オートミールの栄養と効能。手軽でダイエットにもなると最近人気が出ている理由は?

オートミール-お茶漬け 穀物

オートミールは、大麦・小麦・稲・トウモロコシなどと同じで穀物の一種のオーツ麦(えん麦)を、蒸す・挽く・伸ばすなどの加工をして食べやすくしたものです。
名前に「麦」が付いていますが、大麦や小麦とは別の種類です。押し麦やもち麦も「麦」が付いていますが、これは大麦を加工したものなので、これとも別種類になります。

実が硬くて食べにくいため、ほとんどが馬などの飼料になっていましたが、1870年代に燕麦をフレーク化する技術がアメリカで開発されたことで、手軽に調理できるオートミールとして大量生産されるようになり、急速に全米に普及しました。

穀物の中で米を主食とする日本でも、忙しい朝でも牛乳やヨーグルトをかけるだけで食べられる、手軽な「シリアル食品」が売られていますね。「シリアル食品」は、トウモロコシ・大麦・小麦・えん麦・コメなどの穀物を加熱調理した加工食品なので、この中にもオートミールは入っています。
ちなみにトウモロコシをフレーク化したものが「コーンフレーク」。シリアルを粒状に焼き固めたものが「グラノーラ」です。食べやすくするために、砂糖やナッツ、ドライフルーツを入れているものもありますね。

近年、テレビのバラエティ番組やTwitterなどのSNSで「栄養価が高いうえにダイエットにもなる」と話題になり、注目度が上がってきているオートミールについて、紹介していきたいと思います。

オートミールの種類

オートミール-植物

栄養の話の前にオートミールとして売られているものには、精製加工過程により大体4種類があります。それにより調理方法やかかる時間、食感なども変わってきますので紹介しておきます。

オートグローツ (ホールオーツ)

オーツ麦のもみ殻を取り除いただけのものです。米でいう玄米の状態なのですが、非常に硬く調理しづらいです。

これを調理しやすく食べやすいように加工したものをオートミールと呼ぶので、厳密にいうと、オートミールの前段階ということになります。

スティールカットオーツ

オートグローツ1粒を2~3個に割ったものです。割ることで表面積が増えるので、オートグローツよりは調理を短縮でできます。
オートグローツを割っただけなので、オートミールの中では一番ミネラルなどの栄養素を含んでいます。
お粥(ポリッジ)などを作る場合、20分以上煮込まなくてはいけませんが(加熱処理)、プチプチとした食感の残るものが出来上がります。

ロールドオーツ(テーブルオーツ)

オートグローツを蒸し、ローラーで平らに伸ばし乾燥させたもの。
加熱され薄く加工されているので、スティールカットオーツより更に調理時間を短縮できます。加熱処理されているので、そのまま食べることも可能ですが、あまり美味しくはありません。
ミューズリー(加熱しないお粥)やグラノーラ の原料にも使用されています。

このロールドオーツをもっと調理がしやすく食べやすく加工したものに、クイックオーツとインスタントオーツがあります。

クイックオーツ

薄く伸ばされたロールドオーツを細かくすることで、熱や水分が内部に前浸透しやすく加工されているので、2分ほどで調理ができます。
そのままでも食べることはできますが、味付けがされていないのであまり美味しいとはいえません。
汁気の多い調理に向いており、モチっとした食感のお粥や、夜のうちに牛乳やヨーグルトに浸しておくオーバーナイトオーツを作ることができます。

インスタントオーツ

一度調理されているので、調理時間も1分程と一番時間がかかりません。
煮たりするとほとんど食感は感じられませんが、味付けされているものもあり、水を加えて電子レンジでチンするだけ、又は牛乳や豆乳をかけてシリアルのようにも食べられるので、とても手軽です。
離乳食やオーバーナイトオーツ、スムージーなども作ることができます。

粉状のオートミール

粉状のオートミールも販売されていて、ご自分でもミキサーで作ることができます。
パン・お菓子の材料や、お好み焼き、ハンバーグや揚げ物のつなぎなどに使えます。

オーツブラン(えん麦ふすま)

オートグローツからもみ殻を取り除いた後に、実についている外皮を取り除き精白していく時に出てくる粉(外皮)を指します。
米でいうところの糠部分です。オートミールより食物繊維やミネラルなどが多く栄養価が高い部分です。
お粥にしたり、パンやクッキーなどのお菓子の材料として使われています。

オートミールの栄養価

オートミール-種類

オートミールは全粒穀物になるため、栄養価が高いです。

カロリーは100gあたり380kcal(1食は大体30g)ですので、玄米349kcal(白米356kcal)より高いのですが、糖質量が少なめで、GI値も低いので、太りにくい食材とされています。

