低カロリー・低糖質でダイエットにピッタリなイメージの蒟蒻には、他にどういう栄養が?

蒟蒻-大根-煮物 食べ物雑学

蒟蒻はサトイモ科の植物の球茎から作られていますが、この球茎(蒟蒻芋)が生のままでスーパーなどの店で売られていることは、ほとんどありませんね。
蒟蒻芋にはシュウ酸カルシウムといった毒物が多く含まれていて、エグ味が強く人体に害があるので、適切な下処理をしてからでないと、食べることができません。
それどころか、生の蒟蒻芋の断面を素手で触っただけでも、激しい痛みや痒みが生じる可能性があります。

昔の人は、どうしてこんな毒を持つ芋を食べようとしたのでしょうか。
「江戸時代、年貢の取り立てが厳し過ぎて食べるものが無い農民が、この毒のある芋を何とか食べる方法はないだろうかと、試行錯誤し努力の末に下処理を編み出し、蒟蒻というカラダに害がない食べ物を作ったのではないのか? エネルギーにはならないけれども腹はふくれるから、何も食べる物がないよりはマシだと・・。 そうだよ、きっとそうに違いない!」
管理人・にこぴんは勝手にそんなことを想像し、昔の人達は苦労したのね・・・と勝手に蒟蒻を眺めながら涙ぐんだりしていましたが、歴史を調べてみると、どうもそうではないみたいです。

日本でも、飛鳥時代に仏教とともに薬として朝鮮から伝来したのではないかという説や、いやいや縄文時代にはすでに食べられていたのではないかという説もあり、江戸時代よりもっと昔から食べられていたようです。
ただ、蒟蒻芋は栽培が難しく、付いている土を落とすとすぐ腐ってしまうため、芋が収穫される秋に高貴な人々だけが食べられる、高級な食べ物だったようです。
本格的に普及したのは江戸時代に入ってからで、蒟蒻芋を細かい粉にして保存する方法が開発されてからだそうです。

現在の日本での主な産地は圧倒的に群馬県。それに栃木県、茨城県と続き、約97%が北関東で生産されています。

他に食べる物が無いからだとか薬だから仕方なくではなく、昔からこのプリプリとした弾力のある独特な食感の蒟蒻を、日本人は好んで食べてきたようです。
飽食の時代である今日では「蒟蒻は低カロリー・低糖質でダイエットにピッタリ!」と言われていますが、他にもカラダに良い効果をもたらす栄養素を持っているのでしょうか? 
その辺のところを中心に調べてみました。

蒟蒻芋から蒟蒻が出来るまで

蒟蒻芋

江戸時代に開発された細かい粉(精粉)にしたものを使って作る蒟蒻が今でも一般的ですが、収穫した蒟蒻芋を保存する技術も発達してきていて、昔ながらの、蒟蒻芋を生のママあるいは茹でて、皮を剥いてからすりおろしたものを使って作った蒟蒻も増えてきているようです。

一般的な蒟蒻の製造手順

1. 最初に収穫した生蒟蒻芋を水洗いする。

2. それを裁断し切り干し(荒粉)にする。

3. 乾燥させたものを混じり気のないきれいな精粉にする。

4. 50~70℃の湯に精粉を少しずつ加えながらよくかき混ぜ、しばらくおく。

5. それに消石灰(水酸化カルシウム)をぬるま湯に溶かした石灰水を加え、全体が均一になるよう手早く混ぜ合わせる。

6. 整形装置に流し込み、30分~1時間おき、手で触ってもベトベトしなくなったら、たっぷりの湯で30分~1時間茹でてアク抜きをする。

7. 水にさらし、水を時々かえながら、さらに半日ほどアク抜きをする。

8. 成形・包装し、殺菌を施し出荷。

蒟蒻芋の強烈なエグミ(アク)の元はシュウ酸カルシウムなどですが、これに消石灰汁(アク)を加えると、中和されアクが取り除け、蒟蒻に含まれるこんにゃくマンナンという食物繊維が変化し、あのプリプリとした食感に固めることが出来るのだそうです。
アクをアクが取り除く、なんだか面白いですね。

蒟蒻のカロリーや主に含まれる栄養素

板蒟蒻(精粉)100gあたりのカロリーは5kcalと、とても低カロリー。
参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

97gほどが水分で、炭水化物2.3gの中で食物繊維は2.2g。他にミネラルとしてカリウムカルシウムなどを含んでいます。

蒟蒻-椎茸

食物繊維が豊富

生の蒟蒻芋に含まれる食物繊維の大半は、水溶性のグルコマンナン(コンニャクマンナン)ですが、シュウ酸カルシウムなどを取り除いたり固めるために、製造過程で混ぜられる消石灰汁により、不溶性食物繊維に変化するそうです。

ですので板蒟蒻に含まれる食物繊維は不溶性が2.1g、水溶性が0.1gと、ほぼ不溶性食物繊維になるのだそうです。

不溶性食物繊維は栄養としては吸収されませんが、胃や腸で水分を吸収し大きくふくらみ、大腸を刺激してぜん動運動を活発にし、便通を促す働きがあります。
その時カラダにある有害物質も吸着し、便と一緒に体外に出すため、大腸ガンなどのリスクも減らしてくれると言われています。
また、大腸内にある最近によって発酵・分解され、善玉菌のエサになり腸内環境を整えてくれます。

高い血圧を下げるように働くカリウム

板蒟蒻100gに33mg含まれているカリウムには、ナトリウム(塩分)とバランスをとりながら。細胞を正常に保ち血圧を調整したりする働きがあります。

体の中でナトリウム(塩分)量が増えすぎると高血圧の一因になりますが、カリウムはその血圧を下げ調整します。
塩分摂りすぎによって起こるむくみも解消させるようにも働きます。

