エンドウ豆ってそんなに食べない気がするけど、豆だから栄養ありそう。サヤエンドウとかスナップエンドウはエンドウ豆から成長したものなんだろうな?
などと考えながら「エンドウ豆」について調べてみると、それ以外にもいろいろな食材が出てくるわ出てくるわ…。
エンドウ豆そのものも、それから発芽して成長する間の収穫時期で、違う形になり名前も変わり、日常的によく食べている豆野菜だということに気づき、かなりびっくりしました(気づいていなかったのは管理人だけ?汗)。
そんなわけで今回は、その七変化するエンドウ豆と、「豆」としての含まれる栄養素の話をメインにまとめてみました。
エンドウ豆とは
エンドウ豆はマメ科の一・二年草。
原産地はエチオピアや中央アジアなどとされていて、古代エジプト・古代ギリシアでも食べていたという記録があり、世界最古の農産物ともいわれています。
あのエジプトの王・ツタンカーメン(紀元前1358~1349年)の王陵発掘の際(1922年)に、金などの豪華な副葬品に混じり、乾燥したエンドウ豆も発見されたそうです。
その豆を土に撒いてみると、なんと発芽しスクスク成長して紫色のサヤの中に緑色の豆が実ったので「ツタンカーメン」という名前をつけたのだそう。
「3000年も前のエンドウ豆が発芽するわけがない!」と眉に唾を付ける人達も多くこれには諸説ありますが、ツタンカーメンの時代に実った豆が発芽したと考えると、悠久の時を超えロマンを感じるので、管理人は信じたいと思います(笑)。
日本には遣唐使により、中国を経て9~10世期(平安時代)頃に伝わったとされ、江戸時代にはサヤエンドウ用が少し栽培されていたようですが、本格的に栽培され出したのは明治時代になってからだそうです。
エンドウ豆一族
エンドウ豆には、サヤの硬さにより硬莢種(こうきょうしゅ)と軟莢種(なんきょうしゅ)があります。
硬莢種
硬莢種はサヤが硬いため、主に完熟させ乾燥した豆を、煎り豆や煮豆にしてスープなどの具材に、また豆ご飯や和え物などの料理に使っています。
日本では、青エンドウ豆は甘く煮たうぐいす豆やうぐいす餡に加工され、赤エンドウ豆はみつ豆や豆大福などの和菓子にもなっています。
軟莢種
軟莢種は硬莢種よりサヤが柔らかいので、それを発芽・成長させ、豆が未熟でサヤが柔らかいうちに収穫してサヤ部分を主に食材とするサヤエンドウ・絹サヤ、それより成長させ豆が完熟する前のまだ柔らかいうちに収穫したのがグリンピース(実エンドウ)です。
ウスイエンドウというのもありますが、これは豆特有の青臭さを少なくし甘みがあり、グリンピースをより食べやすく大粒に品種改良したものだそうです。
エンドウ豆から発芽したばかりで茎や葉が柔らかいスプラウト(新芽野菜)が豆苗。
元々成長したエンドウの先部分の柔らかい茎・蔓・葉を収穫したのが豆苗ですが、日本では1995年頃に水耕栽培で発芽したばかりのスプラウトが商品化され、一年を通して買え、値段もリーズナブルなうえに再収穫もできると人気になり、「豆苗」というとこちらを呼ぶようになりました。
ですので、豆苗はその後も上手に育てると、サヤエンドウ・絹サヤ、そしてグリンピースを収穫することができます。
スナップエンドウ
スナップエンドウは、豆がグリンピースの段階でもサヤが柔らかく、豆とサヤ部分を一緒に食べられるようにアメリカで品種改良されたもので、1970年代後半に日本に導入されました。
サヤエンドウ・グリンピース・豆苗・スナップエンドウは、豆というより緑黄色野菜に分類されています。
エンドウ豆の栄養価
ここでは青エンドウ豆(茹で)の栄養価を紹介します。
青エンドウ豆100gあたりのカロリーは129kcal。
タンパク質や炭水化物(糖質+食物繊維)、ビタミンB群(B12を除く)・ビタミンK・ビタミンE、ミネラル類もカリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・鉄・銅・亜鉛・セレン・モリブデンなどが含まれています。
参考:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
豆類なので、やはりいろいろな栄養素を持っていますね。その中で主な栄養素がこちらです。
植物性タンパク質が豊富
タンパク質は、三大エネルギーの一つであり、ヒトの筋肉や皮膚・臓器など体を構成する重大な要素ですね。
ヒトに必要な必須アミノ酸を万全の状態で持っているわけではありませんが、肉や魚に匹敵するほど豊富に含まれていて、油脂をほとんど含んでいないので、ダイエットにも適している、低脂肪・低カロリーで理想的なタンパク質です。
植物性タンパク質から作るプロティンは大豆を原料にすることが多いですが、大豆や牛乳にアレルギーのある人もいます。その点エンドウ豆はアレルギーリスクが低いと考えられており、最近増えてきているそうです。
必須アミノ酸の中でもリジンが豊富で、リジンには体の組織を回復・成長させる働きがあるので、体やお肌の調子を整え、集中力を高める効果が期待できます。
ただし、必須アミノ酸のメチオニンの含有量は少なめだそうです。ですがエンドウ豆に肉や魚など他の食材を組み合わせることで、容易に補うことはできます。
食物繊維も豊富
豆類の中でも、エンドウ豆に含まれる食物繊維量は多い方です。