ちなみにGI値とは、グリセリック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後血糖値の上昇度を示す指標で、GI値が低い食品ほど血糖値の上昇が緩やかになります
血糖値が上昇すると、膵臓からインシュリンが分泌され血糖値を下げるように働くのですが、その時分泌されたインシュリンには脂肪を作るという働きもあるため、血糖値が上昇すると体に脂肪が蓄えられてしまいます。
例えば白米とオートミールの約1食分(オートミール30g、 白米150g)の量のGI値を比べてみると、白米のGI値が87に対して、オートミールは59。GI値は低いほど糖の吸収がゆるやかになるので、主食をオートミールにおきかえれば、血糖値の上昇を白米より抑えられ脂肪が蓄えられづらくなるので、GI値が低い方がダイエットに効果が現れやすいといわれています。

アミノ酸スコアが100という良質のタンパク質も100gあたり13.7gと穀物としては高め。他にも脂質炭水化物食物繊維ビタミンEビタミンB1ビタミンB6、ミネラルも亜鉛マグネシウムカルシウムと豊富に含んでいます。
参照:文部科学省, 日本食品標準成分表2020年版(八訂)

筋肉増強のためトレーニングをしている場合、タンパク質は意識して摂るのですが、ミネラル分が不足しがちになります。その点オートミールはミネラル分も豊富なので、手軽に補うことができるわけです。

食物繊維をバランスよく含んでいる

食物繊維には水溶性と不溶性がありますが、オートミールにはどちらもバランスよく含まれています。

水に溶けやすい水溶性食物繊維(とくにオートミールにはβグルカンが多い)は、小腸での栄養素の吸収の速度を緩やかにするので、食後の血糖値の上昇を抑える効果やコレステロールを吸着し体外に排出し血中のコレステロール値も低下させます。ナトリウム(塩分)を排出する効果もあるので、高血圧などのさまざまな生活習慣病の予防に効果があります。
また、βグルカンには「満腹感を感じる」「消化器官内の良性バクテリアを増殖させる」などの特徴もあり、食べる量を減らせるという嬉しいメリットもあります。

水に溶けにくい不溶性食物繊維は、水分を吸収して便量を増やします。それで大腸が刺激され排便がスムーズになります。また有害物質を吸着させ便と一緒に体の外に排出するので、腸をきれいにして大腸がんのリスク軽減につながります。

どちらの食物繊維もビフィズス菌などの善玉腸内細菌の餌になるため、善玉菌が増えることにより腸内環境が改善されます。

ただし最近の健康ブームで、意識しすぎて食物繊維を摂りすぎている人も増えているとか。摂りすぎると逆に下痢や便秘になることがあるので、全体的な量を考え摂取した方がよいそうです。

オートミールはグルテンフリー?

グルテンとは、小麦粉に水を加えてこねることでできる成分のことで、小麦粉には「グルテニン」と「グリアジン」という2種類のタンパク質が含まれていて、こねることで絡み合って「グルテン」に変化します。
パンやパスタ・うどんなどの食べ物をおいしくするという効果があるグルテンですが、アレルギーを発症する人がいたり、体への悪影響も指摘されるなど、悪者扱いされがちで、グルテンフリーの食品を探す人もおられますね。

オートミールは小麦や大麦・ライ麦などとは含まれるタンパク質とは種類が違うので、基本的にグルテンフリーな食材ですが、加工される過程において小麦が混ざることもあるそうです。
どうしてもグルテンフリーのオートミールを購入したい場合は、パッケージや成分表に「ピュア」「オートミール100%」「グルテンフリー」と記載されている商品を選びましょう。

どんどん広がるオートミールのレシピ

オートミール-マドレーヌ

オートミールが注目されるようになった理由として、以前は牛乳をかけて甘めの味付けをする以外の食べ方はあまり知られていなかったのが、お米の代わりに主食として米のように食べる「コメ化」が紹介され、バリエーションが広がったことがあります。
オートミール(おすすめはロールドオーツ)を水でふやかすだけで、手軽に炊いたご飯の代わりになり、コメ化したオートミールに納豆をかけたり、お茶漬けの素とともにお湯をかけたり、リゾットにしたりできます。

また、粉にしてパン粉や小麦粉の代用として、ハンバーグなどのつなぎ、クッキーやパウンドケーキ、お好み焼きなどにも使え、どんどんレシピも増えています。

オートミールを食べる時の注意点

問題なのは、穀物の香ばしさをほんのり感じるものもありますが、味がなく、さすがにオートミールだけでは美味しいとはいえないことです。
それでつい、砂糖やフルーツ多め、塩分入れすぎの味付けで食べてしまいそうになりますが、それでは逆効果になってしまいます。

少し薄味かな~ぐらいを心がけましょう。

そして「手軽で栄養価が高いから」と毎食オートミールにするのは(まず、そのような人はいないとは思いますが)やめましょう。栄養価が高いといっても、必要な全ての栄養が摂れるわけではないので(とくにビタミンCなどのビタミン類が足りませんね)一日1食オートミールに置き換えるぐらいがよいと思います。

オートミールといっても、加工の仕方で食感や調理時間が違ってくるので、ご自分のお好みやライフスタイルに合わせて、美味しく楽しく食べていきましょう。

オートミール-炒め

出典・参照させていただいたサイト:
MELOS オートミールって?
おいしい健康 オートミールとはどんな食べ物?
ピントル オートミールとは
たべるご オートミール とグラノーラの違い

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