意外に多く含まれるカルシウム

カルシウムが板蒟蒻100gに43mgほど含まれています。
カルシウムは骨や歯を作るのに欠かせない成分ですが、他にも細胞の分裂や筋肉の収縮、神経興奮の抑制、出血した時血液を凝固させるのを促進するなど、大事な働きもしています。

カルシウムはビタミンDとともに摂取すると吸収率が高くなるので、ビタミンDを多く含むキノコ類などと一緒に食べるのがオススメだそうです。

ヘモグロビンの成分になる鉄

板蒟蒻100gに0.4mg含まれています。
は血液中の赤血球をを作っているヘモグロビンの成分です。ヘモグロビンには、呼吸で取り込んだ酸素を体中の組織に運ぶという重要な働きがあります。

鉄には、肉・魚に含まれるヘム鉄と野菜や牛乳・卵などに含まれる非ヘム鉄の2種類があり、蒟蒻に含まれるのは非ヘム鉄で、ヘム鉄と比べると吸収率が低いのですが、タンパク質やビタミンCなどと一緒に摂ると吸収されやすくなります。

滋賀県の特産品に「赤蒟蒻」がありますが、この赤色は「三二酸化鉄」という食品添加物で色付けしているので、普通の蒟蒻より鉄分量が多いです。派手好きな織田信長が作らせたとも言われているそうです。

昔から「体の砂払い」「胃腸のほうき」と呼ばれていた蒟蒻

刺身蒟蒻

「体の砂払い」「胃腸のほうき」と呼ばれ、昔から体の中をきれいにしてくれると食べられていた蒟蒻。
にこぴんの父も「蒟蒻は胃の掃除をしてくれるんだよ」と言いながら、よく刺身蒟蒻を嬉しそうに食べていました。だいたい、酒の肴でしたけど。

実際、蒟蒻には胃腸の調子を整えたり、脂質や糖からの摂取エネルギーを調節しコレステロール値を正常にしたり、ナトリウム(塩分)などの排出を助ける作用があります。
昔の人々は経験的に、それを知っていたのでしょうね。

蒟蒻の種類

上記したことを踏まえると、蒟蒻には2種類あるということになりますね。
生の蒟蒻芋から作るのと、一度「精粉」にしたものから作るのと。
板蒟蒻・糸蒟蒻・玉蒟蒻など、形の違うものはいろいろありますが、これは製造段階での成形の違いですね。

生の蒟蒻芋から作る時、皮まで入れると色が付きますが、精粉から作る蒟蒻はそのまま作ると白い蒟蒻になるそうです。
それにアラメ(カジメ)という海藻の粉を入れると黒っぽい蒟蒻になるそうで、その方が自然な感じがするのか、好む人が多いようですね。
他にも野菜パウダーや唐辛子・ゴマやノリを入れた、カラフルな蒟蒻もあります。

糸蒟蒻は、製造段階で固まる前の糊状のものを、細い穴に通しながら茹でて糸状にしたもので、白糸の滝のようなので「しらたき」とも呼ばれています。
2010年代に入ったあたりから、それまで蒟蒻を好んで食べるのは日本人ぐらいだったのですが、ダイエットにもなるということで、フランスやアメリカ合衆国などで、しらたきをパスタの代用品として利用している人が増えているようです。

刺身蒟蒻は、他の蒟蒻より水分を多くし、そのままでも食べられるようにしたもの。ゆずや海苔を入れ風味をつけ、わさび醤油などを付けて食べたり、サラダやマリネなどにも入れられるので便利ですね。

粒蒟蒻は、ご飯粒と同じくらいの大きさに小さく加工したもので、米に混ぜて炊くことでご飯のカサを増やしダイエットに一役買ったり、プチプチとした食感が面白いデザート菓子などとして利用されています。

糸蒟蒻-パスタ

蒟蒻の保存

市販されている蒟蒻は袋ごと冷蔵庫で保存。
使い切れず残ったものを保存する場合は、袋に入っている水はアルカリ性で殺菌作用がありますので、捨てずに水ごと保存容器に移し冷蔵庫で保存し、早めに使い切りましょう。

生蒟蒻にしか含まれていない成分

蒟蒻には2種類あると書きましたが、生の蒟蒻芋から作った蒟蒻にしか含まれていない成分があるそうです。
それが「こんにゃくセラミド」。

こんにゃくセラミドは、蒟蒻芋を蒟蒻に加工する際に生まれるそうです。
精粉から作る蒟蒻には含まれていません。
精粉にする時に捨てられてしまう部分(飛び子)で、かつては無駄なものと思われていました。それから肌の潤いやバリア機能強化に貢献するセラミドが抽出できることが、研究で判明したのだそうです。

セラミドは、ヒトの肌の角質層の細胞同士や水分をつなぎとめている成分。
年齢とともに皮膚内の含有量が低くなり、水分量が不足し肌が乾燥しやすくなっていきます。セラミドは、肌から水分が蒸散するのを防ぎ、バリア機能を高め、健やかな肌づくりに欠かせない成分のひとつで、美容液にもよく配合されていますね。

食べた成分がそのまま肌の中のセラミドになるわけではありませんが、食べることでセラミドを補うことはできます。
ダイエットをしようとすると、食事量を減らしたりして栄養バランスが乱れがちになり、肌のトラブルも発生しがちです。
ですが蒟蒻は低カロリーでダイエットをしながら、そのうえお肌のケアまでできるということになるので、一石二鳥かもしれません。
その場合、選ぶ蒟蒻は「生蒟蒻」ですよ~。

蒟蒻-おでん-2

出典・参照させていただいたサイト:
蒟活公式サイト
KOTOBUKI MANAC 蒟蒻豆知識
まごころケア食 こんにゃく
macaroni こんにゃくの栄養

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