今では一年中店頭に並んでいる、使い勝手の良い葉物野菜、小松菜。
クセがないので、定番のおひたしをはじめ、和風でも洋風・中華といろいろな料理に使え、緑の彩りを添えてくれますね。
緑黄色野菜で、あまり知られていませんが生でも食べられるということもあり、栄養価も高いです。
今回は、小松菜に含まれる栄養素とその効能の話を中心に、新鮮なモノの選び方や保存方法などを紹介します。
小松菜とは
小松菜は、アブラナ科の緑黄色野菜。
江戸時代から江戸(東京)の小松川界隈で栽培されてきた、関東地方を代表する漬け菜で、元々は霜に当たると葉に糖分をためて甘みが増すことから、冬場が旬とされています。
昔から、正月に食べる関東風の雑煮に使われてきました。
寒さに強い性質ですが、じつは暑さにも強いので、一年中栽培されているのですね。
料理で同じような使い方がされる葉物野菜にほうれん草がありますが、ほうれん草より葉に丸みがあり根元が白いです。
もう一つ違うところは、ほうれん草はシュウ酸を含んでいるため(水耕栽培で含んでいない物も開発されている)、アク抜きをしなくてはいけませんが、小松菜にはほとんど含まれないので生でも食べられるという利点があります。
小松菜に含まれる栄養素とその効能
小松菜100g(2株ほど)当たり13kcal。
根・茎・葉と全部食べられます(ただし花が開いてしまうとえぐみが出てくるので、蕾のうちまで)。
栄養素も食物繊維をはじめ、ミネラル類は満遍なく、ビタミン類はビタミンD・ビタミンB12以外は全部含まれています。
とくに注目すべき栄養素が、ビタミン類のβ-カロテン(ビタミンA )・ビタミンK・ビタミンC、ミネラル類のカリウム・カルシウム・鉄分、食物繊維です。
ほうれん草も栄養価の高い葉物野菜ですが、それよりビタミンC・カルシウム・鉄分の量が多いです。
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
β-カロテン(ビタミンA)
β-カロテンには強い抗酸化作用があり、身体を酸化させダメージを与える活性化酸素を取り除き、老化や生活習慣病の予防に働きます。
また、体内で必要に応じてビタミンAに変換され、目や皮膚・鼻・喉・消化器などの粘膜の健康維持に働き、暗いところでの視力を保ったり、抵抗力を強める役割があります。
ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンの生成に必須の化合物で、不足すると血管がもろくなり出血を起こし壊血病を引き起こします。
顔色が悪くなる、貧血や筋肉減少・心臓障害・呼吸困難などの症状が壊血病です。
また、皮膚のメラニン色素の生成を抑え、シミ・ソバカス予防や肌にハリを持たせる美肌効果、免疫力をアップさせストレスや風邪予防にも働きます。
ビタミンCにも抗酸化作用があり、老化や動脈硬化などの生活習慣病予防にも有効であると期待されています。
カリウム
カリウムには、ナトリウムとともに細胞の浸透圧を正常に保つ働きがあります。
ナトリウム(塩分)」の摂取が多いと、カリウムが余分なナトリウムを体外に排出するように働き、むくみや高血圧の予防・改善に役立ちます。
カルシウムとビタミンK
カルシウムは、骨や歯の主要な構成成分になるので、不足すると骨粗しょう症の原因になります。
また、細胞の分裂や分化、筋肉収縮・神経興奮の抑制・血液凝固作用の促進などにも関与しています。
カルシウムが骨に沈着するのをサポートし流出を防ぐのがビタミンKです。
ビタミンKには出血時の血液を凝固させる働きもあります。
鉄分
鉄分は赤血球内にあるヘモグロビンの成分となり、酸素と結びついて身体中に酸素を運ぶ重要な働きをします。
不足すると全身に十分な量の酸素を運ぶことができなくなり、貧血や頭痛・倦怠感・めまいなどの症状が引き起こされます。
鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、野菜に含まれる非ヘム鉄は吸収率が低いですが、ビタミンCや動物性タンパク質と一緒に摂取すると吸収率が上がります。
食物繊維
食物繊維には水溶性と不溶性がありますが、小松菜には不溶性が若干多いですが、どちらも含まれています。
不溶性食物繊維には、便の量を増加させて排便を促したり有害物質の排出を助けたりする働きがあり、水溶性食物繊維には、血糖値やコレステロール値の上昇を抑えるという働きがあり、整腸作用が期待できます。
イソチオシアネート
小松菜はアブラナ科の野菜なので、大根やブロッコリ・キャベツなどと同じように、イソチオシアネートを含んでいます。
