昔から飲まれてきた麦茶には、水分補給の他にも様々な効能が!

麦茶-3 ドリンク

昔から、とくに夏場の水分補給に飲まれてきた麦茶。
近年、その麦茶には水分補給だけでなく様々な効能があることも研究でわかってきました。

今回は、麦茶の特徴やその効能などを中心に紹介します。

日本での麦茶の歴史

大麦-穂

麦茶の原料である大麦は、イネ科の穀物で中央アジア原産。
日本に入ってきたのも縄文時代末期とされ、とても歴史の長い穀物です。
麦湯は平安時代から貴族が飲んでいたようで、戦国時代には武将たちが陣中に持参したと伝えられています。
江戸時代に入ると「麦湯売り」が出現し、現代でいう喫茶店のような「麦湯店」もあちらこちらに出来て、麦茶は庶民にとっても気軽な飲み物として大いに流行ったそうです。

なお、麦茶が夏の飲料とされたのは、大麦の収穫時期が初夏で、炒りたての新麦は香りが良く美味であったからのようです。

水道が全国的に整備される以前は、夏場は食中毒の心配もあり生水よりも「湯冷まし」の飲用が勧められていて、麦茶を素焼きの壺に入れ、蒸発熱によって生ずる冷却を利用して冷やして飲んでいました。
昭和30年代に冷蔵庫が普及すると、煮出した麦茶を冷やして飲むようになり、ティパックが開発されると、家庭で手軽に作れる飲料として、とくに暑い夏場になくてはならないものとして定着していきました。
今ではペットボトルも発売され、ますます手軽な飲み物になってますね。

麦茶に含まれる栄養素とメリット

麦茶100gあたりのカロリーは、その99.7gが水分のため、たったの1kcalになります。
参考:カロリーSlism 麦茶
炭水化物(糖質)は0.3gしかありませんが、汗と共に体外に出てしまい不足するナトリウムカリウム、骨などを丈夫に保つカルシウムリン、皮膚・粘膜の健康維持や味覚の正常を保つのを助ける亜鉛などのミネラル類を含んでいます。

麦茶はノンカフェイン

麦茶はタンニンやカフェインを含まず、人工的な保存料や甘味料も添加されていない天然飲料です。
そのため、寝る前に飲んでも安眠を妨げることもなく、妊婦さんや赤ちゃんから高齢者まで、安心して飲むことができます。
また、小麦と違い大麦にはグルテンが含まれていないので、小麦アレルギーがあっても飲める人が多いですが、小さいお子様が初めて飲む場合などは、少量ずつ様子を見ながら飲ませましょう。

麦茶が持つ健康効果

麦茶-飲む女性

麦茶には水分補給の役割だけでなく、様々な健康効果があります。

熱中症対策

麦茶の原料である大麦には体を冷やす働きがあり、真夏の体の火照りをしずめる効果が期待できます。
また、上記したようにミネラル類を含むため、汗と共に体から出てしまったナトリウム・カリウム・カルシウムなどを補給できます。

昨今は猛暑の日も増えているので、熱中症対策として麦茶に少し塩を加え(麦茶1Lあたり塩1~2g)、塩麦茶として飲んでもいいでしょう。
運動後に疲れを感じるようでしたら、麦茶に砂糖少々(麦茶1Lあたり砂糖大さじ1)を加えると栄養補給にもなります。

抗酸化作用で生活習慣病予防

活性酸素は微量であれば人体にも良い働きをしますが、大量に生成されると過酸化脂質を作り出し、動脈硬化・ガン・老化・免疫機能の低下などを引き起こします。抗酸化作用とは、その活性酸素を取り除き酸化の働きを抑える作用です。

抗酸化作用のある成分としてポリフェノールがありますが、麦茶に多く含まれるのはカテコールゲンチシン酸
強い抗酸化作用を持ち、皮膚や粘膜の劣化を防いだり、生活習慣病の予防に期待ができます。

香ばしい香り成分で血流改善

麦茶の香ばしい香り成分であるアルキルピラジンには、血流を改善する働きがあります。
血流が良くなると、肩こりや冷え性が改善されたり、高血圧・動脈硬化・脳梗塞予防になります。

とくに暑い夏場は、汗をかき体内の水分が外に出て行くことで血がドロドロになり血栓が出来やすくなりますので、こまめな水分補給が大切です。
麦茶は利尿作用がなくノンカフェインなのでオススメです。

胃の粘膜を保護し、糖尿病合併症を防ぐ

麦茶の抽出物の研究の結果、胃の粘膜を保護したり、糖尿病合併症を防ぐ、炎症を抑える作用などの機能があることが判明しているそうです。

虫歯予防

麦茶の元の焙煎大麦には、ミュータント菌という虫歯菌を抑制し、バクテリアの定着を予防する働きがあります。
子供でも飲みやすい麦茶は、虫歯予防にも一役買ってくれるでしょう。

