鶏肉の栄養素と効能。タンパク質の他にも栄養が。部位によりちょっと違う

鶏肉-唐揚げ-レモン 畜産物

お惣菜屋や居酒屋でも、焼き鳥や唐揚げなど鶏肉を使った料理は定番ですし、鶏肉は牛肉・豚肉より比較的安価なこともあり、よく食卓にも出てくる食材ですよね。
胸肉を蒸して真空パックで売られているサラダチキンも、パックから出しただけで食べられるお手軽さに加え、高タンパク質で低脂質・低カロリーということで人気があります。

でも鶏肉の栄養素はタンパク質だけではありません。他にも美容や健康に役立つ栄養がいろいろあるようです。
また、部位によっても含まれる栄養素が若干違ってきますので、一緒に紹介いたします。

鶏肉には良質なタンパク質が豊富

鶏肉-親子丼

鶏肉のタンパク質は、必須アミノ酸をバランスよく持っているアミノ酸スコア100という良質なものです。

アミノ酸スコア100とは

タンパク質は体の筋肉や臓器、皮膚、血液、髪の毛などを作る大切な材料になります。
食べ物として摂取した後、体内でアミノ酸に分解されて蓄えられます。そして必要に応じていくつかのアミノ酸が結びつき再合成され、それぞれ体の中で利用されています。

人間の体に必要なアミノ酸は約20種類。その中で体の中で合成できない9種類のアミノ酸を必須アミノ酸といい、食事から摂る必要があります。その9種類のアミノ酸がすべて揃っていないと体の中でうまく利用されないそうです。
それがすべて100%以上揃っているのがアミノ酸スコア100で、良質なタンパク質とはそういうタンパク質のことをいうのだそうです。

細胞は少しずつ生まれ変わっているので、タンパク質は毎日十分な量を摂らなくてはいけない栄養素。
鶏肉のタンパク質は消化吸収率も優れているそうです。

必須アミノ酸のメチオニン

鶏肉の豊富に含まれる必須アミノ酸のメチオニンには、肝臓の老廃物や毒素を体の外へ排出し、肝臓に脂肪がたまるのを防いで肝機能を保護してくれる働きがあるといわれています。また抗酸化ミネラルであるセレンを運搬する役割があり、アンチエイジングにも効果が期待できます。

必須アミノ酸のトリプトファン

別名「しあわせホルモン」と言われるセロトニンや、睡眠を促すメラトニンの生成の材料になるのがトリプトファン。
摂取したトリプトファンは、日中はセロトニンに変化し、夜になるとメラトニンに変化して、精神的ストレスの軽減や睡眠の質改善に役立ちます。
また、ビタミンB群の一つであるナイアシンの合成も行います。

イミダゾールジペプチド

鶏肉の筋肉に含まれるイミダゾールジペプチドという成分が疲労回復に有効だといわれています。

疲労は運動などによって体内に発生した活性酸素が細胞にダメージを与え、エネルギー生産を低下させることにより起こります。
イミダゾールジペプチドには抗酸化作用があり、活性酸素の働きを抑え、疲労回復を促す効果があるそうです。
人間の体内でも生成されますが、加齢とともに減少するので、外から摂取することが必要になっていきます。

脂質

昨今は脂肪摂り過ぎが問題になっていて悪者扱いをされてしまう脂質ですが、毎日のエネルギー源であり細胞膜の構成成分の供給のために、必要な栄養素です。

鶏肉にも脂肪はありますが、牛や豚と比べると低脂肪。

摂取する脂肪酸の理想割合も、飽和脂肪酸不飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸不飽和脂肪酸・多価不飽和脂肪酸3:4:3とされていますが、牛が3.0:3.8:0.4、豚が3.0:3.8:1.1、鶏肉の割合は3.0:4.4:1.6なので、牛・豚・鶏肉の中では一番理想に近いと言えそうです。
一価不飽和脂肪酸とは、主にオリーブオイルなどと同じオレイン酸で、血液中のLDLコレステロールを下げる効果があるとされています。
多価不飽和脂肪酸は体内で合成出来ないため必須脂肪酸とも呼ばれ、鶏肉に主に含まれるリノール酸は、動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げたりLDLコレステロールを下げるなどの作用があります。

