豚肉の部位による含まれる栄養素や味・食感の違い。豚トロやこま肉はどこの部分?

ポークステーキ-2 畜産物

店には豚肉のいろいろな種類が並べられているので、どれを買ったらいいのか悩んだことはありませんか?
近年では海外(韓国など)料理や沖縄料理の人気の高まりを受け、専門店だけでなく一般のスーパーでも、ミミや豚ソクなども見かけるようになってきていて、種類もますます増えてきました。
豚も牛や鶏と同じように、部位により含まれる栄養素や味・食感が違います。
そこで、それぞれの部位の特徴や、それに適した料理などについてまとめてみました。
また、最近人気の「豚トロ」もどこの部位なのか?も調べてみましたのでご紹介します。

一般的に食肉として売られている部位

一般的に食肉として売られている部位は「あまり違いがない」と言われたりしますが、食べ比べてみると、それぞれ脂肪やタンパク質などの含まれる量が違うこともあり、味や食感にも違う特徴があります。
好みで使い分ける時の参考にしてもらえると嬉しいです。

豚肉-部位-イラスト

ロース

外側にほどよく脂肪がついていて甘みや旨みがあります。キメが細かくて柔らかく、厚切りや薄切りにして売られているので、幅広く料理に使える部位です。
トンカツやステーキに最適です。ちなみに調理の下準備に筋切りをしておくと、加熱した時に肉が縮まず火が均一に通ります。
焼豚やロースハム、しゃぶしゃぶでも美味しくいただけます。

カタロース

赤身の中に脂肪が編目状に入っており、ロースより脂肪が多く、コクのある濃厚な旨みを味わえます。
トンカツやステーキもいいですが、生姜焼きなどの炒め物、シチュー・煮豚など、ここもほとんどの料理に適しています。

カタ(ウデ)

運動量の多い部位なので、赤身が多く筋肉質でやや硬めです。筋肉間に脂肪が多少入っているので、味は濃く旨みが凝縮されています。
角切りで長時間煮込むとコラーゲンがゼラチン化して柔らかくなるので、シチューなどの煮込み料理や濃い味付けの料理がオススメ。
薄切りのものは、豚汁や焼肉、炒め物などに適しています。

ヒレ

1頭から800g~1kgしかとれない貴重な部位です。
豚肉の部位の中でも一番キメが細かく脂肪もほとんどないので、あっさりとした上品な味で、疲労回復に役立つビタミンB1が一番多く含まれる部位です。
肉はとても柔らかく、カツやソテーなど油を使った料理にすると、ロースとはまた違った美味しさを味わえます。あっさりしているので、茹でてサラダにするのもヘルシーです。

バラ

赤身と脂身が交互に重なり三層になっていることから「三枚肉」とも呼ばれてる、肉質が柔らかい部位。
あばら骨周辺にある部位なので、骨つきのものはスペアリブとして料理されたりします。
脂の比率が高いので口当たりはすべらかで、濃厚な脂の甘みを味わえます。
かたまり肉は角煮や焼豚、シチューや酢豚、スライスしたものはしゃぶしゃぶや豚汁、豚キムチなどの炒め物にも向いています。ベーコンになるのもこの部位です。

モモ

キメが細かい、よく動く筋肉のかたまりの赤身肉。脂肪が少ないので、あっさりとした味わいです。タンパク質やビタミンB1が多く含まれている部位ですが、煮込むとパサつきやすい部位なので、薄切りでしゃぶしゃぶや炒め物で食べることが多いです。
かたまりのまま、低温調理のローストポークにするのもオススメです。

外モモ

モモより肉のキメはやや粗く歯ごたえがあり、肉色も濃いめの赤身肉です。
薄切りにすると、モモと同様に美味しくいただけます。

スネ

運動量の多い部位なので筋が多く硬めですが、煮込むと旨みが出てきて柔らかくなるので、煮込み料理に適しています。
ひき肉になることも多く、ハンバーグやキーマカレー・ミートソースにするとコクが出てきます。
スネ肉は肉の決着力が強いのでハンバーグなどに使用すると、上手くまとまるそうです。