麦茶になる大麦の種類

麦茶になる大麦の種類は大きく分けて4つあります。特徴が少し違うので紹介します。

麦茶-粒

六条麦茶

六条大麦を使っている一般的によく飲まれている種類です。
六条大麦はタンパク質を豊富に含む一方、デンプン質が少なめであるため、適度な香ばしさと苦味があります。馴染みのある香りと味わいを楽しめます。

二条麦茶

二条大麦は、デンプン質が豊富でタンパク質が少なめなので、ビールの原料になることが多く、麦本来の甘みを感じます。
苦味が少ないのに深い味わいがあり飲みやすいです。

はと麦茶

はと麦は、昔から「肌を整える効果がある」と親しまれてきた漢方薬のヨクイニンの原料。
含まれる特有成分のコイクセラノイドというタンパク質が、新陳代謝を高め、肌のターンオーバーを促進する作用やデトックス効果も期待できます。
香ばしい香りですっきりとした味わいが特徴です。

はだか麦茶

はだか麦は簡単に外皮が剥けて裸になった実がすぐ出てきます。
食物繊維が多く、主に麦味噌、麦焼酎の原料になっています。
外皮がない分、色が薄めで苦味が少なく、まろやかな甘みを感じられます。

ブレンド麦茶

上記4種類の麦茶に、黒豆やドクダミ・胡麻などがブレンドされています。味わいはそのブレンドされた原料で変わり、健康効果も変わってきますので、好みのものを探すのも楽しいかもしれません。
※ただし、そのプラスされた原料によっては、食物アレルギーの症状が出るもの、カフェインを含むものもありますので、何がブレンドされているのか注意して選んでください。

煮出し麦茶・お湯出し麦茶・水出し麦茶の違い

麦茶-ティパック

麦茶には、粒のまま、ティーパック、濃縮缶タイプ、ペットボトルなど、いろいろありますね。
ペットボトルはそのまま飲めるので便利ですが、コスパを考えるとご自分で作る人も多いでしょう。

煮出し・お湯出し・水出しではどう違うかというと、栄養的には大きな違いはありません。

しかし、煮出しタイプが一番、香り成分のアルキルピラジンは活性化しますし、味も濃く出ます。
お湯を沸騰させて作るため、冷やすのに時間がかかるのがデメリット。菌の繁殖を防ぐために氷水や流水でできるだけ早く冷まし、冷蔵庫で保存することが重要です。

お湯出しタイプは、お湯に麦茶パックを入れるので、煮出しタイプよりすっきりとした味わいです。
緑茶のように急須で淹れることも出来るので、温かい麦茶を飲みたい時にオススメです。

水出しタイプはポットに水と麦茶パックを入れるだけなので、手間がかかりません。ただ、香りは煮出しほど強くありません。

ティーパックは、煮出し用・お湯出し用・水出し用で美味しい麦茶が出来るように、それぞれ製造されていますので、用途に合ったものを選びましょう。

どのタイプも抽出した後は、保存料などを添加していないこともあり、あまり日持ちはしません。穀物の麦で作る麦茶は、茶葉のお茶より傷みやすいそうです。
冷蔵庫で保存しても1~2日で飲み終わるようにしましょう。

麦茶の飲み過ぎ、冷やし過ぎに注意

麦茶を水分補給として、こまめに飲むのであれば問題ないのですが、一気に大量に飲むと、水と同じでむくみの原因になります。
また、上記したように麦茶の原料である大麦自体に体を冷やす働きがあるので、キンキンに冷やした、あるいは氷を入れた冷たい麦茶をたくさん飲むと、体が冷え切ってしまいます。
暑い日でも、冷たい麦茶をガブガブ飲むのではなく、少しずつ飲むようにしましょう。

夏場だけでなく一年中飲める麦茶

真夏の水分補給の飲み物として、すっかり定着している麦茶。
ですが、夏場だけでなく一年を通してホットの状態で飲んでも、健康維持に役立つ栄養成分が多い飲み物ということが分かりました。
就寝前に飲んでも睡眠を妨げないというのは、嬉しい特徴のひとつですね。

麦茶-温かい-団子

出典・参照させていただいたサイト:
全国麦茶工業協同組合
おいしい大麦研究所 からだにいいこといっぱい、麦茶のススメ
トリムミズラボ 麦茶を飲もう!麦茶についての4つの豆知識
KAWASHIMAYA 麦茶の栄養と効能

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