爽やかな香りで和製ハーブともいえるシソは、薬味や刺身を飾るツマのひとつとして、地味ですがなにかと活躍している緑黄色野菜ですね。
シソにもいくつか種類がありますが、食用とされているのは赤ジソと青ジソの2種類。
赤ジソは梅干しの色付けやシソジュース、ふりかけ(ゆかりなど)になり、青ジソはソーメンやうどん・冷や奴の薬味や刺身のツマ、天ぷらなどとして活躍しています。
穂ジソや実も刺身に添えられ使用されていますね。
旬は5~8月頃ですが、温室栽培も盛んに行われており、青ジソなどは一年中手に入ります。
スーパーなどでは、青ジソではなく「大葉」という名で売られたいることが多いですが、これは青ジソの葉っぱの部分のみを販売する時に、使われている名称だそうです。
シソは、料理の見栄えを良くするだけでなく、いろいろな素晴らしい栄養素を持っているので、ここではとくに青ジソ(大葉)を中心にまとめてみました。
大葉に含まれる栄養と効能
大葉のカロリーは100gあたり37kcal。とはいっても、シソの葉を一度に100g以上食べることはめったにないですね。
緑黄色野菜に分類されているだけあって、ビタミン(ビタミンB12・Dを除く)・ミネラル類、そして食物繊維などを含んでいます。
参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
青ジソと赤ジソ、見た目の色に違いがあり、含まれる栄養素は多少の量差はありますが、ほとんど違いはないそうです。
主な栄養素を紹介します。
β-カロチン
緑黄色野菜い多く含まれるβ-カロチンですが、シソに含まれるβ-カロチン量はそのなかでもトップクラスです。
β-カロチンは脂溶性ビタミンで、体内で必要量に応じてビタミンAに変換されます。
ビタミンAは、発育の促進などに働きますが、なかでも肌や粘膜の健康を維持し最近から体を守ったり、目の網膜を調整し視覚の暗順応に関わっています。
そのような重要な役割を持つビタミンAですが、レバーやうなぎ・卵やチーズなどにも含まれていて、摂取過剰も気をつけないといけない栄養素です。その点、緑黄色野菜のβ-カロチンは、必要な量だけビタミンAに変換されるので、摂取過剰の心配はありません。
脂溶性ビタミンなので、揚げ物にしたり油で炒めたりする料理で吸収率を高めることができます。
ビタミンB群(ビタミンB12を除く)
ビタミンB群は水溶性ビタミンなので、たくさん摂取しても尿中に排泄されるので、こせも摂取過剰を心配しなくてもよいですが、そのため毎日コツコツ摂取したい栄養素です。
ビタミンB群は、摂取したタンパク質・脂質・糖質のエネルギー代謝を助ける補酵素です。これが無いと、いくらタンパク質・脂質・糖質を摂ったとしてもパワーにならないので、大事なビタミン。
その他にも正常な赤血球の生成をサポートしたり口内炎や肌荒れの改善などに働きます。
ビタミンE
ビタミンEはビタミンC、ビタミンAで「ビタミンACE(エース)」と呼ばれている抗酸化作用のあるビタミン。活性酸素による弊害から体を守っています。
しそにはビタミンEだけでなく、ビタミンCや体内でビタミンAに変換されるβ-カロチンも含まれています。
ビタミンEは、主に細胞膜の脂質が酸化するのを阻止する効果が望めます。
カリウム
カリウムはナトリウムと共に体内の細胞を正常に保ったり血圧の調整などに働く栄養素です。近年の食生活はナトリウム(塩分)摂り過ぎ傾向にあり、増えてしまったナトリウムの排出を促し、血圧上昇を抑えます。
塩分を摂りすぎると、体内の塩分を薄めるため多めに水分を摂ってしまったりしますが、それがむくみの原因のひとつです。
カリウムは高血圧予防やむくみ解消に働き、また体液のphバランスを保つ役割もあるので、正常な筋肉の収縮や神経刺激の伝達にも関わっています。
カルシウム
丈夫な骨や歯を維持するのに必要な栄養素なカルシウムの含有量も多いです。
カルシウムは骨や歯を作るだけでなく、1%ほどが体液の中にあり、神経の働きや筋肉運動、出血を止めるなど生命維持にも重要な働きをしています。
体液の中のカルシウムが少なくなると、骨や歯に貯めていたカルシウムを使おうとするので、骨がスカスカになります。これが骨粗しょう症の原因です。
年齢が上がるにつれ、カルシウムの吸収がされにくくなっていくので、積極的に摂取することを心がけることが大切だそうです。
カルシウムの吸収を促進するビタミンDやマグネシウムも一緒に摂るようにしましょう。
ビタミンDは日光浴をすると増えるそうですが、多く含まれているキノコ類や魚類と一緒に食べると効率的です。
また、日頃から丈夫な骨作りのために適度に運動をすることも大切です。
鉄分
