牛肉の栄養素と効能|バランスのとれたタンパク質とアラキドン酸で至福のひと時を

牛肉料理 畜産物

スタミナをつけたい時、一日の仕事が終わり疲れている時などに、無性に「肉が食べたい!」と思うことはありませんか。それも塊肉を!!(笑)

それは体が「肉」に含まれる成分を、無意識に欲しているからです。

ステーキや焼肉を食べている時、ほとんどの人は幸せそうな表情をしていますが、実際その時、脳の中には幸せホルモンが分泌されているのだそうです。

その「幸せ」を感じさせ、元気にしてくれる成分の話を含め、今回は牛肉の栄養素と効能を紹介していきたいと思います。

牛肉には良質な動物性たんぱく質が豊富

部位によりばらつきがありますが、輸入牛肉のバラ(脂付)のカロリーは100gあたり371kcalほど。霜降りが美しい和牛は517kcalほどになります。
タンパク質・脂質、ビタミンB1・B2・B12、ミネラルも鉄分・亜鉛・リンなどが豊富です。

牛肉-すき焼き

タンパク質は、筋肉や臓器・皮膚や髪など人間の体を作り、血管をしなやかにし免疫力を高めたり、エネルギー源にもなる大切な栄養素です。
口に入れたたんぱく質は、アミノ酸やアミノ酸がつながったペプチドに分解され体に取り込まれた後、必要なたんぱく質に再形成されます。筋肉や臓器・皮膚や髪など、同じたんぱく質なのに形が違うのはそのせいです。

体内のたんぱく質は約20種類のアミノ酸からできていて、その中で体内で作ることができず食品から摂らなくてはならないものが9種類あり必須アミノ酸と言われていますが、牛肉のたんぱく質にはその全てが含まれています。
牛や豚は人間と同じ動物なので、動物性たんぱく質は人間が必要としているアミノ酸をバランスよく持っていて、植物性たんぱく質よりも効率がよく、どの調理方法でも損失がほとんどないというメリットもあります。

必須アミノ酸の中にロイシンというものがあります。これには筋肉の分解を抑制し合成を促進する機能があることが明らかになっています。

運動をすると、まず筋肉が分解されエネルギー源になるそうですが、ロイシンが体内にあると、運動しても筋肉が分解されにくいということです。夜寝ている間も筋肉の合成を行なうのだそうです。
筋肉が大きくなると基礎代謝量も大きくなるので、太りにくい体づくりにつながります。

牛肉の脂肪酸の約半分が、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸

「牛肉の脂肪には飽和脂肪酸が多いので、高カロリーで太るかも・・・」と、にこぴんはずっと勘違いをしていましたが、牛肉(豚肉もですが)の脂肪酸の約半分は、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸なのだそうです。
輸入肉より和牛の方がカロリーが高いのは、あの霜降りでも分かるように脂肪が多いからですが、その分オレイン酸量も増えているのだそうで、食べると「口の中でとろける〜」と思うのも、融点の低いオレイン酸が溶けるからだそうです。

オレイン酸というと、健康にいいからと最近よくオススメされているオリーブオイルに主に含まれている脂肪酸。
善玉(HDL)コレステロールの量を変えずに悪玉(LDL)コレステロールを減らし、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病を予防する効果が期待できる脂肪酸です。

人間の皮脂成分の約40%はオレイン酸で構成されているそうです。

脂肪の摂取を極端に減らすと、女性ホルモンの1つエストロゲンが減少します。エストロゲンには肌や髪のうるおいを保ったりコラーゲンを増やしたりコレステロール値の調整をする働きがあるので、減少するとお肌がカサカサになったり、シミ・シワが増えたりします。
また、更年期を迎えた女性はエストロゲンが減ってしまいます。エストロゲンには動脈硬化や骨粗しょう症を予防する働きもあるので、脂肪を摂取し補うことは、女性ホルモンのバランスを整える上でも大事なことなのだそうです。

これまで血清コレステロールを増やすとされていた飽和脂肪酸のステアリン酸にも、コレステロールの上昇がなく、それどころか、悪玉(LDL)コレステロールを減らし善玉(HDL)コレステロールを増やす働きがあることが分かってきたそうです。

また、牛肉の脂肪に多く含まれる共役リノール酸(CLA)も、体脂肪低減や血圧上昇抑制機能などの効果があると報告されているそうです。

食べ過ぎてはいけませんが適度に食べる分には、牛肉の脂質は、太るどころか美容やアンチエイジングにつながるようですね。

吸収性が高いヘム鉄

牛肉の赤い色は、ミオグロビンという色素たんぱく質で、鉄原子が中心に存在しています。これとレバーのヘモグロビンに含まれる鉄はヘム鉄と呼ばれ、体内への吸収率がとてもいいと言われています。
野菜などに含まれる非ヘム鉄と比べると約5~6倍ほど吸収されやすいそうです。