タン

名前のとおり舌の部分です。豚肉の部位のなかではモモ肉と同じくらいのカロリー。
根元の方が脂肪が多いので柔らかく、タウリンの含有量が多いそうです。
全体的には筋肉などを作ったり維持するのに欠かせないタンパク質や、糖質の分解に関与するビタミンB1も含まれているので、食べ過ぎなければダイエットに効果的な部位。
牛タンより低カロリーで、食感はそんなに変わらないのに値段が比較的安いです。

豚ソク

スネからつながる足の部分。肉は少なく、皮と筋・軟骨の多い部位ですが、美容にも効果が期待できるゼラチン質のコラーゲンをたくさん含んでいます
店に並んでいるものは、処理をされたものが大半。表面にツヤと弾力があり、身が白みがかったもの、毛の処理がしっかりされているものが良品なので、それをチェックして選ぶようにするとよいそうです。

豚肉の希少部位

豚肉-ミミ

ミミ

軟骨のコリコリとした食感とゼラチン質のコラーゲンが美味しい部分。
最近では一般のスーパーでも、ボイルしたものをスライスして沖縄料理の「ミミガー」として売られていることも多くなりました。
下処理してボイルされているものは、スープにしたりそのままポン酢や酢みそなどで和えたり、サラダにトッピングしたりして食べます(すでに味付けもされているものもあり)。
専門店などで生を買った場合は、下処理(洗って毛抜きなど)をして、必ずボイルしてから調理しましょう。

ランプ

ロースのお尻側とモモの間にある、キメ細かいロースと柔らかいモモのいいとこ取りをしたような部位。
ランプとして分けられることがあまりなく、流通量はまだまだ少ないですが、人気が出てきているので一般のスーパーでも見かけるようになってきています。
肉質が柔らかく、比較的にあっさりした赤身肉なので、脂っこいのが苦手、あるいはダイエットしたい人にも食べやすい部分です。
ロースと比べるとリーズナブルなので、カレーやシチューなどの煮込み料理、トンカツやステーキ、焼肉などいろいろな料理で食べられます。
脂肪の少ない部位なので、バターなどを使って焼いたりすると程よい脂分になるそうです。

ハラミ

内臓の横隔膜の部分で、「ツナギ」とも呼ばれています。
バラ肉にくっついている部分で、ハラミとして分けて売られていることが少ないので希少部位となっています。
赤身肉で鉄分を含み、脂肪が少なく低カロリー。柔らかくて、赤身のジューシーな旨みがあります。

ホルモン(内臓)部分

内臓部分は全体的にビタミンやミネラル分が豊富で、栄養価が高いのが特徴です。

レバー

レバーは内臓の肝臓の部分で肝とも呼ばれ、「栄養の宝庫」と呼ばれています。
特にビタミンAやビタミンB1、吸収率の高いヘム鉄、造血に関わるビタミンB12や葉酸が豊富です。
昔から「貧血予防にレバーを食べたらいい」とよく言われていますね。
豚のレバーは牛よりも低脂肪で、弾力がありしっかりとした食感が特徴。レバニラ炒め、揚げ物などで食べられています。
表面にツヤがありプリプリとした弾力があるのが新鮮。牛や鶏のレバーは加熱しすぎるとパサパサになるので焼き過ぎない方がよいですが、豚レバーは加熱しすぎてもあまり味が変わらないです。それに生状態だとかなり危険なため、しっかり奥まで火を通してから食べるようにしましょう。

ハツ(心臓)

脂肪が少なくサッパリとした味わい。クセや臭みもほとんどなく、筋繊維なのでシャキシャキとした食感。

ガツ(胃)

ここも脂肪が少なく、クセや臭みのない食べやすい部分。やや硬めなので、コリコリとした歯切れのいい食感です。

ヒモ(小腸)・ダイチョウ(大腸)

ヒモは薄くて細長くやや硬め。
ダイチョウはヒモよりやや太く、コシのある歯ごたえ。割いたものはサキ、開かずにぶつ切りしたものはシロコロと呼ばれています。
焼いたり加熱すると味わい深くなります。

カシラ

こめかみから頬にかけての部分。よく動かす部分なので筋肉が発達し、脂肪は少なくやや硬めの食感ですが、よく噛むと旨みが出てきます。

豚トロ(ピートロ)とは、どこの部位?

