らっきょうの栄養と効能。独特の香りとシャキシャキの食感が心地よい

らっきょう-カレーライス 野菜

皆様は「らっきょう」お好きですか?
カレーライスを食べる時に、薬味のらっきょうと福神漬が無かったら、なんだか物足りなさを感じるのは管理人だけでしょうか。
カレーの食事の途中で甘酸っぱいらっきょうを食べると、シャキシャキとした食感でさっぱりして、箸休めにちょうどいいですよね。

カレーにらっきょうが添えられるようになったのは、戦前に日本の帝国ホテルが列車食堂でカレーライスにらっきょうを添えて出したのが始まりだといわれています。外国ではカレーの付け合せにピクルスを出していましたが、当時の日本ではまだピクルスは馴染みがなかったので、らっきょうの漬物を代わりに出したようです。
そのらっきょうですが、カレーと食べ合わせるのは、栄養面でも良い効果があるようです。

今回は、らっきょうの栄養とその効能の話を中心に、保存方法や食べ方についてまとめてみました。

らっきょうとは

らっきょう-花-1
らっきょうの花

らっきょうはヒガンバナ科ネギ属の多年草の野菜で、原産地の中国では紀元前から栽培されていたそうです。
ネギ類ということで玉ねぎと似ていて、鱗茎(養分を蓄えて葉の根本が膨らんだ部分)を、主に食用とします。
玉ねぎより小型ですが、そのまま食べると辛味があり刺激的な味わいなので、独特のシャキシャキの食感を活かして、漬物になることが多いですね。

らっきょうは種が出来ないので、8~9月頃に親となる鱗茎を植えると、そこから芽が出て晩秋の頃に紫色の花が咲きます。
それから寒い冬を越し、春になると葉が茂り鱗茎に養分が蓄えられてふっくらと成長します。そして初夏、葉が衰え始める時がらっきょうの収穫期です。
収穫期は地域によって多少違い、早いところで4月の末に始まり7月まで続きます。
ちなみに島らっきょうは、2~4月と少し早いそうです。

痩せた土地でもよく生育するので、砂丘地での栽培が多いです。
全国の主な生産地は、鳥取県・鹿児島県・宮崎県、そして島らっきょうの沖縄県など。

らっきょうの品種

日本で販売されているらっきょうには、下記の品種があります。

らくだ系

日本各地で栽培されている在来種で、一番多く栽培されています。
らっきょうの中でも大きな品種で、しっかりとした歯応えがあります。

八房

全国各地で栽培されていますが、収穫量は多くありません。
らくだと玉らっきょうの中間型で、シャキッと歯切れがよいらっきょうです。

玉らっきょう

台湾から輸入されることが多い品種で白色で小玉。
台湾で収穫後にすぐ漬物などに加工され日本に輸入されるので、生のものはほとんど出回っていません。

エシャレット

根と葉が付いた状態で出回る、若採りの細いらっきょうで、クセが弱く生のままでも食べやすいです。
1960年代に売り出す際、まだ日本には無かった玉ねぎの一種であるエシャロットに似ているということで「エシャロット」と名付けましたが、本物のエシャロットが輸入されるようになり、紛らわしいので「エシャレット」と名前を変更しました。

島らっきょう

主に沖縄県で収穫される品種。
小ぶりで細長い見た目ですが、強い香りと辛味があり、細いほど辛味が強いようです。

らっきょうの栄養とその効能

らっきょう-らくだ

らっきょう100g(生)当たり83kcalと、らっきょう自体は低カロリーです。
タンパク質:1.4g、脂質:0.2g、炭水化物:29.3g(食物繊維:20.7g・糖質:8.6g)
というように、らっきょうには炭水化物が多いですが、タンパク質や脂質はあまり含まれていません。
参考:文部科学省 食品成分データベース

主な栄養成分と効能を見ていきましょう。

腸内環境を整える食物繊維が野菜類の中でもトップクラス

らっきょうには、100g当たりに食物繊維が20.7g含まれています。
食物繊維が豊富なイメージのあるゴボウが5.7g、大豆が17.1gなので、それより多いということになります。
食物繊維には水溶性と不溶性がありますが、らっきょうにはどちらも含まれています。