ビタミンA

脂溶性のビタミンAは抗酸化作用が高く、皮膚や粘膜の新陳代謝を促し免疫力を高める働きがあります。また目の健康維持にも役立ち、薄暗いところでの視力を保つ働きもあります。

ビタミンB群(ビタミンB1・B2・B6、ナイアシン・パントテン酸・ビタミンB12)

水溶性のビタミンで、糖質・脂質・タンパク質を体内でエネルギーに変えるなど代謝を支える重要な役割があります。
そのため、皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きもしています。

別名ビタミンB3とも呼ばれるナイアシンは、アルコールを分解する酵素の働きをサポートするともいわれ、二日酔い予防にも役立ちそうです。

セレン

抗酸化酵素の活性化を助け、体内の酸化を防止する作用のあるミネラルです。アンチエイジングや免疫低下防止に役立ちます。

ヘム鉄

鉄は、血液中で体内の各組織に酸素を供給する役目を担っているヘモグロビンを作るという大事な働きがあります。

食品に含まれる鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類がありますが、肉や魚の鉄はヘム鉄です。ヘム鉄は非ヘム鉄より体内に吸収されやすいとされています。

鶏肉の部位ごとの特徴や栄養素

鶏肉にはムネ肉やモモ肉、ササミ、レバー、皮など様々な部位があります。
その部位によって特徴や含まれる栄養素は、大きくは変わりませんが若干違いますので、まとめてみます。

鶏肉-部位-図-大

セセリ

首の部分の細い筋肉で、よく動かしている部分なので、ジューシーで噛めば噛むほど味わいが出てくる部位。

糖質はほとんどありませんが、脂質も適度にあり、カロリーやコレステロールはやや高めです。
タンパク質、ビタミンB群のひとつナイアシン、ビタミンB2なども含まれています。

ムネ肉

胸の部分の肉で高タンパク質で低脂肪、糖質ゼロ。クセや臭いが少なくあっさりとした味。旨味成分であるイノシン酸の量が多いです。

ビタミンA、ビタミンB群、止血効果や骨粗鬆症予防に有効なビタミンKなどが含まれています。
疲労回復に期待が持てるイミダゾールジペプチドの量も多いです。

ササミ

肋骨あたりの肉。肉質は軟らかく淡白な味わい。

カロリーが低く、高タンパク質で脂質はほぼ無く糖質ゼロです。
ビタミンは豊富でビタミンA・C・K、ビタミンB群などが含まれています。
イミダゾールジペプチドも多い。

モモ肉

脚の根元部分の肉。味にコクがあり、ほどよく脂肪がありジューシーで噛みごたえもあります。
旨味成分のグルタミン酸を含むアミノ酸含有量はムネ肉より多く、それが味にコクを与えているようです。

含まれる脂肪は主に不飽和脂肪酸で、血中コレステロールを抑え血栓予防効果が期待されます。
また、タンパク質、鉄分、ビタミンB群、セレンが含まれています。糖質はゼロです。

ハツ

心臓部分。筋肉の繊維で構成されているのでプリプリとした歯ごたえがあります。

鶏肉の部位の中では割と高カロリーですが、脂質・タンパク質・鉄分・ビタミンA・ビタミンB群と栄養素の多い部位です。

鶏肉-焼き鳥

レバー(肝臓)

独特の風味があり好き嫌いが分かれる部位ですが、牛や豚ほどの臭みがなく、旨味と柔らかい食感を楽しめます。

鶏の部位の中でトップクラスの栄養素があり、鉄分・銅・葉酸など、血液を作ったり酸素をスムーズに運んだりする栄養素も豊富なので、貧血予防に期待がもてます。
他にも、タンンパク質・セレン・ビタミンB群(特にナイアシン)・ビタミンA・亜鉛などが含まれています。

砂肝

筋胃の部分。コリコリとした硬い食感。

ほとんどが筋肉で出来ておりタンパク質。脂肪はほとんど無く糖質ゼロです。
皮なしムネ肉やササミより低カロリー。
他にも亜鉛・ビタミンK・ビタミンB12・鉄分が多いですが、コレステロールは高めなので食べ過ぎに注意しましょう。

手羽元・手羽中・手羽先

手羽元は羽の根元部分、手羽先は羽の先端部分です。
脂肪分もあり味も濃厚。骨が付いている部分でよい出汁が出るので、煮込み料理としても美味しい。

タンパク質、それも皮膚や軟骨を構成する成分のコラーゲンが豊富です。シワ・たるみ対策の美容成分として有名ですね。
他は、ビタミンB群のひとつナイアシン、ビタミンK・ビタミンA、軟骨成分のコンドロイチンも含まれています。