イソチオシアネートには、肝臓や消化管での解毒酵素を活性化する作用があり、消化促進・殺菌作用、血栓・ガン予防に効果が期待できます。
ただし熱に弱い性質なため、摂取しようとするなら、生で食べるとよいでしょう。
効率よく栄養を摂る食べ方
美味しく食べることが一番なのですが、せっかく食べるのであれば、効率よく栄養も摂りたいですよね。
そのためのポイントをいくつかご紹介します。
下茹でしないで食べる
上記したように、小松菜は生で食べられるくらいアクが少ない野菜なので、アク取りは無用です。
ビタミンCなどは水に溶けやすく熱に弱い性質ですから、洗う時はサッと、茹でたり炒める場合も短い時間で。汁が出る料理は汁ごといただきましょう。
また、洗ってから切るようにしましょう。先に切ってしまうと、そこからビタミンCなどの栄養素が流れやすくなるからです。
ビタミンDを含む食材と一緒に食べる
小松菜にはカルシウムが豊富に含まれていますが、吸収率があまり良くありません。
しかし、ビタミンDがあると吸収を促してくれます。
ビタミンDを含むキノコ類や鮭・サンマなどの魚類、卵などと一緒に食べるようにしましょう。
油で炒めたり油を使ったドレッシングで食べる
前述のビタミンDやビタミンK・β-カロテンは脂溶性のため、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。
ただし、水溶性ビタミン(ビタミンCなど)は熱に弱いため、加熱しすぎないように。
小松菜は生でも食べられますので、油入りドレッシングなどで和えてサラダなどで食べてもよいでしょう。
ツナ缶も鉄分の吸収をサポートする動物性タンパク質の他、ビタミンD・ビタミンK・ビタミンE、そして油も摂取できるので、オススメです。
根部分が付いていたら、そこも食べる
スーパーなどに並んでいる小松菜のほとんどは根元で切られていますが、もし根部分も付いているものを見つけたら、そこも捨てずに食べましょう。
根部分にも栄養がいっぱい詰まっているからです。
新鮮な小松菜を選ぶポイント
小松菜は味にクセがなく、シャキシャキとした歯応えで、生でも美味しく食べることができます。
どの野菜でも、新鮮な方が良いですが、小松菜を生で食べる予定で購入するのならとくに気をつけて選びましょう。
小松菜はもともと冬野菜ですので、気温が低い冬の時期のものは、葉の緑が濃く肉厚になり、甘みも増して美味しくなります。
ですので、一般的には、全体的にみずみずしく、葉の緑色が濃く鮮やかで厚みのあり内側に丸まっているモノ、茎にハリがありピンとしていて軸が太くて立派なものが、新鮮で食べ応えもあり美味しいです。
しかし葉が大きくなり過ぎているモノは、葉脈が発達しており食感が悪いので避けた方がいいでしょう。
根付きのモノがあったら、そちらを購入しましょう。根が付いていると栄養価も高くなりますし日持ちします。
ただ、生でサラダにしたり、サッと火を通しておひたしで食べようとすると固いと感じるかもしれません。
その場合は、まだ葉が小さいモノの方が、繊維が細く柔らかいので食べやすいです。
そして早めに食べるようにしましょう。
保存方法
冷蔵保存
乾燥しないようにキッチンペーパーで小松菜を包み、ポリ袋に入れ、出来るだけ立てた状態で野菜室で保存。
保存期間は1週間程度です。
冷凍保存
しばらく食べないようでしたら、冷蔵より冷凍する方が鮮度が保てます。
水で洗い、水気をよく拭き取ります(水分が残っていると霜になってしまうため)。
使いやすい大きさにカットし、フリーザーパックに入れて保存しましょう。
保存期間は1ヶ月程度。
使う際は凍ったまま加熱調理(茹でたり炒めたり)できます。スムージーに使う場合も凍ったままで大丈夫です。
冷蔵庫に移し解凍するという方法もあります。水分が出てくるため、シャキシャキ感は無くなりサラダには向きませんが、水分をしっかり絞ると、そのままおひたしやナムルで美味しくいただけます。
まとめ
小松菜は、日本が原産の野菜で、元々の旬は冬ですが、今では一年中食べられている葉物野菜。
使い勝手のいい青菜として食卓に上ることの多い小松菜ですが、ビタミン類やカルシウム・鉄分などを豊富に含む、栄養価の高い食材ということが分かりました。
しかも生でも十分美味しくいただけるので、ビタミンCなどの栄養素も壊さず摂取できるという嬉しい野菜でもあるんですね。
出典・参照させていただいたサイト:
シンクヘルスブログ 小松菜の驚くべき栄養成分
wikipedia コマツナ
ふるさと納税 DISC VERY 小松菜は栄養価の高い野菜!
クラシル 小松菜の選び方と栄養素
トクバイニュース 小松菜は生でも食べられる!