鉄分は、栄養分やさまざまな物質を全身に運んだり老廃物を受け取ったりする大事な役割のある血を作るのに欠かせない栄養素で、貧血予防に役立ちます。

不足しがちな亜鉛も多く含まれている

亜鉛は、たんぱく質を合成したり分解するといった細胞の新陳代謝において大事な栄養素です。
細胞の入れ替わりに関係している栄養素なので、不足すると味覚障害や発育障害、免疫力低下、皮膚・髪トラブル、老化など、体の様々な部分に問題が生じてきます。

牛肉を100g食べるだけで、1日の摂取量を補うことができるそうです。

ビーフ-シチュー

脳内で別名「しあわせホルモン」と呼ばれるセロトニンを増やす

セロトニンは脳内ホルモンで、ノルアドレナリン(神経の興奮)やドーパミン(快感を増幅)と並び、感情をコントロールする三大神経伝達物質の1つです。
セロトニンがストレスや疲労などで減ってしまうと、人はイライラしたり憂鬱な気分になったり、不眠症になったりするので、増やさなくてはいけません。
セロトニンは脳内で作られますが、その時トリプトファンが原料として必要になります。

必須アミノ酸であるトリプトファンは、体内では作れないので食べ物から摂取しなくてはいけないのですが、牛肉や豚肉の赤身に豊富に含まれています。

トリプトファンが他の必須アミノ酸とともに血管の中を通る時にインスリンが存在すると、よりたくさんのトリプトファンが脳に取り込まれ、しあわせホルモンのセロトニンが作られるのです。
インスリンは炭水化物や甘いものを食べた時に膵臓から分泌される物質なので、肉と一緒にご飯やパン、デザートを食べると、脳内でセロトニンが作られ、幸せな満腹感を味わえるのですね。

アラキドン酸も脳を活性化させ「幸せ」を感じさせる

アラキドン酸も脳の細胞膜に多く含まれていて、脳の健康を守る働きをしています。

認知症患者さんの脳の細胞膜では、アラキドン酸の含有量が低下していることが分かっているそうです。

アラキドン酸は不飽和脂肪酸です。牛や豚はリノール酸やα-リノレン酸の植物性のエサを食べ体内でアラキドン酸に変化させていますが、人間の体内では変化しないそうです。
ですので、人間は食べ物から摂取しなければいけません。

アラキドン酸は牛肉・豚肉・鶏肉・鶏卵・魚類などに含まれています。

アラキドン酸の一部は、脳内でエタノールアミンという物質と結合しアナンダマイド(サンスクリット語で至福)に変化します。この物質が脳内で作られると、不安や恐怖を軽減し、至福感や高揚感をもたらすとされています。

肉を頬張った時に感じる幸福感は、これだったんですね~♪。

アラキドン酸は脂肪酸ですから、あるていど脂肪を含んだ肉を食べる必要がありますが、先述した通り、牛肉に含まれる脂肪酸には、思っていたより健康によい栄養素が多いようです。

まだある! 脂肪燃焼促進効果の成分

牛肉に含まれるカルニチンという物質には、動いたりして、食事で摂った脂肪や体内の余分な脂肪を燃やしてエネルギーに変える時に、脂肪酸の燃焼を促進する働きがあるそうです。
カルニチンは牛肉、特に赤身に多く含まれているそうなので、ダイエットするなら食べた方が逆に効果的です。

その他にも、カルシウムビタミンB群など健康維持や美容に役立つ成分があるようです。

牛丼

まとめ

高カロリーで太りそうなイメージが強い肉ですが、こうして調べてみると、適度に食べている分にはアンチエイジングや美容にも良いということが解りました。
特ににこぴんとしては、肉の脂肪酸の約半分がオレイン酸ということにビックリしました。

牛肉の一番良いところは、やはり「肉食べたー!」という満足感と幸福感かもしれませんね(笑)。

だからと肉だけではビタミンやミネラルなど補いきれない栄養素もあるわけなので、魚類や野菜・きのこ・豆類などをまんべんなく食べるようにして、相乗効果で美味しく食事していきたいですね。

牛肉の部位による、味・食感・栄養価の違い。美味しく食べるために適した料理は?
牛1頭(約700kg)から取れる精肉部分は、約300kg。それに内臓部分を含めて、部位により同じ牛でも味や食感・栄養価も違ってきます。それを知ることで、もっと効率的に栄養を摂りながら、美味しく食事できるでしょうから、部位の特徴を紹介します。

出典・参照させていただいたサイト:
日本食肉消費総合センター「牛肉の魅力」
エバラ「お肉」の参考書

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