食物繊維には水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維がありますが、エンドウ豆に含まれる大部分が不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は、胃や腸で水分を吸収して大きく膨らむことで、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし便通を促進する働きがあります。また老廃物・有害物質を絡め取って排泄させるデトックス効果もあります。
ただし摂りすぎると、逆に増えた便が腸内を圧迫し便秘が悪化することもあるので、食べ過ぎ注意です。
ビタミンB群
とくに多く含まれるビタミンB1は糖質のエネルギー代謝に関わっている補酵素で、脳や眼・神経を正常に保つ働きがあり、疲労回復にも役立ちます。
ビタミンB2は脂質のエネルギー代謝に関わっている補酵素。また細胞の新陳代謝を促進し毛の発育を助け、皮膚や粘膜の機能維持に関わり、過酸化脂質の分解にも関与しています。
ナイアシンもエネルギー代謝に関わる補酵素で、皮膚・消化器・神経などを健全に保つために必要なビタミンです。
葉酸は赤血球の生成やDNAを正常に作る材料にもなっています。とくに赤ちゃんの成長に必要な栄養素なので、妊婦さんは積極的に摂る必要があるといわれています。
一般的にビタミンB群は水溶性ビタミンなので、たくさん摂取しても尿中に排泄されるので、摂取過剰の心配はないですが毎日コツコツと摂取したい栄養素です。
ビタミンK
ビタミンKは脂溶性ビタミンの一つで血液を凝固させる働きがあり、出血を止める役割があります。
さらに、骨から血液中にカルシウムが放出されるのを抑えて、骨にカルシウムが沈着するのを助ける働きもあり、骨密度アップに貢献するビタミン。加齢や女性ホルモンの低下、ダイエットにより骨密度が低下すると発症してしまう骨粗しょう症予防に有効です。
ビタミンE
ビタミンEは、抗酸化作用のある脂溶性ビタミン。
活性酸素を除去し、血液中の悪玉コレステロールの参加を抑制し、血栓ができるのを予防する働きがあります。
血流が良くなると体の隅々まで酸素や栄養素も行き渡るようになるので、肌荒れ・冷え・肩こり・頭痛などの症状の緩和につながります。
カリウム
カリウムはナトリウムと共に体内の細胞を正常に保ったり血圧の調整などに働く栄養素です。摂り過ぎてしまったナトリウム(食塩)の排出を促し血圧上昇を抑えます。
そのため高血圧予防やむくみ解消に働き、また体液のphバランスを保つ役割もあるので、正常な筋肉の収縮や神経刺激の伝達にも関わっています。
カルシウム・マグネシウム・リン
骨や歯を形成するのに必要なカルシウム・マグネシウム・リンなどのミネラルも豊富に含まれているので、骨を強くし骨粗鬆症の予防にも役立ちます。
鉄・銅
鉄はタンパク質と結び付き、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンの成分で、血流の流れをサポートします。
銅は、その鉄の血液中の輸送や代謝に関わっています。
鉄や銅が不足するとヘモグロビンが減少し、酸素が十分に供給できなくなるため、体調不良につながるなどさまざまな症状が現れます。
エンドウ豆には、鉄だけじゃなく銅も含まれています。
亜鉛
エンドウ豆には亜鉛も含まれています。
亜鉛は味覚を正常に保つのに働き、また皮膚や粘膜の健康維持を助けます。
また、新陳代謝に必要な酵素をつくる成分となり、タンパク質の合成や遺伝子情報を伝えるDNAの転写に関わってるミネラルです。
将来的にますます需要が増える傾向
総じて豆類は、これから発芽するために必要な栄養をギュッと持っていますが、こうやって調べてみると、エンドウ豆の栄養価も高いことが分かりますね。
そういうこともあり、将来的にエンドウ豆の需要はますます増えていくだろうと予想されているのだそうです。
上記のタンパク質の項で、アレルギーリスクが少ないということでプロティン利用が増えていると紹介しましたが、エンドウ豆は畜産物や大豆に比べて、育成に必要な水量が少なくてすみ、手間がかかりにくいということで、自然や労働環境に配慮できるサスティナブルな食材としても注目されています。
すでに、ミート(植物性大替肉)の原料になったり、麺やヨーグルト、ツナ(マグロ)の代わりとして商品化されているものもあります。
世界の人口増加などによる将来の食糧調達問題の解決において、エンドウ豆は重要な作物に位置づけられているようです。
まとめ
古代エジプト時代以前より食べられてきたエンドウ豆は、世界各地で様々なレシピで食べられてきた歴史の長~い豆。
しかも発芽して、豆苗・サヤエンドウ・グリンピース・スナップエンドウになる、日頃ひんぱんに食べられている緑黄色野菜でもあるんですよねぇ。
とりあえず「これもエンドウ豆だったのか~」とフルーツみつ豆を美味しくいただきながら、しみじみ認識する管理人なのでした。
出典・参照させていただいたサイト:
wikipedia エンドウ豆
IshiPedia 強い骨を作る「エンドウ豆」
アリックス株式会社 えんどう豆の話
Study-Z 簡単でわかりやすい!えんどう豆とグリンピースの違いとは?