豚トロ

近頃、焼肉店だけでなくコンビニなどでも見かけるようになっている豚トロですが、どこの部分かご存知でしょうか?
豚トロは、バラやモモのような「部位名」ではないのだそうです。
店などによって少し部分が違うようですが、だいたいネック(首)のあたりからコメカミにかけての肉のようで、一頭の豚から300~500gしかとれない希少部分になります。
脂の乗り具合や色などが、ちょうどマグロのトロに似ているということで「豚トロ」と呼ばれるようになったとか。
ネック(首)のあたりはほとんどが脂なのですが、わずかに赤身があり、よく動かしている部分なので、とろける脂を味わいながらも、意外にさっぱりとしていてコリコリとした歯ごたえがあります。
脂が美味しい部分なので、焼肉にしたり、野菜と一緒に炒めたりして食べられています。
「トロ」と呼ばれていますが豚肉なので、よく火を通してから食するようにしましょう。

こま切れ肉、切り落とし肉、ひき肉とは?

豚汁

肉店やスーパーなどで「こま切れ肉」あるいは「豚こま肉」と表示されて売られているものがありますね。
価格がリーズナブルで、一切れが小さくて調理する時も包丁で切らなくてもそのまま使えるので、時短にもなり便利ですよね。
こま切れ肉は、豚肉をカット整形する時に出る部分を集めた切れ端肉なのだそう。
カタやモモの部位が多いですが、肩ロースやロース部分が入ることもあるそうです。
切れ端肉なので、一切れが小さくて値段が安いのですね。
カタやモモ・ロース部分などが混ざっているので、様々な料理に使え、一度にいろいろな部位の旨みや食感が楽しめるのが嬉しいポイント。
(ただし、「モモこま切れ肉」等の表示で売られている時もあります。これはモモ部分だけということになりますね。切れ端肉なので、日によって出る量が違うからでしょうね。)
ちなみに、全体的に赤身が多いこま切れ肉はカタ部分がメインで、淡いピンク色のこま切れ肉は、モモやロース部分が多いことになりますので、作る料理によって選び分けたらよいようです。

切り落とし肉は、同じ部位の半端部分を集めた切れ端肉で、一切れの大きさが薄切り肉よりは小さいですが、こま切れ肉より大きいです。「バラ切り落とし」などの表示で売られていますね。

ひき肉は、そういう切れ端肉や、カタ・スネなどの硬くてそのままでは食べにくい部分で作られていることが多いそうです。

骨付き肉には、旨みがいっぱい

豚肉-スペアリブ

骨から出汁をとる豚骨スープなどでおなじみなように、骨や骨の周りの肉には旨みがいっぱい詰まっています。

スペアリブは肋骨とそのまわりの赤身肉のことで、適度に脂肪があり、食べ応えのあるジューシーな部分。
料理にするとゴージャスな感じになるので、バーベキューやホームパーティなどでも重宝しますね。
骨から出汁がでるので、煮込料理も美味しいですが、タレに漬け込みオーブンで焼たものも人気です。
豪快にがぶりつきましょう♪。

豚肉は必ず加熱してから食べましょう!

牛や鶏もですが、豚の肉や内臓を生で食べるとE型肝炎ウイルスに感染する恐れがあるそうです。
また、サルモネラ属菌やカンピロバクター・ジェジュニ/コリ等で食中毒が発生する危険もあります。
どんなに新鮮なものでも関係なくリスクがあるそうなので、必ず中心部までしっかり加熱してから食べるようにしましょう!
せっかく美味しいものを食べても、その後具合いが悪くなったら辛いですからね~。

出典・参照させていただいたサイト:
高原町 豚肉の部位と特徴について
ハイライフポーク 部位の特徴
ナンチク 肉の部位のご紹介
厚生労働省 豚のお肉や内臓を生食するのは、やめましょう

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