米の栄養と効能。白米がいいか玄米がいいか、それが問題だ

米-朝食 穀物

お米は、日本の主食として食べられてきた、誰でも知っているいわゆる「ごはん」ですね。

世界には米の種類として、ジャポニカ米・インディカ米・ジャバニカ米がありますが、季節のはっきりした日本では、楕円の形をしたジャポニカ米の栽培があっていました。
デンプンの割合が多いほど日本人好みの粘りがあるそうで、そういう食感からもジャポニカ米が適していたようです。

それを「おいしくより食べられるにはどうしたらいいか」ということで、長い間、米の栽培や脱穀の方法などが研究努力されてきたわけですが、近年になって健康ブームということもあり、白米を玄米に変えて食べる人が増えてきていますね。
白米と玄米、どちらを食べた方が良いのでしょうか? その疑問解決のヒントにもなれればと、今回、米の歴史から探っていくことにします。

日本の米の歴史

稲の穂

日本の稲作は、約3000年前の縄文時代に中国から朝鮮半島南部を経て、伝わったといわれています。
福岡県の板付遺跡や佐賀県の菜畑遺跡などを発掘調査すると水田の跡や用水路、石包丁・石斧といった農具などが発見されいて、米は種子だけでなく、稲作技術を持った集団が大陸から日本に渡来し、稲作を行っていた考えられているようです。

弥生時代になると、その稲作技術が急速に日本列島、とくに東に伝播していきました。
その頃は揉みが付いたまま焼いて食べたり、脱穀も臼に入れて杵でついて玄米の表皮に傷を付けて、一晩水に浸けて、それを炊いて食べていたようです。
米は保存ができますし、それまで主食としていたトチ・ナラ・カシのようなドングリ類と比べても、栄養がよく体格も良くなりました。
そして、米(田)を多く持つもの者が富と権力も多く持つということになり、地域集団から中央集権国家へと少しずつ移行し、貴族と庶民という格差も生まれていきます。米は税として収めるものになっていきました。

奈良・平安時代には、足で踏みながら脱穀し玄米を精米する精米機が日本に入ってきて、白米(精米)を食べるようになりましたが、それは上流階級の貴族のみでした。とはいっても、今のようなふっくらしたごはんではなく。「強米」と呼ばれるちょっと硬めのごはんでしたが…。
庶民はというと、基本的にアワやキビといった雑穀を主食としていました。それも少しでも腹持ちをよくするために、雑穀をお粥のようにして食べていたといわれています。天候に大きく左右され、生産量も限られているうえに、米は税として収めるものになっていきますから、庶民の主食に米が出ることは滅多になかったということですね。

鎌倉時代になると、牛馬耕や金属製の農具、水車などを利用した灌漑(かんがい)施設の整備、肥料が発達したので、生産力がアップしました。早く成長する「早稲(わせ)」と呼ばれる稲の品種も開発され、二毛作ができるようになりました。このため、人手が大量に必要となり、村の共同生活のルールが生まれました。
貴族は平安時代の流れを継いで、白米をおかゆにしたり、釜で炊いたやわらかいご飯の「姫飯(ひめいい)」を食べたりしていました。
武士は質素な生活がモットーだったので、炊くのではなく蒸した玄米(強飯)を主食としていました。
しかし、その米を作る農民は、年貢として納めなければいけなかったため、ほとんどが麦・粟・ヒエなど。時々、それに玄米が混じった粥を食べていたようです。強飯は祭礼などの特別な日のご馳走でした。

江戸時代になると政治が安定し生産量が増しました。とくに江戸中期になると、米将軍と呼ばれた八代将軍の徳川吉宗が行った「享保の改革」で米の生産量が拡大しました。精米技術も足踏み式から水車を動力にした大型化に成功。
そのお陰で、武士階級だけでなく庶民も、白米を口にできるようにはなりました。
江戸などの都市部では、火事対策などから一日分のご飯を一度にまとめて炊くようになります。それで庶民のあいだでも、傷みやすい玄米、雑穀米より、保存のきく白米を食べることが一般化していきました。
当時の食生活では、おかずは漬物ぐらいで、たくさんのごはんを食べていたようです。白米を食べるようになって、玄米のヌカに含まれるビタミンB1が摂取できなくなり「江戸患い」などと呼ばれる欠乏症である脚気になる人が増えたそうです。
農村部では、米は年貢で納めなくてはならなかったので、まだ玄米に雑穀などを混ぜて食べるのが主流のままでした。