100g当たり2.1g含まれる不溶性食物繊維は、大腸の水分を吸収して便を増やす、ぜんどう運動を促進させ便の排出を促すなどの効果があります。

100g当たり18.6gと不溶性より多く含まれてる水溶性食物繊維は、便を軟らかくする、便の滑りをよくするなどの効果があります。
らっきょうに含まれる水溶性食物繊維はフルクタンと呼ばれるものです。
フルクタンには、食後の血糖値の上昇をゆるやかにし、血中コレステロールの低下作用やカルシウムなどのミネラルの吸収促進、余分なナトリウム(塩分)を排出することで高血圧予防などにも効果が期待できます。
血糖値の上昇をゆるやかにする作用を発揮させるには、食前にらっきょうを食べるとよいそうです。

また、食物繊維は善玉菌のエサとなり、善玉菌の増殖を促進させるため、腸内環境の改善にも役立ちます。

老化防止に役立つビタミンC

体内で合成できず、食事から摂取する必要のあるビタミンで、活性酸素を除去する抗酸化作用があります。
コラーゲンの合成に関わり、皮膚のシミ・シワを防ぐ美容効果や関節などの健康を保つ効果が期待できます。
免疫力アップや鉄の吸収の促進やストレスへの抵抗を高めることにも働きます。

むくみや高血圧予防に期待できるカリウム

カリウムはナトリウムと共に体内の細胞を正常に保ったり血圧の調整などに働くミネラルの栄養素です。
摂りすぎたナトリウムの排出を促し、血圧上昇を抑え、高血圧予防やむくみ解消に働きます。また体液のphバランスを保つ役割もあるので、正常な筋肉の収縮や神経刺激の伝達にも関与しています。

皮膚や粘膜を守るナイアシン

ビタミンB群のナイアシンは、糖質、脂質、タンパク質のエネルギー代謝に関わり、皮膚や粘膜・髪の毛の健康を維持するのに役立つ栄養素です。
また、アルコールの代謝にも関わる栄養素で、アセトアルデヒドの分解を助けるので二日酔い予防にも働きます。
熱には強いですが水に溶けやすい栄養素なので、生でらっきょうを食べるようにするとナイアシンがより多く摂れます。

ストレス緩和にパントテン酸

パントテン酸もナイアシンと同じでビタミンB群です。エネルギー代謝や、薬物の解毒に関わっています。
また、パントテン酸は副腎皮質ホルモンの合成に関わっていて、副腎皮質ホルモンはストレスを緩和する働きがあるため、ストレスへの抵抗力を高める効果が期待できる栄養素です。
しかし、熱に弱く水にも溶けやすい栄養素でもあります。

抗酸化作用のある硫化アリル(アリシン・ジアリルスルフィド)

らっきょうの強い香りと辛み。この元は硫化アリルの一種アリシンという成分です。
アリシンには、殺菌作用があるだけでなく、血液をサラサラにし脳梗塞や心筋梗塞の予防、血行をよくし冷え性や血栓の予防、また老化の原因である活性酸素を除去してくれるため、アンチエイジングにも期待ができます。
このアリシンはビタミンB1と結合するとアリチアミンという物質をつくります。
アリチアミンは血中で長時間維持され、ビタミンB1の吸収を高めて疲労回復に役立ちます。ビタミンB1を含む豚肉や鰻・鰹節・豆類などの食材と合わせて食べるなど工夫していただきましょう。
ポークカレーにらっきょうは、とても良い組み合わせなんですね~。

硫化アリルの中にあるジアリルスルフィドという成分にも、抗酸化作用・抗菌作用があります。この成分は酵素の働きを助け、活性酸素を除去する働きがあります。

島らっきょうの栄養価

島らっきょう

主に沖縄県で栽培されている島ラッキョウは強い辛味と香りが特徴。
その分、他の種のらっきょうよりアリシンやカリウム・カルシウム・鉄の含有量が多いそうです。

また、熟成ニンニクに含有されていることで注目の、s-アリル-L-システインも含まれていることが判明しています。
s-アリル-L-システインには強い抗酸化作用があり、高血圧改善やガン、動脈硬化などの生活習慣病の予防、認知症防止にも効果があるのではないかということで、研究が進められています。