鉄分は血液中で酸素を運ぶヘモグロビンの成分で、血流の流れをサポートします。
シソの鉄分は非ヘム鉄という吸収されにくい種類の鉄分ですが、ビタミンCがあると吸収率が高まります。シソにはビタミンCも含まれているので一緒に摂ることができます。
抗酸化作用のある、いろいろなポリフェノール
ポリフェノールは光合成により植物にできる成分で、種類により色素や苦味、香りの元になります
爽やかな香りの成分はペリルアルデヒド
臭覚を刺激して胃液の分泌を促し、弱った胃の働きを回復させ、食欲を増進させる作用があります。
シソを細かく切るほど香りが引き出されるそうです。
強い防腐作用や殺菌効果もあり、刺身や寿司などに添えられているのは見栄えを良くするためだけではなく、臭みとりや食中毒を防止する役目を果たすためだそうです。
アレルギー反応を抑える働きも期待されるロスマリン酸
ローズマリーから発見されたことでこの名前のロスマリン酸は、シソ科ハーブ類の植物に多く含まれています。
抗酸化作用や抗炎症作用の働きから、老化による脳機能の低下を防いだり、脳の健康を維持する効果などが期待されています。
また、アレルギー症状を引き起こす原因であるヒスタミンの遊離の放出を抑える作用があることから、花粉症やアレルギー性の鼻炎や喘息などや関節炎を和らげる効果が期待できます。
これにも抗菌作用や抗ウイルス作用があるので、免疫力を高めたり生活習慣病予防にも効果が期待できます。
同じシソ科の「えごまにも含まれているそうです。
赤ジソの赤はアントシアニン
抗酸化作用のあるポリフェノールとして、アントシアニンは有名ではないでしょうか。
赤ジソの赤はシソニンと呼ばれるアントシアニンです。
酸と反応すると赤く発色するので、その性質を利用して梅干しやシバ漬け・紅ショウガなどの色付けに利用されていますね。
ただ赤色に染めて見た目も美味しそうにするだけではなく、梅干しなどを作る時に赤ジソを入れるのは、アントシアニンをはじめシソの持つ抗酸化作用や防腐・殺菌作用で保存性を高めることを知っていて、昔から利用してきたのでしょうね。
種にも栄養が
シソの種にも、ポリフェノールのロスマリン酸やルテオリン、そしてα-リノレン酸(オメガ3系脂肪酸)が含まれています。
これらは抗アレルギー成分で、アレルギー反応を抑える働きに期待ができます。
新鮮なシソの選び方
家庭菜園で育てている方は使う分だけ穫ればよいですが、シソは傷みが早いので、スーパーなどで購入する場合は、できれば使う分だけ購入するのがよいと思います。最近では店でも、1袋に大葉5枚入りなど少量で売られていたりしますし。
選ぶ時は、軸から葉先までピン!としていて、大葉なら緑色が鮮やかに濃いもの。
切り口が茶色っぽかったり、黒い斑点が見えるものは、収穫から時間が経っている可能性があるので避けましょう。
鮮度が落ちると葉の水分が抜け始めます。袋やパックに水分がないものを選びましょう。
保存もできます
冷蔵保存
残ってしまったら、高さ10cmほどの瓶に少量の水を注ぎ入れ、大葉の軸を下にして挿し、ラップで口を塞ぎ冷蔵庫の野菜室で保存します。その時、葉部分が水にふれていると傷みやすいので、ふれないように注意しましょう。3日に一度水を取り替えると2~3週間は日持ちするそうです。
瓶が無い場合は、葉が乾燥しないように水に湿らせたキッチンペーパーで包み、密閉容器やビニール袋に入れ保存しましょう。
冷凍保存
ざく切りやみじん切りにしフリーザーパックに入れ冷凍保存もできます。使う時は凍ったままパスタやサラダに加えるとよいそうです。
食事に取り入れやすいシソ
考えてみたら、梅干しやシバ漬けにも使われていて、薬味としても頻繁に食卓に登場しているシソ。
薬味好きのにこぴんは、ソーメンなどを食べる時にも、ソーメン食べてるのか薬味食べているのか分からないほど一杯入れてしまうのですが、それはそれで良いのかもしれません。
添え物のようで派手さはないですが、香りが良いだけでなく、殺菌作用やアレルギー反応を抑える働きなど、アンチエイジングや健康維持に効果が期待できる成分が豊富に含まれていることが分かりました。
無理しなくても、赤ジソ付きの梅干しやシソジュースを飲んだりするのは、毎日でも手軽にできますね。
美味しく食べて、風邪や夏バテ予防にも役立てましょう。
ただし、まれにハーブの一種であるシソにも「シソアレルギー」というものがあるそうなので、食べて「あれっ、体調がおかしいぞ」という方がいたら注意が必要です。
出典・参照させていただいたサイト:
Woman excite 紫蘇
たべるご 紫蘇
BOTANUCA 赤紫蘇の効果・効能
KAGOME VEGEDAY しその保存