年貢制度がなくなり、近代国家として農作物の生産力を上げるための本格的な品種改良が始まったのは、明治時代になってからです。
このように、米との付き合いは縄文時代から始まっていて長いのですが、誰もが普通にふっくらとしたごはんを食べることができるようになったのは、明治時代以降ということになります。

お米の種類

白米-玄米

米といっても現在一般的に売られているものには、大体6種類がありますね。どのように違うのでしょう。

玄米

稲の実からもみ殻だけを外しただけのもので、稲の種です。米ヌカや胚芽がそのまま残っているので栄養分が豊富です。
米ヌカ覆われたままですので水分が吸収しにくく、米ヌカに傷をつけるためにもみ洗いをしたり、前夜から水に浸けていたりしなくてはならず、炊くのに手間がかかります。
上手く炊かないと、白米より固くボソボソとした食感になり、よく噛んで食べないと、消化不良を起こしたりします。

胚芽米

米を精米する時に胚芽の部分が8割以上残るようにしたものです。胚芽は芽を出す部分なので、それを残すことにより白米より栄養があり、玄米より食べやすい食感になります。

発芽玄米

玄米をわずかに育てて発芽させたものです。発芽させることにり、眠っていた酵素が活性化され玄米よりも栄養価が高くなります。とくに神経伝達の一種で抗ストレス作用があるとされるGABAが増えます。
ヌカ部分も柔らかくなるので、玄米よりも食べやすくなります。

白米

別名「うるち米」とも呼ばれています。稲の実からもみ殻・米ヌカ・胚芽を取り除き、胚乳部分のみを残したものです。
メインの栄養分は糖質(デンプン)ですが、タンパク質・カルシウム・鉄分・ビタミン・食物繊維など、さまざまな栄養素も含んでいます。玄米よりもかなり少ないですが。

雑穀米

白米に、玄米・アワ・キビ・もち麦・キヌア・アマランサスなどを混ぜ込んだもので、白米に少ないミネラル・ビタミン類・食物繊維などの栄養素をプラスできます。

麦ごはん

米に大麦を混ぜたもの。大麦に含まれるタンパク質・ミネラル・ビタミン類・食物繊維などをプラスできます。
大麦は白米のように粘り気がなく独特な香りがあり、「うるち性」の押し麦にはプチっとした食感があり、好みが分かれるごはんです。
大麦の中でも「もち性」のもち麦は、食物繊維が豊富に含まれていることで注目されています。

米の栄養価

ライスカレー

カロリーは、お茶碗1杯分(約130g)で、白米:218kcal、玄米:215kcal、胚芽米:217kcal、麦ごはん:217kcal。
カロリー的には、どの米もあまり差がありません。
参考:TIGER お米の栄養がすぐわかる

しかし栄養価を見ると違いがあります。

一般的にいわれているように、やはり米ヌカや胚芽がそのまま残っていて、発芽する種である玄米の栄養価は高いです。
エネルギー源となる三大栄養素の炭水化物(糖質+食物繊維)タンパク質脂質をはじめ、ビタミン類もビタミンEビタミンB群のB1・B2・B6・ナイアシン・葉酸・パントテン酸・ビオチン、ミネラル類もカリウム・ナトリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・鉄・銅・マンガン・セレン・モリブデン、そしてGABAと多くの栄養素を含んでいます。

ただ、管理人は漠然と「白米は、米ヌカや胚芽も取って胚乳部分しか残っていないので、栄養は炭水化物ぐらいしかないのだろうなあ」と思っていましたが、玄米と比べると少ないですが、白米にも玄米と同じような栄養素が含まれているのだそうです。これはかなり大きな勘違いでした。
参考:ヴィーナスの贈り物 白米・玄米ごはんの栄養比較表

