ソラマメはマメ科ソラマメ属で、大豆・落花生・ひよこ豆・エンドウ豆・インゲン豆とともに6大食用豆のひとつ。
エジプトでは4000年以上も前から栽培されていたとされ、日本には奈良時代にインドの僧侶が中国を経て持ち込んだと言われています。
名前の由来は、サヤが空に向かって実るから「空豆」と呼ばれるようになったようで、また蚕(かいこ)が繭を作る時期に美味しい豆を実らせ、サヤが蚕を思わせることから「蚕豆」という和名もあります。
完熟した豆を乾燥させて使う種実用は大半が中国、一部がオーストラリア・ポルトガルなどから輸入されているそうで、煮豆やおたふく豆・甘納豆・油で揚げたいかり豆などのお菓子に加工されています。
中国の発酵調味料である豆板醤に使われている豆もソラマメだそうです。
未熟なうちに収穫したものは青果として出荷されています。
乾燥させた豆と青果(野菜)用では、栄養も少し異なってきますので、ここでは、青果(野菜)用について紹介します。
ソラマメの品種や産地
国内の市場に出回っているのは、ほとんど「一寸そら豆」という品種で、一つのサヤに2~4粒入っているものです。
他にも「早生そら豆」や香川県で作られてきたサヤが長く豆が5~6粒入っている「さぬき長莢」や、豆が赤い「初姫」などもあります。また最近では、発芽させた芽を食用とする「そらまめ豆苗」という商品もあります。
日本各地で栽培されていますが、特に鹿児島県・千葉県・茨城県での栽培出荷が多いそうです。
旬の時期は4~6月ですが、ハウス栽培ものや、温暖な気候の鹿児島などからは早く出荷されているものもあり、12月頃から見かけるものもあります。
ソラマメの栄養価
ソラマメ100gあたりのカロリーは108kcal。
タンパク質や炭水化物(糖質+食物繊維)、ビタミンB群・ビタミンC、ミネラル類もカリウム・亜鉛・鉄・銅などが含まれています。
参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
主な栄養素を紹介します。
植物性タンパク質
タンパク質は、ヒトの筋肉や皮膚・臓器など体を構成する重大な要素。
植物性タンパク質は、ヒトに必要な必須アミノ酸を全て持っているわけではありませんが、油脂をほとんど含んでいないため、ダイエットなどを心がけている人には、低脂肪・低カロリーで理想的なタンパク質です。
ビタミンB群
ソラマメはビタミンB群のなかでも、ビタミンB1やビタミンB2、葉酸を多く含んでいます。
ビタミンB1は糖質のエネルギー代謝に関わっている補酵素で、脳や眼・神経を正常に保つ働きもあり、疲労回復に役立ちます。
ビタミンB2は脂質のエネルギー代謝に関わっている補酵素で、皮膚や毛などの発育を助け。過酸化脂質の分解にも関与しています。
葉酸は赤血球の生成やDNAを正常に作る材料にもなっています。
特に赤ちゃんの成長に必要な栄養素なので、妊婦さんは積極的に摂る必要があると言われています。
また近年では、動脈硬化のリスク因子である「血清ホモシステイン」という物質が血液中に増えるのを抑える働きもあることが分かってきており、不足しないように性別や年齢に関係なく摂取したいビタミンです。
一般的にビタミンB群は水溶性ビタミンなので、たくさん摂取しても尿中に排泄されるので摂取過剰を心配しなくてもよいのですが、そのため毎日コツコツ摂取したい栄養素でもあります。
ビタミンC
活性酸素を除去する抗酸化作用があります。
コラーゲンの合成に関わるビタミンで、メラニン色素の生成を抑え、皮膚のシミ・シワを防ぎ美容効果が期待できます。また、傷や炎症の治りをよくすることにも役立っています。
カリウム
カリウムはナトリウムと共に体内の細胞を正常に保ったり血圧の調整などに働く栄養素です。近年の食生活はナトリウム(塩分)摂り過ぎ傾向にあり、増えてしまったナトリウムの排出を促し、血圧上昇を抑えます。
そのため高血圧予防やむくみ解消に働き、また体液のphバランスを保つ役割もあるので、正常な筋肉の収縮や神経刺激の伝達にも関わっています。
鉄分
鉄分は血液中で酸素を運ぶヘモグロビンの成分で、血流の流れをサポートします。