らっきょうの選び方

鱗茎がふっくらとして、全体に粒が揃っているもの、色の白いものを選びましょう。
日が当たり緑色に、時間経過で紫色などに変色しているのは少し固くなっているので避けた方がいいですが、これはポリフェノールの一種であるアントシアニンの色素などが出てきているためなので、食べても危険性はありません。

生で売られているらっきょうには、根を少しだけ残し葉の部分は切り取られた状態の「根付きらっきょう」や「泥らっきょう」と、根も葉も綺麗に切り取り、外皮を剥かれた表面も酢水で洗い、すぐに使える状態になった「洗いらっきょう」があります。
洗いらっきょうは下処理が終わっているので手軽で便利ですが、泥らっきょうの方が鮮度は保ちやすいです。

らっきょうの保存方法

洗いらっきょうはそのまま冷蔵庫で保存して、できるだけ早く漬物などに加工しましょう。

泥らっきょうはそのままにしておくと、2~3日ぐらいですぐに切り口が伸びたり芽が出てきてしまいます。
らっきょうの芽はジャガイモのような毒があるわけではないので、食べても問題ありませんが、鱗茎が栄養を取られてしまいます。
ですので、こちらも購入したらできるだけ早く下処理をして食べるか加工した方がよいです。

しかし、時間がなくて直ぐには下処理ができない場合もありますね。
その時は、泥付きのまま新聞紙に包んで冷蔵保存しましょう。
それでもどんどん成育していくので、遅くても3~4日以内には食べるか加工しましょう。

らっきょうは生でも食べられ、葉も食べられる

塩漬けや甘酢漬けで食べられることが多いらっきょうですが、生でも食べられます。
含まれるビタミンやミネラル類には水溶性や熱に弱い栄養素が多いため、むしろ生の方が、栄養を効率よく摂れます。
新鮮な生のまま、味噌や鰹節をまぶして醤油をかけたり、浅漬けで食べたりすると、また違った味わいが愉しめるでしょう。
ただ、刺激が強いようなら無理に食べることはないです。

また、エシャレットを購入したり、葉付きのらっきょうを購入した場合、葉部分も問題なく食べられます。
ニラや青ネギと同じような調理法で、炒め物や餃子の具、味噌汁に入れたり、天ぷらにしても美味しくいただけます。

らっきょうを漬けた後の汁も活用

らっきょうには水溶性の栄養素が多く含まれているため、漬けた後の残った汁に流れ出しています。
これを再利用しないのは、もったいないですよね~。
炭酸水で割って飲んだり、ゴマ油などを加えてドレッシングを作ったり、鶏肉や魚の甘酢煮や甘酢あんかけ、野菜の浅漬けなどに使うと、汁に流れ出した栄養素も摂ることが出来ます。

らっきょう-甘酢漬け

らっきょうは毎日食べてもいいですが、食べ過ぎないように

らっきょうは主食ではなく副食で食べるものなので、あまり食べ過ぎることはないとは思いますが、つい「甘酢漬けが美味しくて」とか「健康に良さそうだから」と食べ過ぎることもあるかもしれません。
含まれるアリシンは、適量であれば内臓の働きを良くしてくれますが、食べ過ぎると刺激が強いため、逆に胃に負担をかけ、胃もたれや下痢をひき起こしてしまう可能性があります。
また、らっきょうの漬物には砂糖や食塩がたくさん使われているので、摂り過ぎにもつながります。

らっきょうは、1日に小さいサイズで5粒、大きいサイズで3粒ほどが推奨されていますので、これを守って食べていくのがベターだと思います。

まとめ

漢方にも使われているらっきょうには、水溶性食物繊維(フルクタン)・ビタミンC・ビタミンB群・アリシンなど、健康維持につながる嬉しい栄養素が豊富に含まれていることが分かりました。

ただし、食べ過ぎは禁物。健康のために食べているのに、具合が悪くなったりしたら元も子もないですもんねぇ。
カレーライスを食べる時、つい、らっきょうを沢山食べてしまう管理人も、気をつけないといけませんね。

島らっきょう-鰹節

出典・参照させていただいたサイト:
青果雑学 らっきょう
旬の食材百科 らっきょう
Kurashiru らっきょうの栄養について知りたい!
Macaroni 効果的な食べ方は?「らっきょう」の栄養

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