確かに平安時代の貴族や江戸時代に白米ばかり食べていたことで、ビタミンB1欠乏症である「脚気」になる人達がいたように、白米に含まれるビタミンB1は玄米の8分の1ぐらいしかありませんが。
含まれる食物繊維の量は白米を1とした場合、胚芽米が2倍、玄米が4倍、麦ごはんは4.8倍ぐらいになるそうです。
また、麦ごはんには、血糖値上昇抑制に効果が期待できる水溶性食物繊維の一種であるβ-グルカンが含まれているそうです。

毎日のご飯を白米から玄米に変更するメリット

玄米-おにぎり

近年の健康ブームの影響で、白米から玄米に変更する人も増えているようです。

玄米の良いところは、食物繊維やビタミン・ミネラルなどが白米より豊富なので、同じ量を食べても摂取できる必要な栄養が増えるということですね。

また、糖の吸収しやすさを示すGI値が白米が82.5に対して玄米は58.7と穏やかなこと、玄米に含まれる「γ-オリザノール」の働きによって、脂肪の多い食事を欲っしなくなることが、琉球大学医学部の研究で発表されていて、さらにデトックス効果のあるフィチン酸」が含まれていることで、ダイエットにも役立つのではと期待されています。

もう一つが、抗酸化作用のあるビタミンE・ビタミンB6・フェルラ酸など、美容にも役立つ成分が含まれていることです。

玄米のデメリット

ただし、デメリットもあります。
周りが皮で覆われていることもあり、食物繊維が多いのはよいのですが、そのため炊くのに手間がかかり、上手に炊かないと固くパサパサであまり美味しくない。おまけによく噛んで食べないと消化不良を起こしてしまうこともあります。
体が弱っていたり、高齢者にはあまりオススメできないところもあります。

玄米は栄養豊富といっても、完全栄養食ではない

玄米は、白米よりも、ビタミン・ミネラル・食物繊維を豊富に含んでおり、人間が健康を保つために必要とされる栄養素をほとんど摂取できますが、含まれない栄養素もあります。
ビタミン豊富といわれていますが、じつはビタミンA・C・D・K、そしてビタミンB12は含まれていません
タンパク質も含まれていますが、玄米だけで必要な量は摂れません。
結局、他の食材と組み合わせて食べないと、全ての栄養は摂取できないことは、白米と変わりはないということになります。

米の種類は自分のライフスタイルに合わせて選ぼう

白米-発芽玄米

上記の日本における米の歴史にあるとおり、縄文時代に稲作が日本に伝来してから、ずっと少しでも多く生産し、効率よく脱穀し、美味しい米になるよう品種改良を続けてきました。米の生産効率と保存性を高くして、生活を、とくに食生活を安定させたかったからです。
しかし、時間がかかりました。今の時代のように、誰でも普通にご飯が食べられるようになったのは、ここ100年あまりのことです。
それまで多くの日本人にとって、美味しいふっくらとした白米は「銀シャリ」と呼ばれるほど、憧れの食べものでした。

食べるのは、身体の維持や健康のためなのですが、もう一つ、美味しいものを食べることによって、心も満足して幸福な気分になるためでもあります。

なので、ご自分がごはんに何を求めるかによって、食べる米も選んでよいと思います。

生産者はいかに美味しい米を作るか、炊飯器メーカーはいかに美味しく炊ける炊飯器を作るか、ずっと研究開発を続けていますね。
発芽玄米の開発もその一つ。
管理人は、白米に4分の1ほどの発芽玄米を加えて炊いたものが、けっこう好きです。白米と同じように炊けるし、発芽玄米を加えると、そんなに高級ではない白米でも甘くなって美味しく感じるからです。

ごはん-卵

出典・参照させていただいたサイト:
農林水産省 お米の魅力
ごはん彩々 お米の歴史
玄米酵素 玄米がよい理由・玄米の健康パワー
玄米食は歴史的に見てどうか? 前田自然農法米ミナミニシキ

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