ソラマメの鉄分は非ヘム鉄という吸収されにくい種類の鉄分ですが、ビタミンCがあると吸収率が高まります。ソラマメにはビタミンCも含まれているので効率よく吸収できます。
食物繊維
ソラマメには不溶性食物繊維が多く含まれています。
不溶性食物繊維は、胃や腸で水分を吸収して大きく膨らむことで、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし便通を促進します。
食物繊維はソラマメの薄皮に多く含まれているそうなので、薄皮ごと食べると効果的だそうです。
美味しいソラマメの選び方
ソラマメは鮮度が落ちやすく「美味しいのは収穫されてから3日間だけ」と言われているそうです。
サヤから出し、豆だけで売られている物もありますが、サヤから出すと鮮度が落ちやすくなるので、なるべくサヤのまま売られているものを買うようにしましょう。
その時の選ぶポイントは以下の3つです。
1.サヤの色があざやかな緑色でツヤのあるもの
収穫してすぐのソラマメは、サヤにツヤがありあざやかな緑色をしています。時間が経つと表面にシミのような茶色い部分が出てきたり、筋が茶色くなっていきます。
2.弾力があり重みを感じるもの
触った時に弾力があり、持ってみると重さを感じる物は、水分をたっぷり含んでいます。
3.ふっくらとしているもの
ふっくらと膨らんで、豆の形が分かるものが良いそうです。その豆の大きさが均等なものがとくに良品だそうです。
ソラマメを美味しく食べるには
美味しく食べるには、購入したら出来るだけ早く食べることです。新鮮な方が栄養素も多く含んでいます。
茹でる時は出来るだけ短時間で
サヤのくぼみから割って豆を取り出します。豆の黒いつめ部分(新鮮なものはあまり黒くなっていない)の反対側に包丁で少し切れ目を入れます。そうすると皮にしわがよらずにきれいに茹で上がるそうです。
鍋に湯を沸かし塩(湯1ℓに対し塩小さじ2ほど)を加え、ソラマメを茹でます。
ビタミンB群やビタミンCは水溶性ビタミンなので、長く茹でていると外に流れ出てしまいますので、短時間で茹でましょう。
新鮮なものは2分ほどで、つめの部分が黒く固くなっているものは3分を目安に様子を見ながら茹でてみましょう。
新鮮でつめの部分がまだ黒くなっていないものは、薄皮も柔らかく、薄皮ごと食べると栄養を逃さず食べることができます。
皮が固くて食べられないなあという場合などには、皮ごとミキサーでつぶしてポタージュやスープなどにするのもよいアイデアですね。
焼く・揚げる・蒸す
サヤごと魚焼きグリルなどで焼くと、豆がサヤの中で蒸され、ふっくらとなって、ホクホクとして美味しいですよね。
また、かき揚げにしたり、豆ごはん・煮物など、揚げたり蒸す・煮るという料理方法も栄養素が流れ出ないので、無駄無く摂取できます。煮汁も捨てずにいただきましょう。
冷凍保存
今日食べようと買ってきたのに、予定が変わって食べられない時もありますね。
その時は、すぐに冷凍保存する方法もあります。
茹でてから冷凍すると水っぽくなるので、生のままがよいそうです。
サヤごと冷凍すると1ヶ月程鮮度が保てるようですが、サヤから出して豆だけでの冷凍もOK!。
フリーザーパックに入れ、出来るだけ空気を抜いて、ジッパーをしっかりと締めて冷凍保存。
豆だけの場合は薄皮に少し包丁で切れ目をいれてから、同じように空気を抜き保存しましょう。
おまけ
ソラマメのサヤの内側にはふわふわの、まるで豆を守るクッションのような白い綿のようなものがありますね。あれは本当に豆を守るためためにあるらしく、根や葉から送られてきた栄養を蓄えている貯蔵庫で、豆の成長に合わせて栄養を送っているのだそうです。また、緩衝材の役目もあります。
実際スプーンなどでかき集めて食べてみると、ほんのり甘くて風味も良いそうです。
なんだか、ソラマメの1粒1粒がスヤスヤ眠る赤ちゃんのようにも見えて、大切に育てられているんだなあと思います。
出典・参照させていただいたサイト:
kurashru そら豆の栄養素
旬の食材百科 そらまめ
まごころケア食 そら豆