コラーゲンやコンドロイチンは水溶性で水に溶けやすいので、煮込み料理の場合は汁ごといただくと栄養を逃さず摂ることができます。

ぼんじり

しっぽの部分。よく動かす部分なので筋肉が引き締まっており、脂が乗っていてプリプリとした食感。

脂肪と糖質も少し含まれているため、皮の次にカロリー高めですが、1羽から少ししか取れないので希少な部位です。
タンパク質(コラーゲン)、ビタミンKなども含まれています。

ヤゲン軟骨 ・ヒザ軟骨

コリコリとした食感の鶏軟骨。

脂質は少なく低カロリー。タンパク質(コラーゲン)やビタミンB群、ビタミンC・E・Kやミネラル(特にカルシウム)と、栄養満点な部位です。

皮膚の部分。脂質が多いので、部位としては一番カロリーの高い部位になります。

カロリーは高いですが、含まれる脂質は不飽和脂肪酸が多いので、体内で固まりにくいそうです。
コラーゲンやビタミンB群・ビタミンKも多く、ビタミンAも皮の裏に豊富に含まれています。

全体的に高タンパク質、低カロリー。ほとんど糖質が無い

鶏肉-スープ

こうやって調べてみますと、鶏肉の栄養は部位により多少の違いはありますが、全体的に高タンパク質、低カロリー。糖質がほとんど無いことが解りました。

皮にもコラーゲンなど美容や健康に役立つ栄養素が多く含まれているんですね。
脂質が多いとカロリーは上がりますが、まろやかな風味やなめらかな舌触りを作りだします。
よく「ダイエットするなら、ムネ肉やもも肉・手羽元の皮ははがして食べましょう」という記事を見ますが、それで味が淡白で物足りなくなり、調味料に油や糖分の多いものを使ったり油の多い料理にしたり、ごはんなどを沢山食べるのでは、皮を捨てる意味がなくなってしまいます。

鶏肉だけではなく、全体的な料理の栄養でバランスを取りながら食事していくことが大事ですね。

美味しい鶏肉の選び方・保存方法

牛肉などは10日~2週間熟成させたものが美味しいと言われていますが、鶏肉は傷むのが早いので、買ったらすぐ冷蔵庫に入れ、2~3日で食べるようにしましょう。

選び方としては、肉に厚みや弾力があり、透き通ったピンク色をしているもの。パックに入っている場合はドリップがたくさん出ているものは避けましょう。
皮付きの場合は、毛穴が盛り上がり皮全体にしわが多くちりめん状のものが新鮮です。

レバーは、表面がみずみずしく黒ずみがなく光沢があり弾力のあるもの。レバーは特に鮮度が落ちやすいので、注意して購入しましょう。

鶏肉とのおすすめの組み合わせ

チキン-サラダ-トマト

コラーゲンの生成にはビタミンCや鉄が必要なので、ビタミンCを多く含むレモンやパプリカ・ブロッコリーなどの野菜や、鉄分を多く含むひじきや卵・大豆・ほうれん草などを一緒に摂るとよいでしょう。

レモンですが、店で唐揚げを頼むとよく付いてくるので、かける派とかけない派で話題になったりしますが、できればかけた方がよいようです。
一つはレモンの爽やかな酸味が油っこさを軽減させてくれること。
もう一つはレモンにはビタミンCの他にクエン酸も含まれているので、消化吸収を穏やかにしてくれる作用があるそう。消化が穏やかになると血糖値の上昇も穏やかになります。

胃腸の調子が気になる時は、健胃効果のあるキャベツやトマト・大根との組み合わせがオススメです。

キャベツの栄養素と効能。アブラナ科のキャベツには、キャベジンをはじめビタミンやカリウム・カルシウムが豊富
古代から胃腸の調子を整える健康食として食べられてきたアブラナ科のキャベツには、ビタミンC・K、葉酸、β-カロテン、ルテイン、キャベジン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなどが豊富に含まれていて、その栄養を摂るには生で食べるのが一番。

出典・参照させていただいたサイト:
SATETO たべもののきほん
わかさの秘密 メチオニン
macaroni 鶏肉の栄養
情報整理の都

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