は同じ量残っていますので、オレイン酸効果は得ることができるでしょう。

味や香りがほとんど残っていないので、加熱料理やドレッシングを作る時でも、他の食材や調味料の味や香りを邪魔しないという利点があります。

にこぴんの知り合いにも「オリーブオイルが体に良いという話は聞いているので使いたいのだけど、味がどうも好きじゃない」という人がいますが、そういう人は炒め物などの料理にピュアオリーブオイルを使うのはどうでしょうか。
好みや使い方次第で、美味しく食べながら栄養を摂取することはできますね。
ただし、健康や美容のために1日小さじ1杯ぐらいのオリーブオイルを摂るのであれば、栄養効果を考えるとバージンオリーブオイルの方がいいでしょう。

オリーブオイル-ソテー

オリーブオイルのカロリー

オリーブオイルのカロリーは大さじ1杯あたり約111kcalで、他の油と同じ。
低カロリーというわけではないんですね。

いくら美容や健康によく体に脂肪が溜まりにくいからといっても、むやみに過剰摂取してしまうと、やはりカロリーオーバーになり肥満につながります。

適量を、毎日少しずつ摂ることを心がけましょう。

出典・参照させていただいたサイト:
おしゃべりランチ
ピントル-オリーブオイルの健康効果
食べ物の情報~マメ知識
日本オリーブ株式会社

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